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口コミを見てから飲食店に行くのはやっぱりいいや、と思った話

初めての飲食店に足を運ぶとき、下調べってどのぐらいしますか?


週に一度の定休日、私たち夫婦は特別なことがなければ外で食事をとるのを習慣にしています。

ネットでお店をチョイスし、予約するのは旦那の仕事。メンドくさがりな私ときたら、雑誌やテレビで見た断片的な情報を彼に伝え、あとは予約までぜーんぶお任せしてしまう、という流れになることが多いです。この方が早くて確実だから。

地方に旅したときは、ジャケ買いならぬ「雰囲気入店」とでもいうんでしょうか。外観やメニューの感じを見て、インスピレーションで入ることがままあります。昔はみんな、こうでしたよね?あとは人からの紹介とか。

私は自分でお金を稼ぐようになってから、ずーっとこうです。食事処も旅先も、ほとんど下調べってしたことがありません。



そんな私なんですが、実は自粛が緩和されたら一番に行ってみたいお店があって、例のごとく旦那に予約してもらったあと、めずらしく直前まで自分で下調べをしたんですよね。

飲食系ローカル誌にたびたび記載されている、地元ではちょっと有名な老舗の和食店。グーグルで検索するとホームページはヒットせず、仕方ないので某大手口コミサイトを開きました。

小さな飲食店って、ホームページを持っていないお店がまだまだ多いですよね。あえてなんでしょうか。


詳しい場所とメニューを確認したあと、つい気になって、口コミのボタンをタップ。

実はこの、なんの気なしに行なった行為が、のちに自分自身をすこぶる後悔させる結果となってしまったんですよね......。




口コミの数じたいはそれほど多くなく、うえから順に見てみると、「こんなところにこんな品のあるお店があったなんて!」「お祝いごとに持ってこいな素敵なお店」「ご夫婦の接客が素晴らしい」等々ほとんどが褒めたたえる内容でした。

しかし「さすが人気店!」とほっとしたのも束の間。

次の口コミ、星の数が2個しかついてないなぁと思いタイトルをタップすると、出てきたのはマイナスなワードの数々。

お椀の具材が前回のほうがよかった、ネタがしょぼくなった、高い、等々。

100パーセント満足してもらえるお店なんてないとわかってはいるけれど、やはり有名店でもこうなってしまうのですね。


口コミを5つ、6つほど読み終えたところで、静かにスマホの画面を消しました。

良い口コミも悪い口コミもありましたが、結局のところは、自分の目で舌で確かめてみないとわかんないじゃん?という、当たり前の結果にたどり着いたからです。

感じ方は人それぞれ。ある人には嫌だったことも、別の人には嬉しいことだったとか、その逆だってありえますから。

自分たちの店の口コミだって、見ると「いや〜それにはワケがあるのよ!」とか「その味付けが気に入ってみんな来てくれてるはずなんだけどなぁ」と言いたくなることはよくあります。あくまでも、参考ていどにしなくちゃいけないのです。

ですので、その日行く予定だったお店の口コミをいくつか読んだところで、私の行きたい気持ちは全く揺らぐことはありませんでした。


しかし困ったのはここから。

実際にそのお店を訪れてからというもの、終始、ついさっき読んで印象に残った口コミが頭にこびり付いて離れません。

それのなにが厄介って、美味しい料理や心地よい雰囲気を楽しんでいる最中にも「あの口コミは本当なのか」と”無意識に”確認してしまっていること。

ご主人の見事な手さばきはたしかに書いてあった通りだなぁとか、天ぷらは火を入れすぎ?ぜんぜんそんなことないじゃん!とか、私にとってまったくする必要のない答え合わせが脳内で始まってしまったのです。

やってしまいました。鵜呑みにしない、と決めていたとはいえ、事前情報がこんなにも足かせになるなんて、思いもよらなかったです。


以前noteで「食べる前にどんな情報を得たかで料理の味が変わる」という内容の記事を書きました。

人間の味覚って不思議なもので、ヘルシーな料理でも、シズル感たっぷりな名前をつけるとゴチソウに感じたり、作り手は変わっていないのに「代がわりした」と聞くだけでイマイチに感じたりするみたいです。

結果的にこのたび足を運んだお店は、料理も雰囲気もすごく満足ができて、私としては120点満点でした。

しかし、お店からならともかく、他者からの事前情報がたくさん入ってしまった状態で、果たして私の中から溢れ出てくる「美味しい」や「心地よい」は、自分独自の感性に基づくものなのかな?と思うと疑問が残ります。

どこか、他人が通ってきた道を追随するような、人の手垢がたくさんついた何かを手にするような、そんな初体験となってしまった感があるのです。

すごく良いお店だったのに、モヤモヤしたまま帰宅の途につくこととなってしまいました。



これからしばらく、行ったことのないお店へ足を向ける機会を増やす予定でいます。自粛のせいで気になるお店にいけなかったこともありますが、リニューアルオープンに向けての勉強もしたくって。

そういうこともあってなおさらなんですけど、このさき初めてのお店に行くときは、可能なかぎり真っさらな状態の自分が、初見でどう思ったのか、その感性を大事にしようと今回、あらためて思いました。

勉強のためにというのなら、私はこう思ったけどみんなはどう思ったのだろう?と後から口コミを見たっていいはずです。


個人的な楽しみでいうと、やっぱり初めての飲食店に行くときは、もっと純粋にドキドキ・ワクワクしたいです。真偽不明の情報や、人によって感じ方がちがうはずの意見で先入観を持ちたくありません。

きっとイチ顧客としての私は、知らない誰かのスキをなぞるより、自分自身のスキを見つけに行きたい人。失敗を糧にしながら、お店えらびの「勘」を鍛えていきたい。

そんなふうな楽しみ方を「外食」に求めているのだろうと思います。


というわけで来週は、業界誌でたまたま見つけた、コロナと関係なくいつも8時に店じまいをしている繁盛店に潜入する予定です!それでは☆

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