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地域の魅力ってなんだろう?|それでも僕は埼玉への愛を貫く話

ごきげんよう

読者の皆さん、ごきげんよう。

なんだか10月っぽくない、暑い日々が先週・先々週と続いていたが、いかがお過ごしだろうか。

私の一番好きな季節は秋なのだが、近年秋が短くなっているように感じる。同様に、春も短くなってきているように思うのだが、日本はいつから四季ではなく二季になってしまったのだろうか。

さて、今日の議題だが、ずばり以下のトピックについて私が感じたことをつらつら書いてみようと思う。

2021年10月9日、民間調査会社より「都道府県魅力度ランキング」がリリースされた。山本一太・群馬県知事は、群馬県の順位が前年度40位だったものが今年度44位に下がったことに対して「法的措置を検討している」と述べた。

このトピックは一時、Twitterのトレンドにも上ったくらいバズった。

このニュースは、様々な角度から分析することが可能であるが、今回は埼玉の自主独立を望む、「埼玉独立派」の立場から意見を述べたい。

(※当記事はあくまでも現状に対する批判を述べるものであり、特定の個人・法人・その他組織に対する誹謗中傷を目的としたものではない点をお含みおきいただいた上で以下コンテンツに進んでいただければと思う)

現状の確認

そもそも、当該調査は、どのような経緯でリリースに至ったのだろうか。

調査概要等を抜き出してみる。

(概要引用;上記公式ページより引用)
地域ブランド調査は、ブランド総合研究所が年1回実施している調査で、各地域名称の全国的な認知やイメージ形成、各行動意向等を明らかにする大規模消費者調査です。
2006年にスタートし、今回の「地域ブランド調査2021」で16回目となります。地域ブランド調査は、ブランド総合研究所が年1回実施している調査で、各地域名称の全国的な認知やイメージ形成、各行動意向等を明らかにする大規模消費者調査です。
2006年にスタートし、今回の「地域ブランド調査2021」で16回目となります。調査対象地域は全792市(2020年4月末現在)と東京23区、および185の町村を加えた計1000の市区町村、そして47都道府県の計1,047地域です。調査は、各地域に対して認知度、魅力度など全89項目の設問を設定し実施(具体的な調査項目については、後述の調査概要を参照) 。地域のブランド力を、消費者が各地域に抱く「魅力」で数値化しました。
また、各地域の「魅力」がどのような側面から評価されているのか観光意欲、居住意欲、産品購入意欲など他の項目結果から分析できるように設計しています。調査方法はインターネットアンケートで実施し、全国から約3万人の有効回答を集めました。
各市区町村名の回答者数は、1人の回答者に弊社が指定した20の地域について回答していただき、一地域に対しての回答者数は約600人となっています。本年度調査では、都道府県についての回答者数を従前の約600人から約1,000人に増やし、より調査の精度を高められるように取り組みました。なお、集計に当たっては年齢、性別、居住地を基準に実際の人口の縮図となるようにウエイトバックを実施しています。

まとめると、
①民間の企業が年に一回実施している調査であり、既に16年間調査が継続されている
②インターネットを通じて調査は行われており、調査の精度を高める努力はなされている
......という感じだろうか。

この情報だけ見れば、「ほ〜ん、結構ちゃんと調査してるじゃん。」と感じる人も多いと思う。しかし、公表する側にとって都合の良い情報が抜き取られてリリースされている可能性があること(公表する側の、恣意的な情報のみが公表されている可能性も存在すること)も意識しなくてはならない。

ちなみに、この調査を実施している会社に関してもざっとネットで検索をかけてみた。

会社名:株式会社ブランド総合研究所
設立日:2005年11月21日
社員数:約10名
資本金:2500万円

意外と小さな法人によって運営されているようだ。設立日に鑑みるに、本地域ブランド調査は、会社が設立して間もない時期からスタートしたようだ。

当該法人は、HPを見る限り、現在①地域ブランド調査 ②地域ブランディング ③企業・商品調査 ④セミナー・研修 ⑤ギネス世界記録サポート ⑥ハラルビジネスといった事業を展開している。

着目すべきは、①地域ブランド調査と共に、②地域ブランディングも生業としている点だ。企業が複数の事業を展開する場合、個々の事業が他の事業に対してシナジー効果を発揮するかどうか検討する場合が多い。

というか、複数の事業を展開する場合、大抵は既存事業に絡めて新しく事業を展開するのが定石だ。よって、上記事業内容を見れば、①と②は密接に関連していると考えるのが妥当であろう。

想定されるストーリー

もし、私がブランディングに関して知識を有しており、ターゲットを自治体に定めてセールスを進める場合には、以下のような筋書きを書く。

先ず、各地域のブランディング力を行い、その調査結果をプレスリリースする。

その後、各自治体の担当者に向けて、当該プレスリリースの結果と共に「あなたのところの認知度改善・ブランド力向上のお手伝い、うちなら出来ますよ」とDMを送ったり、テレアポすることに勤しむ。

無論、自治体のDMやテレアポの顧客リストは簡単に作成可能だ。
自治体は大抵窓口の電話番号・メアド・郵便物の宛先を公開している。また往訪しようと思えば、市区町村庁舎や都道府県庁に伺えば良い。

つまり、調査結果は、自治体に対してセールスを行う際の、トークの材料に出来れば良いので、必ずしもpvやリーチ数を稼げなくても良い。調査を行い、リリースされた事実が存在すれば、あとは良い感じにセールストークに織り交ぜれば万事OKなのだ。

ランキング下位の地域に対しては、当該順位とその順位が低すぎることを太字やら配色やらでわかりやすくした資料を共有する。その後「貴方のとこの順位低すぎません? 順位向上の為にお手伝いしますよ。」と言えばいい。

上位の地域に対しては「おたくの順位、めっちゃ高くてすごいですね!でも気を抜いたら順位落ちますよ。」と、潜在的な不安を煽る形でセールストークを組み立てることができる。

調査結果は、使い方次第で、別の事業に対してシナジー効果をもたらすことができるのだ。

群馬県による検証

改めて、今回のトピックに立ち返ろう。

群馬県知事は、「なぜ群馬県の順位が下がったのか、その理由は判然としていません」と主張し、法的措置を検討している。

群馬県は以前より当該調査結果に対して疑問を呈してきた。

ぜひ18:40以降を見て欲しい。群馬県による検証の結果、以下の事柄が判明している。

検証によって分かったこと:
「魅力度」を適切に示すランキングとは言えない

理由:
①「魅力度」を1つの項目のみで評価
②回答に対する配点が不自然
③下位25県がわずかな点数内、容易に順位変動
(専門家からのコメントを引用しつつ;群馬県知事説明) そもそも群馬を知らない人に「群馬の魅力度は?」と尋ねること自体に意味がない。あるいは統計上、母集団から除くべきではないか? との指摘もされています。

実は、この記事の下書き段階では民間会社を少しでも擁護したいと考えていたのだが、驚くべきことに「魅力度を杜撰な方法で調査している」「配点が不自然」「生のデータが公開されていない」「社会的に大きな影響があるにも関わらず説明責任を果たしていない」という種々の問題が明らかになっている。(上掲知事会見より)

上記の群馬県知事のコメントにもある通り、そもそも群馬県を知らない人間に対して群馬県の魅力を問い、その回答結果を母集団に追加しているようだ。これだけでもデータの信頼性が低いことが窺える。

群馬県知事は群馬県の誇りを懸けて徹底的に戦って欲しいと思うし、民間調査会社はしっかり説明責任を果たして欲しい。

ちなみに、当該ランキングをもとにして、茨城県知事も会見を開いたが、「魅力はいろいろなとらえ方があり、それぞれがオンリーワン」「最下位は我々にとって痛くもかゆくもない」と語ったようだ。

この出来事を引き合いに出し、「群馬県知事は、けしからん!」「法的措置とか検討する前に、魅力をアピールすればいいのに」という批判もあったようだ。しかし、そんな批判に足を取られることなく、ぜひ群馬県には突き進んで欲しいと思う。

自分の地域が貶されたと感じた場合に、法律に則って正々堂々戦うことを宣言することのどこが悪いのだろうか。知事の熱い会見・コメントからは、一環した県民に真摯に向き合う姿勢をひしひしと感じた。
群馬県には是非頑張っていただきたい。

その上で

実をいうと、本題はここからだ。
私は、こういった格付けランキングはナンセンスであると考えている。自分が好きな地域の価値を、誰かに格付けされること・そして全国でネタにされることを非常に悲しく思うし、怒りを覚える。

私は埼玉県出身である。(実はkoboくんも埼玉県出身であり、我々は隣の市でそれぞれ育った) そして、私は自分が生まれ育った"埼玉"という土地が大好きだ。

そもそも、地域の"価値"とはなんだろうか? 

有名な観光地が沢山あって、"認知度"が高くて、"ブランド力"があって、全国から沢山の観光客が来ること...は、それほど大事なことなのだろうか?

大事な人達が住んでいたり、お気に入りの場所があったり、記憶とリンクして忘れられない場所が存在しているような地域は、格付けするまでもなく、自分にとってオンリーワンの場所である。

少し抽象的な話になってしまうが、物事の価値を外部の物差しに頼るのは、想像力が欠落しているように思う。
物事の価値は自分や自分達で決めていくべきだ。他人に押し付けられて従うものではない。

外部の評価に頼らず、自分達で価値を再定義することこそ、今後の地方創生にとって必要なポイントなのではないだろうか。

久しぶりに私も故郷に帰りたくなってきたので、今日はこの辺で。
群馬県を応援する意味も込めて、今度群馬にも赴いてみようと思う。きっと素敵な人達・風景が待っている気がする。

(taro)

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