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農福連携に取り組むー作業内容・工賃の決め方 後編ー

前回の農福連携を始めるにあたり、作業内容はどのように決めるのか
お話しさせていただきましたが
今回は工賃の決め方についてお話しします。
あくまで、参考程度にしていただければ幸いです。


ぶっちゃけ参考となる資料がない!

かなり衝撃的なタイトルになりましたが、
これが現実です。参考となる資料や事例が本当に少ないのです。
特に、作業工賃の決め方については
取り組む事業所や委託内容によっても異なるため
詳しくは農林水産省HPを参考にしてください。
https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/noufuku/index.html

ここでは、こびと農園が実際にどのようにして動いたかをまとめていきます。
実際に作業を委託している事業所は、生活介護を基本とされているため
仕事としてではなく、日中活動の一環として来ていただいています。
利用者さんには、直接給料として支払われることはありません。
事業所として運営費として回されることになるのだと思います。
せっかく取り組みをするのであれば何か形にしていきたい思いがあり
作業工賃をお支払いする方向で進めていきました。

とはいえ、作業工賃を決める参考値がほとんどありません。
福祉作業所と一口に言っても、就労を目的としている事業所もあれば
将来一般就労を目指すための事業所もあり、継続してその事業所で働く場として通う事業所もあれば
生活を支援するための事業所もあり、
事業所によって工賃、給料など呼び方も変わり給与形態も異なるのです。

どうやって作業工賃を決めたのか?

偶然、当時農林水産省で農福連携の部署にいたことがある方と知り合い
工賃の決め方について相談したことがありました。
特に、大産地で同じ作物を作っていれば
例えば、玉ねぎ1箱を箱詰めをするのに
健常者のパートさんがどのくらいの時間がかかり
どのくらいの精度で作業を行えるのか。(選果ができる、検品ができるなど)
そのパートさんを基準として評価表を作ります。
速さ、正確性、持続性などを5段階に分けます。

そして作業委託をする方にトライアルで来ていただき
数回程度、同じ作業を繰り返してもらいます。
そこで作業精度を5段階で評価し平均点を出します。
健常者のパートさんを100とした場合、何割になるか。
そこから時給換算し、施設側に評価基準によっていくらお支払いしますと
交渉ができます。もちろん作業精度の向上につれて時給をあげると
モチベーションにもつながります。
この方法は生活介護、B型事業所などに応用できます。A型事業所は対象ではありません。

都内の農家で特に少量多品目生産の場合、
同じ作業の繰り返しよりもいくつも作業が出てくる場合があります。
作業が変わるたびに工賃を変えるということは双方にとっても手間と負担がかかります。
その場合も、一つ基準を作っておくことで準じて賃金の支払いが明確になります。
季節ごとに作業が変わる場合、草刈りの時期はこのくらい、箱折の時期はこのくらい
袋詰めの時期はこのくらいと大きな作業ごとに分けるというのも分かりやすいと思います。

特に私のところでは、同じ利用者の方が継続してこられるというよりかは
複数名の利用者の方が来られることを想定して
〇〇さんだからいくら、ではなく誰が来ても1回来てもらうごとにいくら という形で決まりました。

きちんと意見は伝える

せっかく作業をしてもらっているから、障がい者の方に注意するのも気がひけるし、など
作業について気になることがあっても遠慮してそのままにしておくと
後々、不満が大きくなったりせっかく来てもらっても意図していることと違う状況になってしまうケースもあるため
スタッフや施設の責任者の方にお伝えすることは大事だと痛感しています。
特に、現場は危険な機械や道具などが置いてあったり
屋外では道路が近い、天候状況など危険が多くあります。
事故を防ぐためにも、注意してほしいことやこうしてほしいなど
伝えるとよりお互いが納得したうえで継続できるのではないかと思います。


次回は、農福連携技術支援者の資格を取得したお話しです。
お楽しみに。