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ジェンダーレンズでのぞいてみたら①

 コウノトリの野生復帰や温泉地で知られる兵庫県豊岡市。中山間地域のイメージそのままに、少子高齢化と向き合う人口約7万5千人の地方都市に近年、全国の自治体や議会からの視察が相次いでいる。
 ペースは、実に5日に1回。お目当ては、豊岡市役所が2021年に設置した「ジェンダーギャップ対策室」だ。性別による格差解消への取り組みは市が先導して18年から始まり、今では内閣府の女性活躍フォーラムなどさまざまな場で先進事例として取り上げられる。目に見える成果は、まだ出ていないのに、だ。

 ジェンダー(性差)平等の視点を持ちながら物事を見ることを「ジェンダーレンズ」という。地域全体を巻き込んだこの取り組みで、市民は何が見え始めているのか。ジェンダーレンズでのぞいてみた。

※この記事は、神戸新聞で2023年3月8~17日に掲載された連載(全8回)を加筆・再編集し、4回に分けてお届けします。

                      神戸新聞記者  石川 翠

<プロローグ>だんじりは男子だけ? ギャップ解消へ市は対策室

元日の初詣に集まった地域住民=豊岡市福田

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