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シン・長田を彩るプレイヤー ~区民であり区長、長田と共に生きる~ (後編)

母なる長田

前編では、増田さんのお仕事や長田区への思いについて取材しました。
後編では、長田の地域や人に焦点を当ててお話を伺っていきます。

後編①

-記者-
増田区長の長田のおすすめって何かありますか?
物、お店、景色、エリアなんでも良いです。

-増田さん-
景色はね、JR新長田駅の南の歩道橋から北側を見た景色かな。

五位ノ池線っていう太い南北の道、タンク筋を超える歩道橋が新長田駅の東急プラザに繋がってるとこ。あそこから北側を見た景色がめちゃくちゃ好き。

夜とか特に、JRの走ってる後ろの高取山とか、その景色はめちゃくちゃ好きです。

後編②

増田さんおすすめの新長田駅前の景色

-記者-
新長田合同庁舎から新長田駅に向かう途中にあるのでよく通るんですが、あまり意識して見たことはなかったです。

-増田さん-
なんかね、濱口竜介監督の映画のワンシーンで、歩道橋から北を見た場面があって、それ見てもうすごいなと思って。

世界的にいろんな賞を受賞されてる監督さんなんやけど、監督が板宿(神戸市須磨区)に住みながらハッピーアワーという映画撮られて、すごい有名になった。
結構マニアックなおすすめやね。

-記者-
映画の中にある長田の街って気になります!早速今日の帰りには歩道橋からの景色もチェックしたいと思います。

後編③

-記者-
新長田合同庁舎付近ではどこかいいところはありますか?

-増田さん-
マニアックでないところだったら丸五市場とか。
特にTeTe、めいりんが好きかな。

-記者-
TeTeってカレー屋さんおいしいですよね、行ったことあります!
めいりんは何屋さんですか?

-増田さん-
中華料理屋さんで、餃子がおいしいねん。14時からしか開いてないから行くなら仕事終わりやね。
店主が女性なんやけど、めちゃくちゃおもろい。安い、そう、めちゃ安い。

-記者-
お店の方と仲良くなるっていうのは、区長としてなのか、それとも“増田さん”としてなのか、どっちなんでしょうか。

-増田さん-
区長になってからじゃないからね、そういうところ行ってるのは。

-記者-
その前から交流があったんですね。

-増田さん-
そうやね。めいりんなんて私が区長って知らなくて、いつもお兄ちゃんお兄ちゃんって呼ばれてた(笑)
「お兄ちゃんお兄ちゃん、また遊びに来てよ」とかね。

あと夕方は自分の買い出しがあるからって、その間店番を客に任せたりする。わかったわかった言うて、飲みながら店番しました。

-記者-
結構破天荒ですね(笑)了承するのもすごいです。

-増田さん-
店番は誰にでも頼んでるわけではなくて、常連さんとかね、顔見知りの人にしか頼まない。

1年以上、2年くらい経った時かな?突然、私が区長だと気づいたみたいで
ごめん~って言われたわ(笑)

-記者-
面白いエピソードですね!
数年間、区長だとも言わずにずっと区民として地域の人に溶け込んでたんですね。

-増田さん-
言う必要ないからね。
気づいた時の店主さん、めちゃくちゃ面白かった。

-記者-
その場に立ち会いたかったです(笑)
お店とか入ったら、店員さんに話しかけられることって多いですか?

-増田さん-
そうやなあ。ちょっと前、サイゴンチュンハイっていう、合同庁舎の近くにあるベトナム料理屋さんに行ったら店員さんに、
「区長さんですか?」って言われて。
「何で分かったんですか?」って聞いたら
「ビーチサンダル履いてるから」って(笑)
その後も、ビーチサンダル履いてるから分かったって、何人かに言われた。

-記者-
区長がビーチサンダルに関わってるってことが広まってるんですね。
区長はビーチサンダル発祥の地として長田区をPRされていますが、ビーチサンダルは前からお好きだったんですか?

後編④

-増田さん-
ビーチサンダルは元々好きやってんけど、TSUKUMOって会社が作ってる神戸タータンのビーチサンダルを買ったら、商品の説明に

鼻緒は神戸新長田で作りました、生地は播州織です」

って書いてて、それで興味持って、4年ぐらい前から結構ホームページやSNSをチェックするようになりました。

一昨年ぐらいに、ビーチサンダルが長田発祥やって何かで見て、これはなんかやりたいなって思って。


―記者-
なるほど。
ビーチサンダルは長田発祥というのはそのときに知られたんですね。

-増田さん-
最初にしたのが、クラウドファンディングで長田区オリジナルのビーチサンダルを作るっていうプロジェクト。

これはひとえに、自分が長田区オリジナルのビーチサンダルを履きたいっていうことで始めてん(笑)

DORの岩本順平やTSUKUMOの中島社長と相談して、なんかやろか、クラファンでやろかって。
デザインは、駒ヶ林にアトリエ構えてる抽象画家のCBA(シーバ)さんに頼みました。

途中までは私の個人的な仕事やったけど、もし長田区役所から異動になったら、ビーチサンダルの取り組みが区役所からなくなってしまうかもと思って。
せっかく長田発祥のものやのに、それはもったいないなあと。

それでまちづくり課の職員を巻き込んだり、ビーチサンダルの会社のTSUKUMOと協定を結んだりしたね。

後編⑤

-記者-
ビーチサンダルはどういうところが気に入って履かれてるんですか?

-増田さん-
楽やし履き心地もいいしねえ。夏は新長田から三宮までビーチサンダルで歩いたりするね。歩いて往復ね。

-記者-
往復!すごいですね。

後編⑥

-記者-
それでは最後に、増田さんにとって長田とは?

-増田さん-
「長田とは」か・・・(熟考)
長田には包まれてる感じ?抱っこされてるような感じ、抱きかかえられてるような温かさがあるかな。

-記者-
人と関わるのが好き、という区長の性格がそうさせてるのかもしれないですね。

-増田さん-
そうやね、自分とこのまちの相性がいいんやろうね。
そういうのが嫌って人もおるからね。

-記者-
区長みたいに人と関わるのが好きな人が長田に出会ったら、すごい人気のまちになりそうですね。

-増田さん-
そういうのを好んでる人って増えてると思う。
長田ってそういう意味では将来明るいと思ってて。
もちろんこのまちの良さを残していく前提でね。

今、人口はどんどん減ってるけど、それは高齢化率が高いからで。
自然減が目立ってるけど、社会増やからね。
だから長田はこの先も明るいのとちゃうんかなって思ってる。

-記者-
区長のお話を聞いていると長田のこれからがますます楽しみになりました。
これからもまちの方々と協力してこの良さを残していきたいですね。
本日はありがとうございました!

<編集後記>

今回、初めて編集を担当させていただきました。

長田愛に溢れた増田区長でしたが、本人はそんな意識なんてなくて
ただ自然に長田と共存している様子だったのが印象的でした。

区長おすすめの長田の景色は通るたびに目をやるようになり、
またひとつ、長田の好きなところが増えました。

(編集:神原・キタムラ)