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シン・長田を彩るプレイヤー ~異世界コミュニティ酒場のマスター~(後編)

今回は、長田区腕塚町にある「異世界酒場 たびのとびら」店主の西ケ谷裕紀さんと三木一馬さんを取材しました!前編ではお店を始めるまでの道のり、普段のお客さんの様子などを伺いました。後編ではおふたりのこれまでについて、たっぷりお話いただきました!



【好きなものでいっぱい】

-記者-
働いている中でやりがいや達成感を感じる瞬間はありますか?

-西ヶ谷さん-
メニューの考案から調理まですべて自分でやるので、その料理がお客さんに気に入ってもらえればやりがいになります。

-記者-
メニューを作る時のこだわりはありますか?

-西ヶ谷さん-
基本的に自分が好きなものしか出してないです。

-三木さん-
嫌いなもんは頑なに作らへんもんな。
頼まれてもすごい嫌そうな顔してる。(笑)

-西ヶ谷さん-
嫌いなものは頼まれても、あんまり作らないですね。(笑)

-三木さん-
自分でお店を構えると全部自分の好きなようにやれるのがいいですよね。
雇われやったら嫌いなものでも作らなあかん。

-西ヶ谷さん-
だから逆に、自分と味の好みが合う人には絶対何出しても当たりますよ。

-記者-
西ヶ谷さんの好きなものでできているお店ってことですね。

-西ヶ谷さん-
そうですね。好きなものだけ。

-三木さん-
ほんまにそうよな(笑)
見た目から味まで全部そうやもんな。

-西ヶ谷さん-
ほんまにそう!
好きなものかつ、ある程度バランスが取れるようにしてる感じですね。

「ドワーフのおつまみ盛り」(内容は日替わり)

【誰でも主役になれる】

-記者-
ホームページを見て、「ゲームの世界では誰もが主人公になれる」というワードに魅かれたのですが、どういった思いが込められていますか?

-三木さん-
事業計画書で書いたんですけど忘れちゃいましたね。(笑)
なんて言ったらいいんですかねぇ。
高専は卒業したらみんなそれなりにいいところに就職するんです。
僕も面接受けたんですけど、思ってもないことを言うのがあほらしくなってきて、途中から適当に返答していたら落ちたんです。
しっかり答えなあかんってことはわかってたんですけどね(笑)

なんでやりたくないことやらなあかんのやろと思って。就職したらずっと働くわけじゃないですか。やりたくないことを職業にするのは嫌やなって。
それで、やっぱり漠然と自分で何かしたいって思ったんです。別に働いている人もみんながみんなやりたいことをやってるわけじゃないとは分かっていて、それを悪くいうわけじゃないですけど、僕にはそれができなかったんですよね。

働いてる人はどこかでやっぱり我慢してる部分があるはず。
だけど、ゲームは自分がやりたくてやってるじゃないですか。
昔の、ゲームをやってるときみたいに、ほんまにやりたいことをやってるっていう感覚をここで味わってもらって、ここにおる間くらいは楽しんでもらえたらなっていう思いで事業計画書を書いたはず。(笑)
実際、西ヶ谷さんがここで働くようになった理由もね、そういうことですよ。

-西ヶ谷さん-
ずっと飲食業で働いてたんですけど、コロナ禍で閉店とか時短営業になったじゃないですか。それで、会社が縮小することになったとき出向になって。
出向先が気に食わなかったんでどうしようか悩んでた時に、じゃあ、ここでっていう感じで。

-三木さん-
僕はちょうどその頃にこの店閉めるか迷ってたんですよ。

-西ヶ谷さん-
この店はコロナ明けぐらいの時期で閉めるか迷ってて、僕は飲食の仕事を辞めるか迷ってたので、タイミングが合った、みたいな。

-三木さん-
「西ヶ谷さんが客として来てた時に「飲食の仕事辞めるんやったら自分で一人でなんかしようかな」って言ってたんで、俺が「もし辞めるんやったらこの店でやるっすか?」って声かけて。
元々のお客さんもおるから、どこかでゼロからやるよりもいいやろうし、家も近いし。(笑)
でも「俺は料理しかできん!」って言われたんですよ。実際、ほんまに料理しかできひん(笑)まあやりゃ他の事もできるやろうけど。
それで、「ほんまにやるんやったら、俺じゃなくて西ヶ谷が自分の名義でやったほうがいいんちゃうかな」ってことで、今は西ヶ谷が代表で、僕はその他の業務を委託される形でやってます。

-記者-
西ヶ谷さんが飲食業で働いていたということもあって、キッチンを新たに作ったんですね。

-西ヶ谷さん-
そうですそうです。

-記者-
今は「好きなものだけつくる」というのがやりがいっておっしゃっていましたが、前のご職業では「これあんまり好きじゃないな」って料理とかも作られてましたか?

-三木さん-
まさにそれすぎて面白いっすね(笑)

-西ヶ谷さん-
前の仕事は寿司屋で。ちなみに僕は、魚と醤油と酢飯が嫌いなんです!

-記者-
え!!

-西ヶ谷さん-
酢飯が嫌いで食わない。あと、生魚が嫌い。調味料でごまかしてなら食べられますが、単体で醤油つけて食うのは絶対嫌なんです。って考えたら寿司屋はね。

-記者-
こちらの方が天職、みたいな。

-西ヶ谷さん-
もう間違いなく!出向前は寿司屋じゃなく居酒屋だったんですよ。
でも、コロナ禍で大手の居酒屋がどんどん減っていった時期やって。
僕の行ってたとこは8割くらい閉店したんちゃうかな。
それで、子会社の寿司屋に出向になるっていう形で、嫌やなって。

-三木さん-
店が開いてる時は毎日来てくれてたんですけど、僕らから見ても明らかにやつれてたんですよ。
やばかったもんな!当時は15歳くらい老けて見えてた。

-西ヶ谷さん-
当時はストレスがすごくてアトピーも出て。

-三木さん-
痩せ方もえぐくて、いまちょっと肥えたんですけど(笑)
ほんまに最近若く見えるって言われてる。

-西ヶ谷さん-
めっちゃ言われるようになったもんな!

-三木さん-
これは絶対好きなことやってるからやと思うんですよ。
それだけでも誘ってよかったですね。
心配になるレベルで不健康そうな見た目してたんで。

-西ヶ谷さん-
ほっといたらそのうち死ぬくらいの。

-三木さん-
ほんまにほんまに!
ここでよう寝るしな。

-記者-
疲れてしまって?

-西ヶ谷さん-
そうですね。ヘロヘロの状態でここに来てお酒飲むんで、そのまま寝落ちすることもありましたね。

【二人にとって新長田とは】

-記者-
新長田にこう変わってほしい、こうなってほしいみたいな思いはありますか。

-三木さん-
快速停まってほしい。

-西ヶ谷さん-
うん、そうそう(笑)

-西ヶ谷さん-
快速停まるようになったらもうちょい賑わってくると思うんですよ。
やっぱそれが一番かな!

-三木さん-
個人的な(笑)

-記者-
確かに賑わいにつながりそうですね!
お二人にとって新長田とは?

-西ヶ谷さん-
ザ・下町。やっぱり地元の人の距離感が近いのがいいですよね。1回知り合ったら他人感がないっていう感じとか。
例えば三宮とかでやってたら一見の人とかはいっぱい来るかもしれないけど、常連さんはなかなかつかないと思うんですね。
お店の繋がりとか、近所の人とか、どうしても距離が近くなるので、その分密な関係になれることが良いところですね。

-記者-
確かに!お客さん同士で繋がりができるというお話もこの場所ならではのあたたかさを感じました!
本日はありがとうございました。


好きなものにまっすぐ向き合ったおふたりのこれまでは、ゲームのストーリーのように波乱万丈!子どものころに感じていたわくわくを忘れず、仕事でも「楽しそう」と思った方向に突き進んだおふたりはとても幸せそうに見えました。人生というゲームの中では自分自身が主役のはず!「ゲームの中では誰でも主役になれる」という言葉を胸に、読んでくれたあなたの今日もいい日になりますように。

TO BE CONTINUED

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神戸・新長田で人気のバー「たびのとびら」コスプレイベントに最適【公式】 (tabinotobira-kobe.com)
異世界酒場 たびのとびら【公式】 (owst.jp)
R.P BAR たびのとびら(@rpgbartabinotobira) • Instagram写真と動画

(編集:かずみ、あみてぃ)