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テントサウナは建築基準法上の建築物に相当するか

・テントサウナを楽しんでもらいたい
・テントサウナを仕事にしたい
・流行りのテントサウナを使って稼ぎたい

テントサウナを使って何か事業をはじめたいと思っているあなたへ。

本記事では、淡路島の小規模集落を中心に「集落に人を呼び込む施策」としてテントサウナサービスを開業しようとしている私たちが調べた建築基準法上のテントサウナの取り扱いについて解説します。

この記事を読み終えた後は、建築基準法上の建築物の定義とテントサウナの場合の解釈について理解することができます。

そして、テントサウナを使った事業をはじめるにあたって建築基準法上の取り扱いに対する一例を知り得ることができます。

【筆者の簡単プロフィール】
・7年東京で暮らした後に家族で淡路島へ移住
・IT企業で7年システムエンジニアを経験し地域おこし協力隊へ

筆者のプロフィールの詳細はこちらの記事をご覧ください。

■時間のない方向けの本記事まとめ■

・建築基準法上の取り扱いはまず各都道府県の建築物の定義を確認
・"一時的"利用であればテントサウナは建築物に相当しない
・最終的にはテントサウナのサービス運用内容を踏まえた判断が必要

以降の本文は約5分で読めます。

なぜ建築基準法の話をしているの?

テントサウナで事業をはじめるにあたって事前に確認すべきことの1つだからです。

私たちは、小規模集落でのアクティビティの1つとしてテントサウナで事業をはじめようと考え始めました。

インターネットでサウニャーさんの記事を拝読し、まずは「公衆浴場法」をクリアする必要がありそうだ...ということを知りました。

インターネットでいろいろ情報を調べて企画書を作成の上、公衆浴場法を管轄する最寄りの保健所(健康福祉事務所 食品薬務衛生課)に相談に行きました。

当日はご担当者の方と公衆浴場法について具体的な話になるのかな?と思っていましたが、保健所としては公衆浴場法の議論の前に必要な「確認をしてほしいこと(下記参照)」について説明をいただきました。

・建築基準法上の取り扱い
・開催場所の都市計画法上の用途制限
・消防法上の取り扱い
・開催場所の土地の名目の確認(農地法)と農地転用
・排水の取り扱い
・飲食提供を伴う場合は諸手続き

あれ?公衆浴場法を確認する前にめちゃめちゃ確認することある...

と、この時点で正直すでに「うっ」と思いました。

保健所のご担当者の方には事前に電話やメールで相談していたので、打ち合わせ当日までにいろいろ調べていただきました。(ありがたい...)

事前に確認すべきこととして、「建築基準法上の取り扱いについても確認が必要ですよ」ということが分かったため、今回テントサウナが建築基準法上の建築物に相当するかを担当の部署へ確認を行いました。

テントサウナの建築基準法上の取り扱いについて担当者に聞いてみた結果(兵庫県洲本市(淡路島)の場合)

建築基準法に関する内容は、最寄りの都道府県の土木事務所(土木事務所 まちづくり課)に相談に行きました。

■ざっくり建築基準法とは?
日本で暮らす私たちの生命・健康・財産が守られ、安全に快適に暮らせるよう、建物や土地に対してルールを定めたのが建築基準法。

建築基準法については、国土交通省がはじめとした関連法令をわかりやすく解説されている概要資料が掲載されていますので詳しく知りたい方は下記の資料がオススメです。
https://www.mlit.go.jp/common/000134703.pdf

さて、まちづくり課さんに建築基準法におけるテントサウナの取り扱いについて相談をしたところ下記の資料を教えていただきました。

<兵庫県の建築確認申請等の手引き>
【建築物として取り扱う膜構造の範囲】
https://web.pref.hyogo.lg.jp/ks29/documents/01toriatukai.pdf

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建築物の定義等
建築物として取り扱う膜構造の範囲
・ ジャバラテントは固定式、伸縮式とも建築物として扱い、伸縮式については、最大に伸びた面積を床面積とする。
・ 固定装置を伴うキャスターテントは建築物として扱う。
・ 軽微なテント工作物以外は、規模、利用形態、開放形式を問わず建築物として取り扱う。

「軽微なテント工作物」とは次のいずれかに該当するものとする。
① テント製の巻き上げ、軒出し
② キャンプ用テント、運動会用テント等の一時的な使用を目的としたもの
③ 移動可能な温室、キャスター付きテント
④ 移動可能で、かつ開放性が高く、居住、執務、作業、集会、娯楽、物品の陳列・保管その他の屋内的用途に使用することを目的としないもの

したがって、日覆い程度の随時取り外し自由なもので、壁などを付けないものは、建築物として取り扱わない。

担当者とのお打ち合わせ中では、主に以下の2点についてすり合わせを行いました。

①テントサウナの材質・組み立て設置方式・固定方式
②テントサウナのサービス運用内容

この2点を確認された理由と解釈について解説していきます。

【建築基準法上の取り扱い確認ポイント】
①テントサウナの材質・組み立て設置方式・固定方式

まずは、テントサウナが上記の建築物の定義に記載されている「軽微なテント工作物」になるかどうかの解釈についてすり合わせを行いました。

今回私たちが利用する予定のテントサウナはロシア生まれで人気の「MORZH」シリーズ「MORZH SKY」と「MORZH MAX」という製品です。

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3層式テントサウナ
MORZH SKY(モルジュスカイ)
MORZH MAX(モルジュマックス)
出典:Sauna Camp.(https://saunacamp.net/shop/tent/

製品仕様書と取り扱い説明書をもとに材質や設置方法(組み立て式)、固定方式(ペグダウン)であることを説明した結果、「軽微なテント工作物」の定義である

② キャンプ用テント、運動会用テント等の一時的な使用を目的としたもの

として解釈できそうだという見解を得ることができました。

主にキャンプ用のテント同様ペグダウン方式での固定が、いつでも固定を解除できること=地面に固定されていないという点がポイントのようでした。

そのため、製品そのものは一般的なキャンプ用のテントとサウナテントにさほど違いはないということが分かりました。


【建築基準法上の取り扱い確認ポイント】
②テントサウナのサービス運用内容

つづいての確認ポイントとしては、サウナテントを使ってどのようなサービスを運用していくのかについてすり合わせを行いました。

これは先ほどの「軽微なテント工作物(建築物にならないもの)」の定義として該当しそうな

② キャンプ用テント、運動会用テント等の一時的な使用を目的としたもの

上記の条文の"一時的な使用"を目的としたものかどうかの判断を行うためでした。

打合せでは企画書案をもとに下記のような開催想定がある旨を説明をしました。

ーーーーーーーーーーーーーーーー
・予約制で開催を行うこと
・週末や連休、予約が見込まれた日の開催
 (1回あたり1~3日間の開催)
・集落でのシーズン開催
 (1か月~2か月の期間限定開催)
ーーーーーーーーーーーーーーーー

(ただし、詳細なオペレーション内容は公衆浴場法の適合を踏まえて調整していく必要があるため、今後検討する旨も伝えました)

担当者とのすり合わせ中で、上記条文の"一時的な使用"という言葉の解釈の範疇について模索をしていったところを下記のような見解が得られました。

・通常のキャンプ用のテントで宿泊をするような期間(1泊2日や2泊3日など)の開催期間は"一時的な使用"と解釈してもよい
・当日中に設営・撤去を行う場合(例:朝設置し夕方撤去するなど)は、テントサウナによる生業の開催期間に関わらず”一時的な使用”と解釈してもよい

上記のような見解を得られたため、建築基準法上の建築物に該当しない状態で、私たちが想定している1~2か月などの中長期のシーズン開催も上記運用であれば可能というところに落ち着きました。

【まとめ】テントサウナは建築基準法上の建築物に相当するか?

・建築基準法上の取り扱いはまず各都道府県の建築物の定義を確認
・"一時的"利用であればテントサウナは建築物に相当しない
・最終的にはテントサウナのサービス運用内容を踏まえた判断が必要

今回は、公衆浴場法の適合に挑戦する前の前提確認ということで、テントサウナの建築基準法上の取り扱いについて、条文の解釈を中心に確認しました。

実際には公衆浴場法の適合に必要なサービスの運用が必要になるため、建築基準法上の取り扱いに準じるような運用と相反する場面が想定されます。

(それは別途テントサウナと公衆浴場法の記事にて詳しく書きたいと思います...)

なので、建築基準法上の取り扱いについても最終的に「"一時的"な使用を目的」としたものかどうかはサービスの運用内容によって判断する必要がありますので、ご注意いただければと思います。

今回は「テントサウナと建築基準法」についてまとめさせていただきました。

引き続き、テントサウナを使ったサービスを営業していくために確認した法令や申請などについて随時Noteを更新していきます。


最後までお読みいただきましてありがとうございました。

私たち地域おこし協力隊は、洲本市(兵庫県の淡路島)の小規模集落に関わりながら活動しております。

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「集落を知ってもらう仕組み」「集落にお金が落ちる仕組み」「自身たちが稼いで生きていく方法」とそれらに"挑戦"する過程で得た気づきなどについて引き続きNoteを書いていきたいと思います。

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