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脱炭素時代をリードせよ!~日本の夜明け~

LEDの発明でノーベル物理学賞を受賞した天野教授が、現在はLEDと同じ素材「窒化ガリウム(GaN)」を半導体の素材とする開発に取り組んでいるとのことです。
現在の半導体素材の主流はシリコンですが、このシリコンは低電圧・小電流のパソコンやスマートフォンには向いていますが、これから脱炭素の分野でも需要が広がるEV、データセンター、再エネの蓄電や送配電システムなどは高電圧・大電流であり、シリコンでは電気抵抗による電力喪失が大きく、効率の面で向いていないとのことです。
このような高電圧・大電流の用途に向いている素材がGaNだということです。
この新素材の開発は、技術的に安心して使用できるところまで進んでいると天野教授は言います。
こういった記事には日本の未来の可能性を感じます。
しかし、課題もあるようで、

「長年一緒に研究する大手電機メーカーは多いが、ビジネスとなると話が違うらしい。量産には数百億~1000億円の投資が必要とあって、なかなか前に進まない。昔と比べて日本企業はリスクをとらなくなっている側面もある」

せっかく良いプロダクトを開発できても、それを活かしてビジネスに繋げ、しっかり儲けていく所が弱い点が日本の特徴です。
液晶パネル、リチウムイオン電池、など、川上(開発)で強くても、結局川下(販売)の戦いで中国、韓国にいい様にやられてしまいます。
ここぞ、という時を見極め、勝負していく気概が必要だと思います。
また、そういった分野に対する国による積極的な支援も欠かせません。
自民党内で積極財政か財政健全化かで議論が二分しているみたいですが、肝心なのは「どれくらい」使うかよりも、「なぜ、どのように」使うかです。

GaNをはじめ、全固体電池やNTTの開発した光電融合技術など、まさに脱炭素社会向けの技術開発において、日本は世界をリードしています。
これをしっかり儲けに繋げていくしたたかさが求められます。


かつて、「日の丸半導体」が凋落した背景には、アメリカとの摩擦がありました。
「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と浮かれていた当時、アメリカからしてみたら日本の存在は脅威だったかも知れません。
今では全く状況は異なります。
アメリカにとっての脅威は他にありますし、何よりも日本の没落ぶりは顕著で存在感もすっかり薄れてしまいました。
そんな今の日本の立ち位置だからこそ可能な、したたかな戦略はあると思います。

最後に、この記事で「日本の研究力は劣化している」との記者から問いに対し、天野教授はこのようなことも言っています。

「劣化という言葉が正しいかどうか疑問だ。私は悲観する必要はないと思っている。研究者の数を文部科学省の統計で見ると、大学と企業、公的機関を合わせてわずかだが増えている(05~07年の平均と15~17年の平均の比較)。人口あたりで見て他国と見劣りすることはない。論文の数は確かに減ったが、それは企業が技術をまねされないように戦略的に公表を控える傾向が強まったためではないか。大学発の論文は昔とそう変わっていない」

日本にはまだまだ人財がいます。
日本の夜明けはこれからです。
脱炭素時代をリードするのは日本です!

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