「捨てる」という概念を捨てよう

この記事冒頭に登場するテラサイクルの「『捨てる』という概念を捨てよう」というビジョン、微力ながら私もこのような世界を目指しているため、非常に共感致します。

さらに、CEOのトム・ザッキー氏の言葉、

「社会課題の解決はビジネスとしてやることで持続的になる。そもそも私は、環境問題の解決より、ビジネスに関心があった」

これぞまさに我が意を得たり!といった感じです。
この考え方については、以前にnote(COMEMO)に投稿させて頂きました。

ここまで考え方が通じるものがあると思うと、是非一献酌み交わしてみたいという気持ちにもなります。
とまあ、ここまでだいぶ上から目線みたいな感じで書いてしまいましたが、彼と私とでは月とスッポンという表現ではなお事足りぬ程の歴然たる差があるため、当然相手にされないと思いますが・・・。

また、別記事ですが、

ここでザッキー氏は、

「テラサイクルのミッションは、ごみという考えを世界からなくすこと。これまで廃棄物や使用済みの製品をリサイクルしてきたが、海洋プラスチックなどの問題が表面化する中、それだけで本当に十分なのだろうかという問いが生まれた。適正価格と利便性を維持しながら『使い捨て文化』からどう抜け出すかーー。この問いに答えるためにLoopは生まれた」

と、ビジョンについてより詳しく語っていますが、ここにザッキー氏の哲学が表れていると思いました。

『使い捨て文化』と真逆の文化がかつての日本にありました。

江戸時代は「修理して使い続ける」「何でも再利用」が当たり前の世の中だったようです。
今風に言えば、まさに「サーキュラーエコノミー」です。
私は追い求めるべき理想社会はここにあると考えています。
こう言うと、

「前近代的な生活に戻れというのか」

といった声が聞こえてきそうですが、もちろん、社会システムや生活様式諸々全く異なる現代において、江戸時代のシステムをそのまま取り入れることは不可能です。
当然、私の意図はそのようなことではなく、要は思想の問題なのです。

「ものを最後の最後まで大事に使い続ける」
「使い終わったものを無駄にしない」

この2点をそのまま現代に取り入れれば良いだけの話です。
この考え方は、「もったいない」という日本独自の言葉に表れている通りで、古くから日本人に浸透していたマインドなのだと思います。
しかし、戦後の高度経済成長期以降、「消費は美徳」という価値観が長く支配するようになり、大量生産、大量消費が当たり前の時代となり、日本においては「もったいない」という言葉はもはや死語となりつつある状況です。
一方、メーカーがものを作っても売れなくなる時代になりました。
「作れば何でも売れる」というのは、高度経済成長期という特殊な状況が生み出した、極めて稀な現象だったのです。
現に、異次元の金融緩和により市中に回るお金はどんどん増えていますが、それが使われ経済が好循環していく兆しは見えていません。
経済を回していくためには、今のシステムの延長ではなく、より一層価値を重視した経済にシフトしていくべきです。
今、欧州を中心に、新しい経済の在り方としてサーキュラーエコノミーに移行していこうという経済・産業政策が進められいます。
日本では150年以上も前に、既に高度なサーキュラーエコノミーを実現できていました。
私たちはその遺伝子を持っていますし、思想はまだわずかばかりでも残っていると思います。
今こそ、日本においてサーキュラーエコノミーを実現させ、世界に対しこの分野でイニシアチブを発揮していきたいところです。
それが2020年代の未来予想図となることを信じます。
そのために、私自身も前述のザッキー氏の爪の垢を煎じて飲むつもりで、サーキュラーエコノミー実現に向けて精進していきたいと思います。


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