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雑誌付録の始まりと定着のナゾ【未来を生きる文章術013】

 2002年4月1日のコラム。豪華な付録が雑誌に付くのは当たり前の光景になりましたし、オフィス用の置き菓子も定着した感があります。

 その始まりがこの頃。2001年に雑誌付録の重さなどの規制が緩和されたのがきっかけです。またオフィスグリコが始まったのが、ここで紹介しているリリース(3月)から。

 コラムでは、雑誌付録人気に関して、「お得感」や「物欲」ではない消費者心理をくすぐっている可能性について触れています。
 これ、あたっているようだけどもう一歩踏み込めそうな、隔靴掻痒を感じます。われわれはなぜ、雑誌付録を求めるのでしょう?

 ある種の情報消費であるような気もします。仮にそうであれば、冊子付の野菜宅配のような地域活性化の取り組みにも通じるもの。しかし、ちょっとそこまでの共通性は無いかな。

 昨今言われる、物欲の減退とリンクしている気はします。モノ単体でなら購入しないけれど、付録になっていれば物欲を刺激する。

 ね、われわれはなぜ雑誌付録を求めるのでしょうね?

■ ■ ■

主客転倒おまけ業界、変遷する消費のトリガー

日経ビジネスExpress2002年4月1日掲載

 タカラと海洋堂が業務提携し、「チョコQ」と名づけられた卵型チョコレートのシリーズを発売すると発表されました。卵型チョコレートといえば、フルタ製菓のチョコエッグの大ヒットが記憶に新しいところ。そのフィギュアを提供していたのが海洋堂でしたが、継続についての商談がまとまらず、関係が終了していました。海洋堂としては、新しい提携先と卵型のシリーズを継続していくことになるわけです。
 おまけつきのお菓子、いわゆるがん具菓子の市場は年間500億円ともいいます。菓子市場全体が飽和状態の中で、可能性の高い分野として注目されており、菓子メーカーだけではなく、タカラ、コナミ、トミーといった娯楽系のメーカーも参入、にぎやかな競争が繰り広げられています。

 電通がモニターに調査した2001年のヒット商品アンケートを参照しても、がん具菓子は上位にランクイン。会社で流行したというコメントが紹介されていますが、消費の一翼は大人が担っています。
 背景のひとつには、会社で飲食することへの抵抗が薄れたことがあるのではないでしょうか。ペットボトル片手に仕事をする姿が一般的になりましたし、オフィスなどに設置するお菓子専用ボックスが登場したりもしています。がん具菓子は、子どもルートだけではなく、オフィスでも口コミが広がっていくわけです。

 もっとも、おまけは菓子だけではなく雑誌でも人気です。携帯ストラップやTシャツなどがおまけについた雑誌を購入されえた方も多いことでしょう。子供雑誌の付録だけではなく、大人向け雑誌のおまけも、購入のトリガー(消費のきっかけ)として有効なのです。
 それにしても、菓子や雑誌に「おまけ」として提供されている商品を、仮により安い価格で単独で販売していたとして、はたして購入されるものでしょうか。そう考えると、「おまけブーム」には、ときに指摘される大人の幼児化といった現象やお得感の刺激といった理由よりは、もう少し複雑な心理が隠れていそうです。

 消費者は付加価値を求めるものですが、おまけの場合、商品そのものとは直接関係ない場合が多く、付加価値とはいえません。いわば「あそび」の部分。あってもなくてもいいのだけれど、あると楽しい。そのあってもなくてもいい部分に、本気で力を入れている。それは、文化の豊かさかもしれないと感じます。
 ブームのおかげで、おまけが「子供だまし」で通用することはなくなりました。このところのがん具菓子は、テーマに関する説明が充実しているものが多くあります。がん具を通して「雑学」を蓄えることで人間的な幅が広がるなら、子供オトナも捨てたものじゃないですよね。

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ゼロ年代に『日経ビジネス』系のウェブメディアに連載していた文章を、15年後に振り返りつつ、現代へのヒントを探ります。歴史が未来を作る。過去の文章に突っ込むという異色の文章指南としてもお楽しみください。

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雑文を書いたり、地域づくりに取り組んだり、そんな日々です。noteでは、ゼロ年代に『日経ビジネス』関連のウェブメディアに連載したコラムを現代の眼で振り返ります。時代の変遷に未来への目線を養う。あわせて、15年以上前の自分の文章に突っ込むという異色の文章指南・文章論でもあります。
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