マガジンのカバー画像

らくごはん

10
落語に出てくる食べ物いろいろ。その雑感。
運営しているクリエイター

2014年11月の記事一覧

らくごはん(6)

「ちりとてちん」
灘の生一本、鯛の刺身、鰻の蒲焼き、台湾名物ちりとてちん

自他ともに認める食いしん坊である。
人前で食べ物のことを話すのは、下品だ卑しいと言われようが、
まぁ、気にしない。いや、気にするけれど気にしないことにしている。
だって、誰かと美味しいごはんを食べることほど、
幸せなことってないような気がする。
そして、一緒にごはんを食べる誰かが、
同じように美味しく、そして幸せに感

もっとみる

らくごはん(5)番外編

「擬宝珠」擬宝珠

正確に言うと食べ物の噺でははない。
いや、正確に言わなくてもそうなんだけれど…。

柳家喬太郎師匠が、埋もれていた古典の中から掘り起こした
「擬宝珠」という噺がある。

ある大家の若旦那。原因不明の病で床に伏せってしまい、
年老いた両親は心配でおたおた。
若旦那の幼なじみの職人の熊さんに、
その理由を聞き出して欲しいと呼び出す。
気心のしれたの熊さんにならと、若旦那が語ったとこ

もっとみる

らくごはん(4)

「長短」 まんじゅう

気が短く、いかにも江戸っ子気質の短七さんと、
気が長いというか、のんびり屋の長さんは幼なじみ。
性格は真逆のふたりだけどなぜか気が合う。
今日も短七さんの長屋に、長さんが訪ねてきておしゃべり。
だけど、気が短い短七さんは、長さんのしゃべり方もゆっくりで、
一向に核心に辿りつかない話にイライラ…。
お茶請けにまんじゅうを出せば、そのスローな食べ方にまたイライラ…。
煙草の吸い

もっとみる

らくごはん(3)

「王子の狐」天ぷら、刺身、玉子焼き、油揚げ、ぼたもち

今も北区・王子にある王子稲荷は、
人を化かす狐がいることで、昔から有名だったらしい。
参詣に訪れた男が、たまたま狐が若い女に化けるのも見てしまう。
周囲にひとはいなく、男は狐を化かされた振りをして、
反対に狐を騙してやれと考える。
「お玉ちゃん」とまるで旧知の仲のように声をかけると、
化かす気満々の狐も「あら、お久しぶり」と乗ってきて、
ふた

もっとみる

らくごはん(2)

「百川」 くわいのきんとん

落語には、聞き違いや勘違いから起きる騒動を描いた噺が結構ある。
相手の発音が不明瞭で聞き取れなかったり、知ったかぶりや思い込みで
本当の意味を汲み取ることができず、
誤解が誤解を招き思いがけない方向へと進んでいく。

「百川」は、そんな聞き違いと勘違いの噺。
舞台は日本橋のあたり。
「百川」という実在した老舗の料亭が舞台。
仲介屋の口利きで「百川」に仕事を求めにきた百

もっとみる

らくごはん(1)

「らくだ」お煮染め、にぎり飯

落語とごはんの話を書きたいと思う。
理由はどちらも好きだから。

一度、「恋女房とおでん」というタイトルで、
落語の「替わり目」という噺に出てくるおでんのことを書いたけれど、
ちょこちょこっと、今後も書いていけたらと思う。

落語に出てくる食べ物といえば、
そば、うどん、まんじゅう、豆腐、羊羹、うなぎ、おでん、鰯の塩焼き、
鯉のあらい、鯛のお刺身…。結構、今と変わら

もっとみる