ルージュ・ノワール

人生を大きく変える選択、というのはそう何回もあるものではない。大抵はどっちのルートを選んでも長い人生で見るとそんなに大差はない。例えば、明日の夜ご飯を寿司にしても焼肉にしても同じように明後日はくるでしょ?とは言え、何も考えずボーッと過ごせるほど日常も簡単じゃない。この世の中は微妙に難しいもので満ち溢れている。

それに加えて、僕は社会人としてしっかりしているかと言われれば決してそんなことはない。どっちが上座かも、小難しい税金の事もあんまり分かってない。ふるさと納税と言うものをやってみたいけど何をすればいいのかわからない。どなたか教えていただけないだろうか。それに、知らないマナーもいっぱいある。アンケートに"あなたは世間知らずですか?"という項目があれば僕はちょっと考えたあと"どちらかといえば当てはまる"に◯をするだろう。

世の中の微妙に難しいこと×僕の不甲斐なさ

によって僕の生活には少々問題が発生している。そのうちの1つに"靴下問題"と言うのがある。僕が靴下に無頓着が故に起きる問題だ。

去年、クラス写真を撮った。僕はてっきり外で撮ると思っていたが撮影場所は体育館だった。式などで上履きを脱ぐ事が分かっている日は黒の靴下を履くのだが、それ以外の日は特に何も考えずに靴下を選ぶ。その日は真っ赤な靴下だった。クラスの生徒が「スカートが短い!!」と怒られているその横で「靴下が赤い!」と先輩の先生から注意を受けた。結局僕のクラスだけ先生は全員上履きを履いて写真に写った。僕が真っ赤な靴下を履いてきたばかりに。その後、一部始終を見ていた別の先生は「レッドソックス....」とボソッとイジってくれた。僕はヘラヘラするわけにもいかないので"さくらももこが描く顔中に縦線が入ったあの表情"をした。

今年も何度か"不意に上履きを脱がなくてはいけない機会"に遭遇した。その度に僕は体育館の後ろの方で足を重ねて立っている。それはフラミンゴのように体温が地面に逃げないようにするため、ではない。もう片方の足を守っているのだ。"二足ともアウト"でツーアウト取られないように。"2足とも黒い靴下"ではない事を観測されるまでは"片方は黒い靴下"の可能性が残っているのだから。

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