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捨てられない 「未来」への「過去」

東京でも緊急事態宣言が解除となった。
この2ヶ月、ほぼ家から出ない生活でいろいろとあった。
ちょこっと模様替えしてみたり、ひげ伸ばしてみたり、そんな一環で棚の中整理してみたり。

もう見えないのに、捨てられない雑誌がたくさんあったのだけど、大半を捨てることにした。あと捨てられないのは、昔のクライミング雑誌「岩と雪」などと、世界へと思いを馳せページをめくっていた創刊号からのNational Geographic日本版ぐらい。

逆に捨てることにしたのはL.L.Beanの通信販売カタログたち。90年代に$1=80円代という超円高で、アウトドア衣料品を中心に海外通販ブームがあったので、手にしたことのある方は結構いると思う。
我が家にもどっさり残っていて、あのポストに届くカタログを1ページ1ページめくるのが楽しみだった。そんな思い出が詰まっているけど、このネットの時代、信じられない化石のような思い出だろう。

だけど、どうしても捨てられないカタログが1冊だけある。

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私は93年から8年ほどL.L.Bean Japanと言う会社で働き、その大半を、任せてもらったお客様をアウトドアスクールやツアーへご案内する仕事をして過ごした。一体何キロ荷物で満載の車を走らせ、何人の方と空や星を見上げ、寝袋で朝を迎えただろう。心血を注いだ素晴らしい時間だった。

そんな自分が日本全国で、そして本店のあるアメリカ・メイン州へとお客様をご案内していたプログラムを、商品にまじり紹介してもらった記念すべきカタログ。

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アメリカ本社でもなかなか承認されることのない企画で、その文言一つ一つに本国の承認が必要となるようなものだった。

学生時代に3年ほどアルバイトをして過ごしたホテルのバーでは、サービス業を通じてお客様って何だろうと学ばせてもらった。
社会人として最初に3年ほど過ごした旅行会社の営業職では、自分の無能さと向き合いながら仕事について学ばせてもらった。
そして転職したL.L.Bean Japanで、たくさんの試行錯誤、そして失敗と経験をさせてもらった。
全ては今のモンキーマジックにつながるものだと思う。

自分が前に向かって生きていられる力のひとつは、この過ごしてきた時間ひとつひとつが線となってつながっている実感があるからだ、と思うことが多々ある。
光が感じられなくなっても、今以上に目が見えなくなっていっても、自分は重ねてゆく経験をきっとこれからも未来へとつなげてゆくんだろう。
明日へとつながる大事な過去の証、やはり捨てられません!

さぁ、少しずつだけど、次なる未来へ動き出そう!


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小林幸一郎@NPO法人モンキーマジック代表
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