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7.キングダム展 2021年7月25日(日)

はい、こぼば野史です。

まずは前々回の告知から。前回も歴史のお話を書きました。現在行っているオリンピックをネタに、アフリカの歴史を紐解きました。


ここから今日、というか昨日のお話。
タイトルの通り、日付変わって昨日、2021年7月25日は東京は上野の森美術館に行ってきました。
目的は7月25日が最終日だった「キングダム展-信-」です。

『キングダム』は週刊ヤングジャンプで原泰久先生が連載している歴史マンガ。
数年前、テレビ朝日系「アメトーーク!」でも取り上げられたりして話題になったマンガですね。
あらすじは以下の通り。

時は紀元前、春秋戦国時代。いまだ一度も統一されたことのない中国大陸は500年もの動乱期。
戦国七雄の一つ「秦国」の身寄りのない少年・信と漂は、今は奴隷のような身なれど、いつか武功をあげて天下一の将軍になることを夢見て修行に励む。そんな二人が偶然、秦国の大臣に出会ったことから運命の歯車が動き出す!

キングダム特設サイト(https://youngjump.jp/kingdom/)より引用

単行本は2021年7月26日の時点で62巻まで出ています。

この主人公の少年というか青年、「」なる人物は、歴史上、本当に存在した人物です。中国の歴史書の1つ、前漢の武帝代に司馬遷が書いた『史記』や、宋代に欧陽脩たちが皇帝の命で勅撰した『新唐書』などに、エピソードがあります。

秦の将軍である李信は、年少であるにもかかわらずすこぶる勇ましく、……(原文:秦将李信者、年少壮勇、……)-『史記』白起・王翦列伝

前漢の李姓の将軍で広という者は、隴西県成紀郡が出身の人である。その祖先は李信といい、秦の時代は将軍になり、……(原文:李将軍広者、隴西成紀人也。其先曰李信、秦時為将、……)-『史記』李将軍列伝

が生まれ、信の字は有成で、後に信は大将軍・隴西侯となった。(原文:生、字有成、大将軍・隴西侯。)-『新唐書』宗室世系表

上記2つ目のエピソードの「前漢の李姓の将軍で広という者」は李広という将軍です。世界史をよく学ばれている方は、「フェルガナ遠征で有名なあの李広利将軍?」と思うかもしれませんが、同一人物ではありません。李広は生年未詳の没年紀元前119年、李広利は生年未詳の没年紀元前88年、没年から計算しても、30年ほどの歴史の差があります。
私は最初、同一人物だと思いました。調べてよかったよかった。

李姓はこの後の歴史でもよく目にしますよね。前漢ではもう1人、中島敦の小説で名高い、李陵将軍もいます。しかし、日本人に馴染みの深い、三国時代ではあまり出てこないですかね。ふと思い出すのは、曹操軍の将軍、李典李通ぐらいですか。


他にも、李信はエピソードに事欠きません。上述の『新唐書』では、唐の皇帝一族も李姓であり、さらに隴西の出身としていることから、李信が先祖ということになっています。信憑性はありませんが。

それでも、李信という人物が数千年前の中国にいたのは紛れもない事実でしょう。さらに、『史記』には後の始皇帝である嬴政は勿論、羌廆、楊端和、蒙恬、蒙武、蒙驁、王賁、王翦、桓騎、騰……と実在が証明されている人物が多いです。秦の文官や他国の将軍クラスも言わずもがな。

史実と脚色が相まっている歴史マンガ『キングダム』、中国の歴史を学ぶには楽しいツールだと思います。脚色や人物の偏見を少し考えなければいけませんが。


ただ、個人的に、中国の歴史を学んでいる人間からすると、クライマックスへの伏線は既に仕上がっていると思うんですよね。登場人物を見るに。

とまあ色々言いましたが、
原泰久先生、『キングダム』、15周年おめでとうございます。

15年、嬴政が言った中華を統一するのに必要な年月ですね。必要、というかほとんど義務ですが。15年で統一を成さねばならない。

今日はこのへんで。
2日連続で歴史の話になりました。2回連続ではないけれど。

頓首頓首。

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