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芥川龍之介論2.0

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2022年8月の記事一覧

『三四郎』の謎について37    これは何処の方言だろう?

『三四郎』の謎について37 これは何処の方言だろう?

 漱石全集の編纂に当たっては、小宮豊隆らが夏目漱石独特の文法に苦慮したそうですが、「ぶれ」とも「間違い」とも判別できない独特な表現というものが『三四郎』にも見られますね。

 中国系の外国人の方がよく助詞をぬかしますね。語順でなんとか意味を決めようとして時々戸惑わされます。

 そしてここ、

「二階にいる」
「二階に何をしている」

 は、

「来て、二階にいる」
「二階で何をしている」

 …

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『三四郎』の謎について28   美禰子は何故金を持っているのか?

『三四郎』の謎について28 美禰子は何故金を持っているのか?

 これもこれまで殆ど言われてこなかった話です。

 近代文学1.0において、やたらと「高等遊民」の代表とされる『それから』の代助ですが、『それから』の中で代助が「高等遊民」を自称した事実はなく実は「上等人種と自分を考えているだけ」なんです。こうした事実は事実としてきちんと整理していかなくてはならないと思います。

 すごくシンプルに言えば、柄谷行人なんか読むのを止めて、ちゃんとしようよ、ということ

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萩原朔太郎「小說家の俳句-俳人としての芥川龍之介と室生犀星-」

萩原朔太郎「小說家の俳句-俳人としての芥川龍之介と室生犀星-」

小說家の俳句-俳人としての芥川龍之介と室生犀星-

 芥川龍之介氏とは、生前よく俳句の話をし、時には意志の相違から、激論に及んだことさへもある。それに氏には「余が俳句觀」と題するエツセイもある程なので、さだめし作品が多量にあることだと思ひ、いつかまとめて讀んだ上、俳人芥川龍之介論を書かうと樂しみにしてゐた。

 然るに今度全集をよみ、意外にその寡作なのに驚いた。全集に網羅されてる俳句は、日記旅行記

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