見出し画像

漫画「花男」でほっこりした3連休

最初に言っておきますと、私が読んだ「花男(はなおとこ)」は「ピンポン」などで知られる松本大洋さんの作品です。「花より男子」ではありません。

あらすじを超ざっくり言ってしまうと、父と子の物語。もう少し詳しく書くと、↓

ク-ルで常識的、成績優秀な小学3年生の茂雄は母親とふたり暮らし。
夏休みを迎え、さあ、これから塾だ、がんばるぞ!というその時、母の花織から、夏休みの間、父のもとに行って暮らすようにと言われたからびっくり。
何といっても父は、プロ野球の選手になるといって家を飛びだし、30歳となった今もその夢を追い続けている「夢追い人」なのだった。
(アマゾンの紹介文より)

初めて読んだのは大学1年の頃。それまでジャンプ、マガジン、サンデー、チャンピオンしか読んだことの無かった私は、それ以外の漫画を読むことでなんだかちょっと「知ってるヤツ」になれる気がして色々と手を出していました。

そんなこじらせ気味な青年でしたが、

一度見たら忘れられない父、花男(はなお)の、小太り坊主、年中野球のユニフォーム姿、目の下には黒いシールという出で立ちや、

クールで秀才、口の悪い息子、茂雄(しげお)が段々と変わっていく様子などに打たれ、

「花男」を読み終わった後には「この漫画は大切にしよう」と心に決め、以降引越しや大きな断捨離でも処分することなく、気付けば20年ほど経って今に至ります。

前回読んだのは約10年前。この時に一番グッと来たのは父と子が魂を震わせるラストのシーンでした。

ちなみにこの時、結婚はしていたものの子どもはおらず、「自分に子どもができた時に読んだら、どう感じるのかな」と考えたのを覚えています。

そして今回。三連休前日の夜に「そうだ、花男があるじゃないか!」と思い出し、忘れていたお宝を発掘したような気分で読み始めました。

一気に読むのではなく、少しずつじっくり読み進め、3日かけて今日読み終わりました。

相変わらず素晴らしかった。。

特に今回は、脇役の魅力を再確認したというか。

天才児、茂雄をして「天敵」と言わしめるも終盤には彼を導く駄菓子屋のばあちゃんや、子どもの頃から花男を支える八百屋の八ちゃん、昔気質の腕の良いバット職人の源六さん、ボケて一日中一人でケラケラ笑っているじいちゃんなど、彼らを通して花男と茂雄を見ることでだいぶ深みが増すのです。

そして最も印象に残ったのは、父、花男が見せる息子、茂雄への愛情表現でした。花男は野球において凄まじい実力を誇りますが、アタマは少々弱い。というか、かなり弱い。

オマケに経済力も無い花男ですが、彼なりに全開の愛情表現をします。

迎えに来るなと言われても行くし、ホームランを打てば息子に捧げるし、息子がクリスマスに欲しがっている玩具を自分で作ってみたり。

その度に息子から冷たくあしらわれても、気にすることなく素直に愛情を伝えます。

私にも7歳の息子と5歳の娘がいます。私なりに彼らに愛情を伝えているつもりですが、特に言葉で愛情を伝えるのは、少し気恥しくてあまりできていません。

これからは花男を見習って、言葉でも愛情表現していきたいと思います。

※素敵なイラストはみんなのフォトギャラリーより、黒猫T郎さんの作品です、ありがとうございます!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?