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ランニング初心者こそ「心拍ゾーン」を活用すべきと考えるワケ

自身初の月間200キロ超え!

 現在、11月13日のつくばマラソンに向けて練習を続けています。純粋にタイムを狙って走るフルマラソンとしては今回で7本目になりますが、9月の月間走行距離は自身初めて200キロを超えることができました(215.2キロ)。

 諸事情あって走る時間が多少とれるようになったということはありますが…それでも、何が何でも200キロを超そうと思っていたわけでもなく、自然に走っていたら200キロを超えていた、という感覚です。練習内容は、以前にも書いた通り、インターバルのようなスピード系の練習は一切せず、ジョグやLSD中心。速く走りたくなる気分や距離を追いたくなる気分を抑えて、週2回、90~120分のロングジョグ120~180分のLSD(ロング・スロー・ディスタンス)をポイント練習とし、あとは40~60分ジョグを挟んで計週4回程度を走るというトレーニング内容でした。

 筋トレで筋肉をつけるにしても、ダイエットをするにしても、細胞が変わるサイクルは3か月といいます。マラソン練習の場合、3か月くらいしっかり走り込み、本番3週間前くらいからは練習量を減らして疲労を抜いていくのが定石ですから、11月のレースを見据えるのであれば、本来もう1か月前からこうした練習ができていればよかったのですが…まあ、できる範囲で仕上げていくしかないですね。

心拍ゾーン2で180分LSDにトライ

 9月の練習の締めとして行ったのが、180分LSDです。月半ばに行った120分LSDでは、1キロ7分ペース設定で走って心拍数が上がりすぎていたという反省点があったので、今回はウォッチのサーフェスもGPSの距離やペースではなく、5段階の心拍ゾーンの表示に切り替えて走りました。

ガーミンアプリのキャプチャ画像から

★心拍ゾーンについては下記参照
心拍ゾーンとは何ですか? | Garmin サポートセンター

 ですから、25キロの走行距離も、1キロ7分10秒という平均ペースも、心拍数がゾーン2(イージーゾーン)からはみ出ないように意識して3時間走り続けた結果としての数字です。途中の補給はRedBull1本だけ。2番目のキャプチャ画像のように、残り30分はどうしても疲労や補給不足などで心拍数がドリフト(漸増)しゾーン3(モデレートゾーン)に上がってしまいましたが、それでも前回の120分LSDのときのように最後にバテてしまうことなく、余裕をもって走り終えることができました。これできっと、僕の体内では毛細血管が発達し、脂肪燃焼効果もアップしていることでしょう、きっと…。

村上春樹さんが伝える「継続のコツ」

 改めて感じるのは、ランニング初心者ほど心拍数(心拍ゾーン)をもっと活用すべきではないか、ということです。ランニングを始めた人の7割は、半年以内に走るのをやめてしまうという統計データがあるそうです。それは、心拍ゾーンでいえばゾーン3の高めやゾーン4(ハードゾーン)で、知らず知らずのうちに走り続けてしまっており、疲れたり脚を痛めたりして嫌になってしまうからではないでしょうか。

 僕自身もそうですが、「一生懸命速く走ることが良いこと」という刷り込みは、どうしてもあるもの。ですから、ビギナーほど頑張って走ってしまい、その日は「速く走れたぞ」と満足感があったとしても、次の日に疲れが残り、それが2日、3日と続いて「やーめた」となってしまう。それを防ぐ助けになるのが、心拍ゾーンだと思うのです。同じ1キロ〇分ペースでも、体にかかる負荷は人それぞれですが、心拍数は各個人がもつ固有の物差しです。だからこそ、初めのうちは時計のペースではなく心拍ゾーンを見て、心拍数が上がり過ぎないゾーン1(リラックスゾーン)やゾーン2を指標にして走るのがいいと思うわけです。

 僕自身もLSD=ゾーン2、ジョグ=ゾーン3、速めのジョグ=低めのゾーン4・高めのゾーン3、というように心拍ゾーンを参照にすることで練習目的が明確化しましたし、余計な疲れも残ることなく、脚を痛めることなく、無理なく200キロを超えられました。自分の最大心拍数を入力して設定する必要があるというハードルはありますが(「220−年齢」の簡易式もあります)、今はどのランニングウォッチにも心拍計はデフォルトでついているものなので、活用しないともったいないですよね。

 村上春樹さんが、著書『走ることについて語るときに僕の語ること』(文藝春秋)のなかで、ランニングについて「長編小説を書いているときと同じ要領だ。もっと書き続けられそうなところで、思い切って筆を置く。そうれば翌日の作業のとりかかりが楽になる」と書いていますが、本当に良いたとえだと思います。実際にゾーン1~2で走ると「楽で気持ち良くて、もっと走れそう」と感じますし、そのペースである程度の時間でとどめておくことで、疲れを残すことなく翌日も「走ろう」と思える。それが、走力向上に最も大切な継続性につながるのだと思います。

「世界一のシューズ」でゆっくり走る

 さて、その9月末の180分LSDは「ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト% 2」を履いて行いました。先日のベルリンマラソンで、エリウド・キプチョゲ選手が2時間1分9秒と世界記録を更新した際に履いたモデルです。

ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト% 2

 さすがにトップレベルの選手が履くレーシングシューズでLSDをするのは「?」でしたが、ナイキの開発担当者は「サブ4レベルでもサブ5レベルでも履ける」とおっしゃっていたので試してみました。スピードモデルでゆっくり走る上で一番心配なのは「安定性」ですが、初代モデルと比べてソール面積がやや増えており、ゆっくりペースでも変にグラつくことはありませんでした。フル4時間、5時間レベルでも確かにレースで履けそうです。前モデルより少し重くなったようにも感じるので、その辺りがこの冬のマラソン・駅伝シーズンでどう評価されるのかが注目ですね。まあ、既に世界記録という結果は出ているのですが。

左は初代アルファフライ(サステナブル素材を使った「ネクストネーチャー」)

 ただ、初代に比べてだいぶ抑えられているとはいえ、「パスッ、パスッ」という独特の接地音は健在です。LSDのように接地時間が長い走り方だと、前を歩いている人は音が気になるようで、確実に振り向かれます(笑)。


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