LSDは必要か? 僕のようなタイプには必須メニューです
コーチによっても意見が分かれる練習
市民ランナーのマラソントレーニングのなかでメジャーなメニューの1つに、LSDというものがあります。初めて聞くと「何ですか、それ?」ってなりますよね。個人的には、ジミヘンとかビートルズのLucy in the sky… とかヤバいほうのものをイメージしてしまうのですが、マラソン練習のLSDとはLong Slow Distance の略で、文字通りゆっくりペースで長い時間(一般的には90分~180分程度)を走り続けるという練習です。酸素を体内に取り込む能力や脂肪燃焼能力を高めること、また、長い時間走り続ける基礎体力・脚力・精神力を鍛えること、などの目的があります。
とはいえ、必ず取り入れなければいけない練習かというとそういうことでもなく、市民ランナーを指導するコーチのなかでも「必要だ」という人と「必要ない」という人とで意見が分かれています。「必要ない」というコーチは「ペースを落とすことでフォームが崩れ、それが身についてしまう恐れがある」と言いますし、「必要だ」というコーチは「ペースを落としてフォームが崩れてしまうという人は、そもそも良いフォームで走れていない証左だ」と言います。
まあ、どちらの意見も当を得ていますし、確かにランナーのタイプによってはやらなくてもよいケースはあるとは思いますが、僕個人としては取り入れたほうがいい練習だと考えています。というのも、LSDは「ペースを抑えて走り続ける」という我慢を身につけるトレーニングでもあると思うからです。
データ的には3時間40分で走れるのに…
僕は『クリール』の取材で何度か自分の身体的データを計測したことがあり、いずれのデータも心肺機能的にはフルマラソンを3時間40分前後で走れる能力があることを示していましたが、4時間を切ることができていません。5キロ、10キロ、ハーフマラソンまでは、ほぼそのデータ通りのタイムで走れているのものの、フルマラソンだけはそうはいかないのです。
僕はもともとアイスホッケーという、いわばマラソンとは真逆の瞬発系のスポーツをやっていました。そのため、ランニングを始めた当初は「LSDでペースを落とす」感覚がそもそも分からず、どう走っても1キロ6分ペースに収まってしまうことがよくありました。昔取った杵柄でヘタに筋肉のバネがあり、我慢が利かずに気持ち良く走ってしまうからでしょう。ハーフまではそれで押しきれても、42.195キロまで距離が延びると気づかぬうちにオーバーペースに陥り、最後まで脚がもたないことが続いてしまっていたと感じます。
僕のような「昔の名前で出ています」的な、元体育会系で体力には自信があったのにフルマラソンでは結果が出ないという人は、「我慢してペースを維持する」意識を植え付ける意味でも、LSDはしっかりと取り入れてやったほうがいいのではないかと感じるわけです。もちろん、腰高の良いフォームを意識してね。
LSDの理想のペースとは?
で、具体的なLSDのペースについては、1キロ7分~8分ペースというのが一般的ですが、心拍ゾーンを参照にしてゾーン2(最大心拍数の60~70%、イージーゾーン)主体で走れるのが理想ではないかと考えています。11月のつくばマラソンに向けて先日、120分LSDを行いましたが、下のような結果でした。
う~ん、暑かったせいもありますが、ちょっと上がりすぎかなあ…。時計のペースは平均1キロ7分10秒でしたが、心拍数はゾーン3が全体の7割。平均130bpmなのでゾーン2に近いとはいえ、もっとブルーのゾーンが7~8割で余裕を持って走り終えられるように、時計も7分30秒~8分ペースくらいまで落とすべきでした(実際に最後のほうはバテバテでした)。今月末にはなんとか、180分をその理想通りに走り切れるようにもっていきたいな…と考えていますが、間に合うでしょうか? ちょっと焦り気味です。
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