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定位能力を高める‐成長期のトレーニング‐

いつもお読みいただき、ありがとうございます。
C-I Baseballの佐藤です。

C-I Baseballでは2024.1月より東京都内で小学生を対象にしたアカデミー事業を運営しております。2022年からは東京都内のリトルリーグチームにも帯同をし、多くの小学生の野球に携わってきました。

同活動における小学生選手に関わる中で、打球や送球の距離感や動きの強弱が苦手な選手を見ることが多く、技術練習の中でも克服するのに悩んでいる選手が多くいることを同時に感じています。

要因は競技の経験値や技術の習得におけるスキル要素など、さまざまにあるかと思います。

そういったケースに対して、運動指導やトレーニング指導をする現場では、どんなアシストができるでしょうか。

その要素を考えたときに、成長期の選手に対し基礎運動の構築やコーディネーション能力の向上を目的とした介入を考えます。

今回はその一例をご紹介していきます。


|定位能力

例えば、内野ゴロをアウトにするためには、自分の位置と送球するベースまでの距離感を認識する必要があります。

定位能力
知覚のはたらきによって方向や距離、あるいは位置関係を瞬時に察知し、それに合わせて身体の姿勢や動きをタイミングよく方向づけ、全身を巧みにコントロールする能力

引用:文献1

言い換えれば、動いているボールの動きなどに対して動きの変化を正確に把握し、調節する能力といえます。ボールの動きにより左右される野球のプレー中では、さまざまな場面で「定位能力」が必要とされます。

野球のプレーでの例で考えていきます。
例えば、内野守備の場面において、
捕球→送球というプレーを想像してみましょう。

①打者が打ったゴロ打球に対して、バウンドを合わせる

②捕球したボールを正確に送球するために、味方選手の位置や動き、相手のランナーの走るスピードなども計算に入れる

これが「定位能力」が必要とされる一例といえます。

もちろん予測ができないイレギュラーバウンドの処理などは例外ですが、対象物の動き・速度に対して適切に動きの強弱ができるかどうかが、定位能力が試される部分といえます。


|視機能の重要性-視空間認知-

定位能力を理解する上で、
視機能の解釈は重要であると捉えています。

先述したボールのバウンドや相手の動きなど、目からの情報入力が欠かせず、視覚機能の貢献が必要であることは言うまでもありません。

目で物体を捉える能力は、大きく分類し、
①視力
②視覚機能
③情報処理

の3つが挙げられます。

野球のプレーに活かすのはいずれの要素も重要ですが、特に「情報処理・出力」の部分はトレーニングで関われる部分も多いのではないでしょうか。

▶視空間認知
目に入った情報の空間内での位置や方向、
大きさや距離感などを把握する能力
(ボールの落下地点・軌道など)

「(打球に対して)このままのスピードだと弾いてしまうから、少し緩めて動こう」など、自分と対象物(ボール)との位置関係を空間・時間的に把握することができるようになります。いわゆる定位能力につながる部分です。

自己と空間の相対的位置の把握には視覚-眼球運動系と前庭系との相互作用が不可欠となるといわれております。

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