見出し画像

投球動作分析シリーズ2-手投げについて考える-

〇ライタープロフィール

画像1


私が執筆するnoteではセラピスト・トレーナー向けの「動作分析note」と

選手・指導者向けの「野球肩・肘予防note」を連載しています!

こちらは全12記事がまとめられていますので、ぜひお読みいただけたらと思います。




前回の動作分析では内側型野球肘にみられる「肘下がりの投球フォーム」についてお話させていただきました。

内側型野球肘の選手に特徴的な身体機能評価と動作の関連について詳細に解説させていただきました。投球障害評価にお悩みの方はぜひお読みいただけたらと思います。


今回のテーマは「手投げ」
野球に関わったことのある方なら聞いたことのあるワードではないでしょうか。
noteをご覧の方の中には、これから投球動作を勉強される方もいらっしゃると思いますので、はじめに「手投げ」について簡単に説明します。


「手投げ」とは

画像2

いわゆる、腕の力に頼った投球フォームを指します。投球動作は全身の運動連鎖により遂行されますが、下半身の力をうまく伝達できず、結果的に腕の力に頼った投球フォームとなることを指します。


よく野球の現場では選手の投球フォームをみて、
「手投げの投球フォームだ」
「下半身の力をうまく使えてない」

などと判断をされるかと思います。

私もよく感じます。

しかし、
●どんな動作をもって手投げと判断するのか?
●なぜ手投げになるのか?
●どういう身体機能の選手が手投げになりやすいのか?

というと、意外と曖昧な理解であったりするのではないかと思います。


今回も野球肘障害と投球動作との関係性を掘り進めていきたいと思います。





■手投げによって起こる投球障害


はじめに投球障害の病態から解説していきます。

手投げについては先程説明させていただきましたが、肩や肘にかかる負担が大きくなり重篤な投球障害を起こすことも少なくありません。


特に注意が必要なのはジュニア世代の手投げ

成長期特有の離断性骨軟骨炎(以下、OCD)には注意が必要です。


|OCD(離断性骨軟骨炎)


画像3

野球肘は部位によって大きく分けて内側型・外側型・後方型の3つのタイプがあります。

今回解説している外側型は外側型のみで起こるというより、内側型野球肘の既往があったり、内側型に随伴して起こっているケースがほとんどです。

OCDはAccelerationからFollow-throughに疼痛が出現することが多い野球肘です。初期は無痛であり、進行に伴い肘関節屈曲・伸展/前腕回内外可動域制限をきたすようになります。

画像4


図でも示しているように投げすぎだけではなく、

投球フォーム異常の関連性も高い特性があることがわかります。


加えて、小中学生は骨・軟骨がまだ弱い年齢であり、繰り返しその部分に力がかかり続けることで、上腕骨小頭の骨・軟骨の障害を生む要因となります。

画像5


cyber-baseball様の記事にOCDについてとてもわかりやすく解説されております。

こちらの記事からもわかるように早期発見ができることで保存的治療が可能ですが、進行してしまうと手術が必要なケースがでてきます。

内側型野球肘とは異なり、初期に症状がないため、選手自身が気づかないうちにケガが進行し、増悪したころに医療機関にかかり治癒機関が長くなることが多くあります。

また、OCDの知識が浸透していない現場でも
「なぜ痛みがないのに投げれないの?」となることも少なくありません。

選手自身が「痛みがないのに投げれない」となる心因的なストレスの緩和にかけるアプローチもおさえておきたいことの一つです。


|他競技と野球のOCDの違い

あまり肘に負担の少ない他競技でも発生することがあります。

他競技では自然治癒が一般的で重症化することが少ないですが、野球は他競技とは異なり、投球動作による負担が肘に加わることで重症化が進み、痛みや可動域制限などの症状が現れてきます。

つまり、

OCDの増悪因子=「投球による肘へのストレス」ということです。


まとめると

●OCDは小学生から中学生くらいまでの年齢で発症することが多い

●初期症状がないため早期発見が競技復帰までの期間を短くするポイント

●野球におけるOCDは投球による肘へのストレスが大きく関わっている



これらを踏まえてお読みいただけるとわかりやすいのではないかと思います。



■OCDの特徴となる身体機能


つぎに、異常な投球動作をきたす可能性の高い身体機能について整理していきます。

こちらの研究ではOCDと関連性の高かったフィジカルチェック項目として、
□投球フォームでの肘下がり
□非投球側の下肢の不安定性
□肩甲帯・胸椎の柔軟性の低下

がOCDに対する危険因子の可能性があると指摘されています。

画像6


■選手の投球動作から異常動作を分析する


実際の選手の投球動作を観察していきます。

障害ありきの話ではありますが、パフォーマンスレベルにも関わる重要な要素であると思います。

実際の選手の投球動作をみてみましょう!

ここから先は

2,920字 / 19画像
この記事のみ ¥ 290

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?