見出し画像

映画ドラえもんの観直しレビュー Part.8

Part.7 のつづき。
ついにラスト!前回の記事で書いたとおり、ラストだけ 6 本です。

のび太の人魚大海戦

海底を舞台とした作品は海底鬼岩城きがんじょうぶりかな?
序盤から架空海水まきぞえガスや架空水体感メガネというひみつ道具を使って、いつもの空き地や街に架空水を満たしてスキューバーダイビングができるようになる(普通に海に行くのではアカンかったのか?というツッコミは置いといて)。
まず架空水ってなんぞやとか、文字じゃなく口で言われるとちょっと分かりづらいな架空水とか思ったけど、要は普通の人には見えない架空の水を街中に満たせば、メガネをかけてる人は水を感じられて泳げるようになるよってモノ。VR 的なね?
で、そこに本物の魚を呼び込んでまさにスキューバダイビングができるようになるのだけど、これらを夜にやってるとは言え、魚は架空じゃないからメガネをかけてない人にも見えるんだよね。
いや、まずくねーか!?いくら夜とは言え 22 時とかだったよ。全然出歩いてる人いるよ!パパとか飲み会帰りで普通に外歩いてて魚見られてるじゃんかよ。
メガネをかけてない人には架空の水が見えないからこそ、魚が空中を漂ってる様子が一般人にも見えるカタチで遊ぶのはまずいだろw
もう最初からビックリしたわぁ。
ゲストキャラクターのソフィアは王女様で、女王のオンディーヌからいろいろお叱りを受けるシーンがあるけど、外の世界を見たいと言ったソフィアにダメだというのはどうかな。将来女王の座を継がせたいならむしろ外の世界を見たほうが良いのになぁ!
全体的なお話としては悪くはないんだけど、尺の問題なのか、要所要所で場面の切り替わりがいきなり過ぎてビビる。移動の様子がまるで描かれない箇所が何度もあって、ん??って一瞬ビックリする。
ゲストキャラクターのソフィアとメンバーとの別れのシーンがバッサリ無くて、え???ってなったし、ラストが謎のドラえもんの決めポーズで終わって、ん??となったしで、ちょっと雑さが目立っちゃったな。
エンディングに藤子先生の絵を使ってるところや、海底鬼岩城きがんじょうで使ってたひみつ道具、テントアパートを途中で使ってたのはニヤリとするポイント。

のび太の月面探査記

脚本を小説家の辻村深月が手掛けるということでちょっと話題になった作品。
原作コミックスの話し、およびひみつ道具「異説クラブメンバーズバッジ」に焦点を当てた話しで、個人的にはこんなドラえもんを読み込んでないとなかなか知らないようなこの道具に目を付けるとはな!とちょっと熱くなった。
しかもエスパーぼうしまで出してくるじゃん。映画にしか出てこないようなオリジナルの道具と思った人も多いんじゃないか。ちゃんと藤子先生が原作で描いていた道具だぞ。
結論から書くと、観終わって最初に抱いた感想が「藤子先生が脚本を描いたような物語だった」と。
話しの運び方とか、ゲストキャラクターたちのキャラクター性、エンタメだけでなく、子供が学習できる知識を教えてくれる事とか、いやほんとに漠然とそう思ったんだよね。とてもおもしろかった。
ムービットたちが作ってくれていたお餅料理うまそうだったなぁー。大福とか団子とか無性に食べたくなるねこの映画は。
スネ夫がエスパルのルナに完全に惚れてたのはちょっと面白かった。でもルナかわいいものな、しょうがないよ。
物語後半でしずかちゃんとルナが並んでドラえもん達を助けに来るシーンは熱いな!という気持ちと、ヒロイン 2 人が並んでるのは画面が華やかで良いなと思った。
何よりいつもは助けられる側になる事が多いしずかちゃんが機転を利かせて助けにくるというのも良い。
本来しずかちゃんは強い女の子だ。のび太が作り出してしまったうさぎ怪獣にひみつ道具のわすれろ草を使う場面でも、ドラえもんは対応できず、ジャイアンとスネ夫もビビってる中でしずかちゃんは勇気を出してうさぎ怪獣に立ち向かう。勇気と芯の強さを持っている。ここもなんか藤子先生っぽさを感じたんだよなぁ。
ドラえもんが終盤で言った「想像力は未来だ!人への思いやりだ!それをあきらめた時に、破壊が生まれるんだ!」というセリフはすごく心に刺さった。
リメイク作品ではないオリジナルの映画の中でもなかなかの名作!

のび太の恐竜

映画ドラえもん記念すべき第 1 作目。ここにきてようやく。
1980 年公開なのでさすがに古さを感じる。キャラデザだったりギャグテイストだったりがおそ松くんみたいに見える時があり、時代を感じさせる。
この頃はまだ自分も産まれていないので映画版は実はそんなに観たことがなくて今回でおそらく2 度目だと思う。
高校生の頃にこの映画の原作のコミックスを買い、そっちで読んでた方が多いくらいで、映画を観てても原作のコマが頭の中で流れてくる。
タイムマシンに乗っている演出がすごい。画面が緑になって色調が変わる!さすがに見づらいからか後の映画などではこの演出はなかったけど、時空感を移動している当時の演出の工夫だったのだろう。
でもタイムマシンの移動の時の音や、出口が開いた時の音はこの時点で既に完成しているのが凄いな。後の映画でも同じ音使ってるもんなぁ。
オープニング曲が「ぼくドラえもん」で頭テカテカするやつだ。すこしふしぎナイトのさっぱさんが、「ドラえもんの身体的特徴以外なにも歌っていない」と言っていたのを思い出したのだけど、改めて聴いてみるとマジでそうだなと。そこ以外特に意味のない四文字熟語的な言葉と、ホンワカパッパという謎の擬音を歌ってるだけだった。笑
ピー助の声がかわいくなくて笑った。でも原作通り「ピューイ」とは鳴いてる。後半ではスモールライトでめちゃくちゃ小さくされ、のび太に無造作にポケットに突っ込まれてるのは大丈夫か!?って不安になった。箱に入れてドラえもんのポケットに入れておいた方が安全ですって!
お話し自体は原作を何度も読んで知ってはいるものの、敵を欺いてタイムマシンを奪おうとしたり、途中の伏線から終盤の大逆転に繋がったりなどはドキドキさせてくれる。そして 40 年前の映画でも、ドラえもんたち 5 人が冒険をするという基本は変わらず安心感があり、今でも愛されているのはすごいなぁと思った。

のび太の恐竜2006

リメイク版のび太の恐竜。
旧ドラ版は映画ドラえもんの第 1 作目だったけど、リメイク版は新ドラ版の第 1 昨目の映画となった。
序盤から作画に対しておや?と思いながらのスタート。手書き風の作画はここまで観てきた作品でもいくつかあったけど、この映画は手書き感が他の作品よりも強めで、ドラえもんというよりはジブリを観てるような感覚が強かった。
ドラえもんの変顔のインパクトが強い。そんな変な目をさせなくても…と思う顔が多数。ネット上でネタにされてる画像で見たことあるなって顔も多かった。
ピー助の声は旧版よりかわいいなと思って聞いていたのだけど、ピー助が成長してから子役の棒読み鳴き声になってしまい、緑の巨人伝のキー坊の悪夢再来…!って感じで全く集中できなくなってしまった…どうしてこんな事に…。ちなみに声は当時子役だった神木隆之介くんだった。キー坊とは声優が違うらしいけど、同じ声かと思った。
中盤以降特にだけど、作画崩壊か…?って思った程に作画が崩れている箇所が多かった。元ジブリだったり、結構凄いスタッフが集まってたらしいから演出だったのかもしれないけど、それにしてもなぁという感じ。
旧版では最後はタイムパトロールに白亜紀の日本まで送ってもらってたけど、新版では自力で日本まで歩いたり海を渡ったりしててシンプルに、いやなんで?と思ってしまった。
最後はのび太の「うん、ちょっとね」という原作コミックにもあるセリフで終わったけど、その後の残りはエンディングで原作のコマを流して終わったのは何故だったんだ…。そこまでアニメでやれば良かったのに。
新ドラ最初の映画だから色々挑戦したり気合い入れまくってちょっと空回った作品だったのかも。1 作目だし仕方ないね!

のび太の新恐竜

まさかのリブート版?のび太の恐竜。
のび太の恐竜、のび太の恐竜 2006 と導入は似ているが、全く別の作品。
内容を全く知らずに見たので、もっと前者 2 つの作品を元にした話しかと思ってたからビックリした。
双子の恐竜、キューとミューの声はプロの声優、遠藤綾さんと釘宮理恵さんだったので安心!!のび太のパパのように「さすがプロだ。ちがうなあ…。」と言いたい気分!(パパのセリフについてはググって)
恐竜が基本的に CG 全開な感じでちょっと珍しい表現だった。しかもアニメ的というよりはリアル寄りな感じのデザイン。
6600 万年前の世界で、終盤に地球がピンチになった後の地球の様子を描いているが、終末感が出てて良かったな。のび太たちも下手すりゃ死ぬぞ…と思わせるような描写で緊張感を持つことができた。
ピー助が特別出演みたいな感じで出てきてちょっとビックリした。のび太の恐竜とは一応パラレルワールド的な扱いで今作は作ったらしいから、完全にファンサービス的な感じだね。時代的にもピー助は 1 億年前の恐竜だったけど、今作は 6600 万年前が舞台だし。
終盤にはどんでん返しもあったけど、のび太と竜の騎士を思い出すような展開だったかな。でもまぁ面白かったかも。最初はまたのび太の恐竜の作り直しなの?くらいで見てたから逆に良かったかもしれない。

のび太のワンニャン時空伝

映画ドラえもん 41 作品観直しレビュー。最後の作品は旧ドラの映画最後の作品となったワンニャン時空伝。やっぱり最後は世代だった旧ドラで締めたいなと。
のび太とふしぎ風使いの時と同じように、旧ドラの中でも特にキャラクターの黒目が大きめに描かれていたり、目にハイライトが入っていたり、全体的に丸っこかったりと、キャラクターデザインが変化している。しずかちゃんがちょっとあざとい。猫の格好に返信して舌をペロッと出して猫のポーズをするのはかなりあざといぞ!
オープニングではいつも通りのび太が「ドラえも〜ん!」と叫ぶが、その後ドラえもんも「のび太く〜ん!」と叫んでオープニングが始まる。旧ドラでは唯一のドラえもんが叫んで始まるオープニングとなった。最後だしな!
のび太の恐竜 3 作品で 6600 万年前、1 億年前と古代の地球にタイムマシンで行ったが、この作品では 3 億年前と最も最古な時代へと行くのび太たち。図らずも古代の時代に行く映画が続いていしまった。
泳げないのび太が溺れたイチを助けるために頑張って泳いだのには驚いた。
古代にある遊園地では宇宙小戦争リトルスターウォーズに出てきたロコロコ型の乗り物があったりして、古参のファンへのサービスなどもあった。
声優さんたちの声が高め。特にドラえもんとのび太はそれを顕著に感じた。年齢的に声を出すのも大変だったのかもしれない。
野良猫 3 匹の子孫も面白い関係性になっていたり、ドラえもんがシャミーに対してガチ惚れしてる様子が面白おかしかったり。
タイムリープ周りの話しは子供にはちょっと難しいかもしれないけど、結構面白かった。終わりが近づくにつれて、自分たちが観てきた旧ドラもこれが最後と思うと寂しい気持ちがこみ上げてきてしまったなぁ。


おわったー!!ついに全作品観終えたぞ。
約 2 ヶ月ちょっと、洗い物の時間は他に視聴途中のアニメがあるにも関わらずずっと iPad Pro でドラえもんを観ていたな。
時には週末にちゃんと時間とってテレビで 1 本観たものもあったし、ドラえもん漬けだったと言って過言ではない。

新ドラは今回初めて観た作品も多かったけど、多少んー…?と思う作品もあったけど、年々良い作品を作ろうとしている気持ちは伝わってきている。
特に個人的には、公開順でのび太のひみつ道具博物館ミュージアム以降はハズレが無かったんじゃないかな?のび太の宇宙英雄記スペースヒーローズはちょっと怪しかったけど、あれは完全に対象年齢を子供にあてた作品だったみたいだから、そう考えれば許容範囲かなと思える。
あと新ドラのほとんどの作品で使われていたオープニング曲「夢をかなえてドラえもん」も聞いてくうちに気に入ってきて、新ドラの映画のオープニング曲は全部これで良いなぁと思っている。一時期脳内ループしまくりだった。
声については、もうこのシリーズを始める前から新ドラの映画は何回か観ていたから、大山のぶ代さんとは別のドラえもんとして観ることができるようになっていたので違和感とかはもう感じない。慣れですな。

旧ドラは世代だったこともあってやっぱり安心感を持って観られたかな。新ドラを観てから旧ドラに帰ると実家に帰ったような気分だった。
新ドラは現代のアニメ作画だったり挑戦的な作画だったりで、旧ドラは昔ながらの温かみのある作画で、どちらも良い面があったし、別物として観ることができたからとても楽しめた。
旧ドラのオープニング曲「ドラえもんのうた」はもう魂に染み込んでいる歌なので、久しぶりにたっぷり聞いてしまったな。

前にも書いたように、ドラえもんの映画は映画館に観に行っても意外と子供を連れていない大人も学生も多かったりするから、大人が観ても楽しめる映画であると思う。
実際社会人 1,2 年目の頃は友達と毎週 DVD を借りてきては夜中に 1,2 作品観るというのを繰り返していたから、あまり観る機会が少なかった人たちはこの機会に観てみるのもアリかと。Amazon プライムビデオなら見放題だし。

と、そんなわけで 8 回に渡って続けてきたこのシリーズも終了!
シリーズをまとめたマガジンも作っているので、良ければ見てやってください。
来年の映画も楽しみだ。

この記事が参加している募集

アニメ感想文

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?