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愛しの4冊のメモたちを眺めながら、紙のメモの魅力を考えてみた

先日、エッセイストの中村洋太さんとお話をしました。

その際、中村さんが特に強い興味を示されていたのが、僕が普段持ち歩いている4つのメモ(うち1冊は手帳)。


たしかに、スマホですべてを完結させていた数年前の自分に、
「君は数年後、紙のメモを4冊持ち歩くようになってるよ」と伝えたら、「そんなバカなw」という反応をすると思います。

だって、遅いし、重いし、かさばるし、スマホで完結させた方が楽で効率的だもの…。

正直、この感覚は今でも変わっていません。効率的に情報を管理するのであればスマホとパソコンを使ってメモを行い、端末を問わず検索可能なクラウド環境に置いておくのが理想であることは間違いないでしょう。


ですが、その強みを理解した上でなお、僕は紙のメモに落ち着いてしまったのです。

ということで、今日は僕がなぜ4冊の紙のメモを持ち歩くようになったのか、その理由や背景をまとめてみようと思います。

「紙のメモを使うようになった背景」と「使っているメモの紹介」の大きく2つのパートに分けてまとめていきますので、気になったテーマをピックアップして読んでいただければ幸いです。


紙のメモを使うようになった背景

まずは、僕が紙のメモを使うようになった背景を改めて振り返ります。

前述の通り、僕は単純なスピードを求めるのであれば、デジタルメモに統一したほうが良いと今でも思っています。

ちなみに、紙の4冊に加えてデジタルメモを2種活用しており、主に使用するのはiPhone純正メモと「UpNote」というメモアプリです。

イメージとしては、
純正メモ→小さなアイデア(数十文字)
UpNote→ちょっと大きめのアイデア(数百文字)

という感じで使い分けています。
…が、これらはあくまでも紙のメモをサポートするための補助的なツールとして使っており、基本的には紙の4冊にメモすることが多いです。

これは紙のメモにも言えることなのですが、「この時はこれを使う!」と厳密に決めているわけではありません。ほとんど気分です。

「これに書きてえ!!」という心の声に従い、すぐさま書き始めます。


自分はなぜ紙のメモを使うようになったのか。
「絶対紙のメモが良い!」といった確固たる意志を持って紙のメモに変えたわけではありません。気づいたら増えていた、というほうが感覚としては近いと思います。

ここからは、なぜ僕が紙のメモに惹かれているのか、改めて考えてみようと思います。


メモに時間がかかる

紙のメモの好きなところを考え始めて、真っ先に浮かんできたのがこれでした。メモに時間がかかるのが良いんです。

「時間はかからないほうが良いでしょ!!」

という反論が出てくるのは当然のことで、これには僕も同意です。


では、時間をかけるメリットはどこにあるのか。それは、時間をかけたことによる愛着です。

「時間をかけて書いたのだから、大切に使いたい」

こんな愛着が生まれてくるのです。
そして、手帳やメモへの物質的な愛着だけでなく、記載した内容にも同様に愛着が生まれます。

「せっかく時間をかけてスケジューリングしたんだから、しっかり守りたい!」

「せっかく時間をかけて書いたんだから、内容をしっかり覚えておきたい!」

このような感情が生まれるようになったんです。


上記の感情は、デジタルツールを使っている間は実感できませんでした。最初に紙に移行したのはGoogleカレンダーから手帳への変更だったのですが、手帳に対して強い愛着を感じたことを記憶しています。

物質的な存在の有無もさることながら、やはり僕が愛着を持てた最大の理由はスケジューリングに時間がかかる点だと思っています。

Googleカレンダーを利用すれば、書くのも速いしコピペもできるしで、スケジューリングにかかる時間はかなり短縮されます。簡単に予定が組み替えられる点も魅力的。予定をポチっとしてスライドすればそれで予定変更終了です。時間にして1秒かからないこともあるでしょう。


一方、紙の手帳にはボールペンで記載しているため、書き換える際にはかなり手間がかかります。しかも、変更履歴が目に見えて残る。予定を変更すればするほど手帳は汚れてしまうため、できれば変更したくないという気持ちが生じます。

僕はフリーライターという職業柄、一人で完結できる予定が多く、大半は時間をずらせる予定です。そのため油断すると「明日やればいいか」という甘えがすぐに生じてしまいます。

その甘えを少しでも抑制し、自分との約束を守るための工夫が紙の手帳への移行だったのです。


他のアプリに脱線する危険がない

「書く・読むことしかできない」

これは、紙のメモの立派な強みだと思っています。他のアプリやネットサーフィンに脱線する恐れがないからです。

誰しも、スマホを使って何かをするとき、SNSやYoutubeに寄り道するものだと思っています。

僕は、何度このパターンにハマってきたかわかりません。ひどい時には、メモをする前にSNSを開き、何をメモしたかったのか忘れることもしばしばでした。


何にでも集中力を奪われてしまう僕にとって、スマホを起動させること自体がリスクになるんです。

一時期、「これは時間ぶっ飛び爆弾だ」と思ってスマホ依存を矯正していた時期もありました(実話)。


実際、「我慢すればいいじゃん」では済まないほどには、スマホの中毒性は高いと感じています。そして、この感覚に同調してくれる方も少なくないでしょう。

他のアプリに脱線する危険がないことは、紙のメモの素晴らしい強みだと思います。


思考のスピードに合っている


※この章は特に感覚的な話が多くなっておりますが、何卒ご了承くださいませ。


紙に書くのって、タイピングで書くよりも時間がかかりますよね。
この遅さが良い…。

僕は「素早く答えを出したい」と思うことは少なく、「一つひとつ深く考えたい」と考えることが圧倒的に多いタイプです。

頭の回転は、たぶん遅い方だと思います。いわゆるマルチタスクというやつも苦手で、一つのことに集中したほうが強みを発揮できると、自分では思っています。


あくまでも僕の感覚なんですけど、タイピングって、結構集中力使ってるんですよね。タイピングしている間って、次の文章が浮かんできません。

イメージとしては、
「カタカタカタカタ…。えーと、次は…うーん…。」みたいな感じ。
一文を書き終えてから、次の文章を考える感じですね。


では、手書きの場合はどうか。手書きの場合、その文章を書き終わるころにちょうど、次の文章が浮かんでくるんですよね。

イメージとしては、
「サラサラ(あ、次はあれ書こう)サラサラ…。サラサラサラ(次はあれだな)サラサラ…。」
みたいなイメージです。

私は一体何を言っているのでしょうか。


これはもう本当に感覚的な問題で、タイピングよりも書いているときの方が明らかに思考がまとまり、アイデアが浮かんでくるんです。

そして何より、「書く」という行為は心地良い…。
お気に入りのシャーペンで、お気に入りの紙に書き記すという行為には、デジタルツールには代えがたい快感があります。


近年はキーボードでは文字を書いていても、ペンで文字を書いた記憶がない、という方も少なくないのではないでしょうか。

実際、僕もそうでした。
しかし、久しぶりに手書きで文章を書いてみて、「タイピングで書くこと」と「ペンを使って書くこと」はまったく別の行為なのだな、という実感したんです。

ぜひ一度、ペンを手に取り、心を落ち着かせてゆっくりと文を記してみてください。
もしかすると、忘れていた「書く楽しさ」を思い出せるかもしれません。


そもそも本が好き!

あーだこーだ言ってきましたが、結局はここに行き着きます。

好きなんです。本という存在が。

手で紙に触れ、文字を目で追うことを身体が好んでいるのです。
これはもう理屈では説明できない感覚ですが、紙のメモを使っているだけで、幸せを感じます。

そして、メモを書けば書くほどオリジナルの本が形成されていきます。使ってメモはどんどん積み重なり、自分だけの記録として蓄積されていきます。本好きにとって、これほどの喜びはありません。

これはデジタルノートを使っていた時よりも、明らかに嬉しい瞬間です。
物質的に存在していること。この素晴らしさを感じさせてくれたのが、紙のメモでした。


使っているメモと使い方の紹介

長々と紙のメモの魅力を語ってしまいました。
ここからは、実際に僕が持ち歩いている4冊のメモと、その用途をご紹介したいと思います。

① 高橋書店『デスクダイアリー』

まずは1冊目、高橋書店さんの『デスクダイアリー』です。こちらは一般的な手帳としての用途で手帳として使用しており、主にスケジュール管理を中心に使っています。

タイプは週間レフト式と呼ばれるタイプ。左ページのタイムラインには予定を記載し、右ページには良かった点、悪かった点、改善点等を記入しています。

充実した週であるほど、ページの書き込みが多くなります。
書くことなくてほぼ白紙で終わる週もあります。

4年前、フリーランスとして活動し始めた当初はGoogleカレンダーだけで予定を管理してました。その後はGoogleカレンダーと手帳との併用。そして紙の手帳に一本化して今に至ります。


②無印良品『上質紙 スリムノート・無地』

続いて2冊目、無印良品さんの『上質紙 スリムノート・無地』。
これは今回紹介しているメモの中で一番おすすめ!

実際に手に取ってみるとわかるのですが、サイズ感がちょうど良すぎる!!
薄くて重量感もなく、気軽にカバンに入れて持ち運べます。


こちらは自由帳のように使っています。僕は普段、カフェでPCを開いて作業することが多いのですが、PCの右にはいつもこのスリムノートが置いてあります。

カフェの机って、店舗によって大きかったり小さかったりしますよね。そこでこのスリムノートの細長いフォルムが活躍するわけです。
大きいノートだと、目につく場所に置けないんですよね。

このサイズ感が本当に絶妙で、手元に置きやすいうえに、書く面積も十分に確保できる絶妙なサイズなんです。


そしてなんといっても…見てくださいしなやかなこのボディー!!↑↑

しなやか

手を放してもご覧の通り。勝手にページがめくれてしまうこともないので、片手でちょいちょいっとメモできてしまうんです。

筆圧弱くてすみません

作業中に浮かんできたアイデアや雑念は、このノートに書きなぐることで消化しています。脳のメモリを空けるために、アウトプット先として使っているイメージですね。

そしてこのスリムノート、商品名にもある通り「上質紙」を使用しております。ぶっちゃけ上質紙が何なのかはハッキリと理解してはいないのですが、これだけは自信を持ってお伝え出来ます。

書き心地が良すぎる…。


ザラザラすぎず、ツルツルすぎず、なんとも心地の良い書き心地なんです。高級感のある紙面に、お気に入りのシャーペンで、いつでも文字をサラサラ書き綴れる…。これだけで、このスリムノートを持ち歩く価値があるってもんです。

4冊のメモの中で一つおすすめしてくれって言われたら、迷いなくこのスリムノートをおすすめするくらいにはおすすめです。

残念ながら、触感まではnoteでお伝えすることはできませんので、お近くの無印良品さんでぜひ手に取ってみてください!


③DAIGO『無地切り取りミシンメモ』

続いて3冊目、DAIGOさんの『無地切り取りミシンメモ』です。
これは常にポケットに忍ばせているものですね。

小型のペンホルダーがついているのがベリーナイス!
購入時は鉛筆が付属品としてついていたのですが、ZEBRAさんから販売されている手帳用ボールペンがジャストフィットしたため、こちらに換装して使用しています。

この子は外出中はもちろん、家にいる間も常に持ち歩いていますね。
風呂・トイレ・就寝前なんかにアイデアが浮かんでくることが多いので、ここにサッと書き込んでしまいます。

後から他のメモに書き写すことも多いため、一旦メモしておく場所、という印象が強いかもしれません。


以前はこれをスマホメモオンリーでやっていたのですが、どうしてもTwitterかYoutubeに遷移しちゃってたんですよね。書くときもだし、見返すときもそう。スマホは僕にとって、家で持ち歩くには危なすぎる代物です。

そして、このメモの魅力として挙げられるのが、1ページごとに付いているミシン目!

よく見るとミシン目が!

これが本当に優秀で、書き写すのがめんどくさいときには、ここをペリっとはがしてそのまま手帳に貼り付けます。

僕はのりを持ち歩いていないので、基本的に書き写すことが多いのですが、手帳をシールやスタンプでカスタマイズするのが好きな方は、特に嬉しい機能になると思います。


④無印良品『文庫本ノート・薄型』

机の色と同化してしまったので、PCケースの上に置きました

そして最後4冊目、無印良品さんの『文庫本ノート・薄型』です。こちらは日々思い浮かんだ思考やアイデアを、それなりの長さで記しておきたいときに使っています。

これはつい最近、5月頭に買ってみたもので、まだまだ試用段階という感じ。薄型ではない通常版もあるのですが、やや分厚くて書きづらそう、携帯性に劣りそう、という理由で薄型を選びました。

しばらく使ってみた感想としては………かなり良い!

いま数えてみたところ、使い始めて1ヶ月ほどで15ページ分書いていました。サイズが小さいので、気が向いたときにサッと書けるのが良いですね。
noteになりそうなアイデアは、ここに記すのがよいかなと感じています。

新たな仲間

そして、このノートの最大の魅力、それは「自分の作品を作っている感」があることです。小さなことかもしれませんが、これは書くモチベーションに大きく関わります。

文庫本サイズかつ、しおり紐が付属しているため、かなり「本」という感じ。この「本らしさ」があることで、書く楽しみが増すだけでなく、読む楽しみも増している実感があります。

実際、他のメモをじっくり読みかえすことはあまりないのですが、この文庫本ノートだけは明らかに読み返す頻度が高いです。
特に読みかえすのは電車移動中。ポケットに収まるサイズで、デザインも落ち着いているので、何の違和感もなく電車内で取り出せます。

今後もリピート購入する予定なので、何冊もたまって第〇巻みたいな感じでコレクションするのが楽しみです。

おわりに

4冊のメモについてサッと紹介するつもりが、予想以上に長くなってしまいました。

紙のメモを使うようになって感じているのは、やはり「書く」って良いものだなあということです。
タイピングでは得られない栄養素が、そこにはある。

自分が書いた文章を後から読み返すと、タイピングで書いた文章と手書きで書いた文章って、明らかに雰囲気が異なるんですよね。柔らかさが違うというか、なんというか。


そしてここまで読んでいただいたあなたに、一つだけお願いをしたく…。
それは「ちょっとだけ時間をかけて手で書く」ことを、ぜひやってみてほしいということです。

私たちの生きている世界は、年々、加速しているように感じます。
書く行為にしても、スマホを使えば紙もペンも用意することなく、3秒で書き始めることができてしまいます。
僕は「手書き」という行為が、相対的に「遅いもの」になりつつあるのかな、と思いを馳せることが少なくありません。

それを考えるたびに、なんだか少し寂しい気持ちになる。
これは、加速する世界についていけない僕のささやかな反抗心なのかもしれません。

ですが、もし似た感覚を持っている方がいらっしゃるのであれば、手で書くことが何か忘れていた感覚を思い出させてくれるのではないか、と考えることがあるのです。


そして、僕の文章をここまで読んでくれている、ということは、感覚的に通ずるところがあるのかもしれない。

紙に書くことが、あなたに新しい発見や感覚を生み出すことを願いつつ、この文章を締めくくりたいと思います。

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!

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