フリーランスになりたいヒトの相談にのったハナシ その3
ここしばらく忙しかった。ヒト売りの契約案件で新しいプロジェクトが始まってしまい時間がなくなってしまった。さらに個人営業して獲得した3つ目の案件でもっと時間が無くなってしまい、週休0日の月月火水木金金。女の子の店に飲みに行くヒマすらない。
さらにフリーランスになりたいという変人が一人。
いつから駆け込み寺になったのか。
フリーランスは儲からない
前にも少し書いたのだが、フリーランスは儲からない。これは声を大にして言いたい。フリーランスは儲からない。
冷静に計算して欲しい
オッサンは年収2000万に近い状況になっている。2000万。かなりインパクトのある数字っぽく聞こえるけれど、これ、課税額考えたら世の中のヒトが思っている以上に残らないんだよな。
モデルケースとして、月額で150万の売上を得たとする。
リアルに分解していこう。
月額報酬の半分をまず所得税や事業税などの税金と消費税としてプールしなきゃならん。
この時点で残り75万。
健康保形・国民年金を引いて、税理士の顧問費用、家賃、水道、電気、ガス、携帯、回線通信量や、移動交通費。
他にも小規模事業者共済、iDeCoをやっていればもっと減る。
思っている以上に手元に残らない。
リアルな数字
150万の契約が取れるエンジニアはそんなにザラにいるわけでもない。きっと初めてのフリーランスデビューでスキルがあまり高くない状況となればよくて月額60万ぐらいから始まる。
半分を税金関係でプールして、残りで生活をする必要があるわけで。
しかも、案件は必ず毎月得られる保証はないうえに、老後の年金は厚生年金と比べて国民年金よりもずっと少ない。
その未来のリスクをとっても得られる報酬は一流企業や上場企業の会社員と可処分所得と比べて高い状況にもならない。
会社員でいる限り身分も保証されて、ローンも組めて、ある意味とても守られた状況であり、安定した身分を捨てることにもなる。
そこまで考えてフリーランスになりたいのかと。
20代女子エンジニアの悩み
オッサンからすると孫弟子になる関係になる。
元部下の部下になるのか。直接一緒に仕事はしたことがないが、元部下に話を聞いてもらえと、オッサンを紹介された、ということらしい。
彼女の悩みは非常にシンプルなものだった。地元に戻りたいが地元にはある程度の給与が貰える企業が存在していない。そこでリモートの仕事をやれる会社を選びたいが、スキルがマッチしない。
リーダー経験がなく現場でメンバーとして5年目。とりあえず手は動いて一通り仕事はできるがマネジメント経験はない。
IT村社会で生きてきたインフラ・ネットワークエンジニアなので転職したとしてもヒト売り企業でオンサイトの案件になってしまいクラウドエンジニアの業務に入るにはIT村社会から飛び出す必要がある。
IT村社会のヒト売りの仕事だとリモートワーク自体が敬遠されるしな。だからIT村社会のエンジニア平均年齢は毎年上がり続けてるし、新卒で新しいヒトが入ってもスキルが身に付いたらどんどん抜けてく。
フリーランスは高い報酬を得られる代わりに、それなりのスキルと経験を要求される。スキルと経験がないエンジニアに高い報酬を払うことなんてありえないのだ。
彼女の決断
オッサンがやっているメイン案件でインフラチームのサブリーダが欲しい状況となっているので、マネジメントスキルを磨きたいならそこにジョインすることは可能であることを伝えた。
報酬もオッサンがプロパーとプロジェクト予算を決める時にある程度は配慮できるので残念な感じにはしない。
ただし、勤怠しっかりしててそれっぽく仕事をして頑張ってます程度では残れない厳しい会社なので、その覚悟があれば。
彼女はその場でフリーランスになることを決め、オッサンは案件斡旋会社の営業を呼び出し顔合わせをして4月からフリーランスになることになった。オッサンはその予算を確定させるべく忙しかったというハナシ。
この手の相談を受けてて思うことが、男性よりも女性の方が勢いというか決断が早いな、と思うな。
後日談
この女性エンジニアには彼氏がいるのだが、年収差が4月から2倍になるようで、色々とあったらしい。
なんでか、彼氏のエンジニアがオッサンのトコに相談に来ることになってる。全く意味がわからない。俺は学校の先生かよ。
結婚して会社作りゃいいのに。
とか思ってたりするんだけれど、オッサンは基本的には善人なので、これからもそんな相談を受け続けるんだろうなぁと。他人の人生を変えてしまう局面に立ち会うのは、正直、気分が悪い。
色々とやってみて自分で出した結論、行動の結果、しんどいのも、苦しいのも、つらいのも、全て自分のモノなので、ひっそりと1人でとことんまで味わえばいいのに。それが生きていることの醍醐味だとも思うのだが。
他人の判断や意見を挟むってのは、オッサンにとっては耐えられない。例えそれが素晴らしくためになり得になりそうな意見であっても。
なんか、とっても、もったいない。
そう思ってしまうのだ。
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