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フリーランスになりたいヒトの相談にのったハナシ その2

 古い付き合いがあるエンジニアにnoteをやっていることを伝えて記事をいくつか読んで見て貰ったのだが、オッサンは普段喋ってる感じと文章では違うようで全く同一人物に思えない、というありがたい言葉を頂いた。
 何がどう違うのかと聞いてみたところ、文章の方が仕事がデキるエンジニアっぽくて現実との乖離が甚だしい、改善を求む。とのこと。

 マジで、よけーなお世話なんですが。
 十数年ぶりに匠のダンボールハウスに閉じめんぞ?

ハッキリとダメということもある

 フリーランスには向き不向きがある。これは考え方の差なので仕方がないと言えば仕方がないのだけれど、受け身のタイプはいつか喰っていけなくなる。そして、法律をある程度勉強できていない場合もよろしくない。

とある会社でおきたハナシ

 現場を渡り歩いていたIT傭兵であるオッサンは日本国内にあるほぼ全ての大手SIと呼ばれる会社の現場で仕事をしたことがある。製鉄会社風味なトコや自動車会社風味なトコも網羅しており金融系子会社まで含めると、職務経歴書だけは派手なエンジニアである。ただし、スキルも知識も人間性も髪の毛も薄っぺらい。豊富なのはバイタリティと内臓脂肪だけである。

 とある現場で一緒になったエンジニアから相談を受けたのがこのフリーランスどうよ?ってハナシである。
 アニメのタイトルになりそうな名前のビルから少し離れたところにラーメン屋があって、あまり美味しくはないラーメンが噂となり、ほぼ全員がチャーハンなどのコメを食べるという変わったお店だった。あの日は、午前中に障害が発生していてようやくケリがついた夕方ぐらいに昼ご飯を食べに出たんだと思う。

 そのエンジニア(以後はボギーと呼称しよう。)は、おもむろに切り出してきた話題が、会社からフリーランスにならないか?って言われているんだよな、というハナシだった。
 ボギーもIT傭兵でヒト売り企業から売られてきた人間である。ただし、あまりITのセンスが無いタイプのヒトだった。こんなことは書きたくないが、このITの仕事には能力とは別の向き不向きがある。ボギーはそれなりに経験が長いエンジニアだったけれど伸び悩んでいたようだった。

 ボギーのハナシをまとめると、現在の会社を一回やめて、フリーランスとして契約する、というハナシのようだった。

 ふむ。
 これ、労基違反なんだよな。

意外と知らないハナシ

 ヒト売りにはよくありがちな独立支援制度なんていう名前の社員のフリーランス化は法律違反スレスレなんよ。社員を辞めさせたあとにフリーランスとして契約を結ぶ、これはよくあるハナシなんだけれど。
 
 何を言っているのかというと、ようはリストラできるんだよな。発注を出さなきゃいんだから。仕事があれば発注をだす、無ければ出さない、で社員として維持する固定費を圧縮できるというメリットがある。
 
 もちろん、社員側が辞める→フリーランスになる→在籍していた会社と契約する、ってパターンもあるけれど、コンプライアンスのガチガチに効いたような会社だとこれは通らないことの方が多い。そもそもある程度の規模の会社だとフリーランスと直接取引なんてしないので。
 だから、元々在籍していた会社と取引をする場合は法人を作った後なんだよな。フリーランスとしてではなく。

 独立支援制度がフリーランス量産の制度だったら、それは都合のよいリストラ策。トシを重ねていくエンジニアの昇給を保証できなくなるタイミングが絶対にくる。定年まで受注案件額が増えていくわけではないので、どっかで現場を離れることになり、そのタイミングでは売り上げを立てられない状態で社員を維持しなければいけなくなる。
 法人立上げから支援してくれるんならハナシは違うが。

会社からフリーランスになる要望は出してこない

 まともな会社なら自分の会社の社員に会社を辞めてフリーランスになった後に取引しないか、なんて持ちかけるコトはまずない。ただの退職勧奨だからな、これ。
 
 ボギーにはこのあたりのハナシをして、本当に自分で独立する気があるのであれば止めないが、これを素直に受けた場合のリスクについてもハナシをした。会社員の身分を捨てることになる。給料は安いなどの不満はあるとおもうけれど、会社員としての身分は最強である。ローンも組めるし。
 オッサンは年収2000万近いけれど、ダイビング機材の50万程度の分割ローンも通らないし、賃貸物件の審査も余裕で落ちる。フリーランスの社会的な信用は低いんよ。

 ボギーはかなり悩んでいたようだが、しばらくして会社を辞めてフリーランスになった。
 その際にオッサンは少しアドバイスをして、独立支援準備金としてカネを貰えるように交渉することを入れ知恵した。ボギーの所属していた会社はあっさりと交渉に応じてカネを払ってくれたそうだ。

 その後、ボギーとは1年ぐらいは一緒に仕事をしていた。プロジェクト終了した時に所属していた会社からは、新しい案件の紹介はなかったそうだ。

その後

 ボギーはそれから少しだけフリーランスをやっていたが、会社員に戻っていった。元SIにいた人間は、ユーザ側で引っ張りだこなので、経歴がある程度キレイな人間はユーザ側に行くのに困らない。

 ボギーはユーザ側に入ってプロジェクト管理をしている。技術スキル適正はなかったけれど、管理適正は高い。だからヒト売りとして技術を売る人材としては評価が低かった。
 出入りしている業者の中に、元々在籍していた会社があって、色々と立場が逆転して楽しい日々を送っているそうだ。

 実はボギーから相談があってやることになったのが、最近請けることになった3つ目のオッサンの仕事である。

 ヒトは縁 縁は仕事、仕事はカネ。
 世の中、無駄なくて助かる。

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