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フリーエンジニア 高還元SES会社のハナシ

最近、勢いがある人売りの会社

 特定派遣なんて括りがあった時代は誰にでも簡単に開業することが出来たIT人売りなのだが、ちょっとした法規制が入り誰にでも簡単にはIT人売り営業をする企業として参入できるような業種ではなくなってしまった。個人的には非常に良いコトだと考えていたりする。東京にいた時に肌で感じていたのだが中間中抜きだけでマージンを稼ぐことで存在していた良く分からない会社の淘汰が発生し、実際に色々な会社が無くなった。

 特定派遣が無くなり一般派遣に統合され、次に起こったことが派遣ではなくSESという形で現場に入るコトが普通になったことだ。
 ぶっちゃけ、現場と売られたエンジニアにとってはあんまり以前と変わらない状況ではあるんだけれど、法律に厳密に乗っ取って業務を遂行しているトコでは少しばかり混乱も生じていたりしていて、そのあたりのスキをつつくことでフリーランスがオイシイ案件にありつけたりもしている。

ハニートラップにかかる(自爆)。

 そんな中、とある会社から社員にならないかというハナシを受けつづけていて、いまさらサラリーマンに戻る気もないし、年齢的にどう考えても先がないし現場を引退させられて管理職にでも押し込められそうな気がしたので断り続けていたのだが、酒の席でハナシを聞きに来てくれると約束してくれれば、ハシゴで女の子のいるお店で飲ませてくれるという餌に食いついて思わず了承してしまった。

 IT人売りというと、新宿、渋谷、秋葉原、銀座、品川、池袋といういかにもな場所に存在していたりするんだが、この会社はかなり意外で地味な場所でボロボロの雑居ビルにあったことにも興味がわいた。
 どうせ、人を売ったカネで豪華でオシャレなイマドキのビルに入って美人のオネーサンに囲まれながらスタバのコーヒーでも飲んでいるんだろう、なんて先入観を持っていたのだ。そうだよ、お前の会社のコトだよ。なくなっちまったけれどな。 

とんでもなく真っ当な会社だった。

 100人を超える社員がいる会社にも関わらず、本社はとてもボロい雑居ビルで社長さんとサシで狭い個室でお話を聞いたのだが、これが凄く真っ当な会社で驚いた。

 何が真っ当なのか。

 案件受注単価を社員に公開しており、会社の取り分と社員の取り分を明確に決めている会社だったのだ。

 オッサンが知っている過去の人売りの会社は、プロパーを売ると粗利が出るが連れてきた人を売ると粗利がでない、なんてエンジニアが得をする要素が全くない仕組みの会社ばかりだったんだが、この会社は最初から取り分が明確化されていて、基本給は決まっているものの稼働手当として取り分が埋まるまで支給される。

 ちょっと、分かりにくいか。
 受注単価が100万で、基本給が20万とする。
 エンジニアの取り分は70%の規定する。

 なので、70万の取り分がもらえるはず。
 そこで基本給20万に50万の案件手当がついて70万の給与となる。会社が持って行った30%のうち、社会保険費用や厚生年金折半分などを考えると最低限の営業利益しか出ていない仕組みの会社だったのだ。

 能力がダイレクトに給料に反映される。経験年数とか関係ない。
 デキル人間は単価の良い案件に入って、いい給料を貰う。

 ボロくて狭い雑居ビルなのは、エンジニアに還元しているからで会社としての最低限の利益を確保する以外は全て無駄なものとして切り捨てている。なので100人を超えるエンジニアが正社員として在籍しているにも関わらず中間管理職が1人しかいない。究極までフラットな組織。片手に収まる程度の営業が居て、経理事務作業は全てアウトソース。
 そして、エンジニアには社内業務を一切やらせない、というよりこの仕組みなら発生しようがない。帰社日なんてふざけた仕組みも存在しない。

 いや、こりゃ、まいった。

フリーランスとは・・・・。

 フリーランスも税金などを考えたら、報酬の7割ぐらいが上限だろうし、事務作業も全てやって貰えて確定申告もしなくていいし、帰社日なんて経営者の自己満足の固まりのような仕組みもない。しかも会社員であれば厚生年金が貰える。ウザったいなんのためにやっているのか理解不能な社内業務や使えない先輩のフォローや、何一つ上積みのない勉強会もないのならフリーランスにならなくてもこの会社に入ればよくね?
 なんてことを真剣に考えてしまった。

 食えなくなるというリスクを負わず、好き勝手に案件を選んで(数十の案件から選べるそうだ)案件単価に納得して給料が決まり、しかも条件付きながら副業も許可している。
 
 フリーランスとサラリーマンのいいトコ取りじゃないか。
 フリーランス廃業が視野によぎる。

 この会社、マジでいいんじゃね?

社会不適合者の末路

 結論としては、オッサンはこの会社に入ることはなく丁重にお断りをさせて頂き、先方からもご理解を頂いた。

 オッサンの場合ではあるが、オッサンが欲しい報酬を得られる案件が安定して用意できなさそうだ、という結論に至ったからだ。
 会社員になる以上は社内規則なんてものに縛られる必要があって、オッサンのように週3~4稼働の案件に入りたいとかいう都合のいい案件はとっておらず、逆に案件を2つ請けて週6日働いた場合、これも労働基準法的にNGになる項目が多く現時点では対応が難しい。平日休みにしたいというのも厳しい。

 1つの案件で2つの案件分に稼げるような単価の仕事はあるにはあるが、オッサンはやりたくない金融とか金融とか金融とか金融とか金融とかの仕事しかないとのことだった。

 正直、残念。
 ただ、収穫もたくさんあった。

 この手の会社がもっと増えてくると、中途半端な人売りをやってる会社は根こそぎ無くなるんだろうなと。フリーランスになるのは嫌だけれど給料は欲しいってエンジニアはこの手の会社に入るのがどう考えても一番いい。

 うーん。

 世の中、この手の会社ばかりになったら、誰がエンジニアを育てることになるんだろう。どう考えても未経験者お断りよな。

 この疑問のアンサーになる会社と遭遇することになるのだが、それはまた別の機会に。


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