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IT土木の社畜だった時のハナシ

社畜時代、何もかも、みな懐かしい・・

 今ではフリーランスでソコソコのおカネを稼いでいるオッサンも普通のヒトの皮をかぶっている従順な社畜だった頃があった。その時と今をちょっと比較してみようかというハナシ。
 いいトコばかりではないってのが結論。

若かりし頃の零細企業A社時代

 オッサンがこの業界に入った最初に勤めた会社である。まだ右も左も分からない駆け出しだった今から20年以上前のハナシ。この頃のコトは思い出すとワリと楽しいことばかりだった。仕事ではなく環境がだけれど。

 絵に書いたような6次下請けの会社で、労働環境としてはそりゃぁもう酷かった。毎月の稼働報告書的なものをなぜか4枚ぐらい書いていた記憶がある。自分の会社と派遣先と、あとなんでかわからんが他に2枚ぐらい。
 どう考えても偽装請負と多重派遣というヤバイやつだったんだけれど、ソノ頃はこういうのは当たり前の世界だったのであんまり違和感がなかったな。
 
 オッサンが学生だった頃に学徒出陣で駆り出された2000年問題を対応した時にバイトでお世話になった会社になし崩し的に就職することになった。オッサンのITキャリアの最初ってよく考えると2000年問題なのな。学生時代に大学内の電算機センターで1年生の頃から非常勤職員のアルバイトをしていた関係(こういうのって今の学生ではないんだろうな)で、基本的なスキルは既にあったので現場で困ることはなかった・・・とカッコイイことを言いたいところだがそんなことはなくて、毎日凹まされ続けた。なんでこんなに俺は出来ないんだろう・・・学生と社会人ってココマデ違うのかって当時は凄く悩んだが、今となっては悩んだ理由も良く分かる。

 うん。相手がメインフレームでzOSだったからだな。

 cobolと延々と格闘するのに嫌になって飛び出して次のIT会社に転職した。転職した理由は特別に深い意味はない。cobolをやりたくない。
 転職活動は数日で完了し、別のIT会社に転職できた。今よりもIT土木の会社は無数にあったからな。6次請けが成立するような時代だからな。メシを喰うだけなら日本全国いつどこに行っても転職だけには困らない。

 本当にIT土木は食うのに困らない。
 IT土木で働いているヒトは偽装転職活動を1回やってみて自分の市場価値を試してみることをお勧めする。キャリア5年目ぐらいから給料が化ける傾向にある。やることは変わらないくせに所属している企業によって給料が激変するのがIT土木。

 高還元型のIT土木企業は腕一本で生きていきたいエンジニアにはマジでオススメ。当時にこの手の会社があれば多分、ソコに転職していたんだろうなぁという気がする。

やる気搾取の中小企業B社時代

 いつか自社サービスをやる、ってことを掲げるIT土木の会社は世の中にたくさんある。お金が溜まってきたら、ヒトが揃ってきたら。
 よし、じゃぁ頑張って仕事して会社を大きくして、自社サービスを提供できるようにするぞって感じで社員のモチベーションをあげようとする会社だな。

 ガチベンチャー企業のCTOとして日本全国を金策で走ってカネをかき集めた経験がある今なら分かる。新規事業を推進するってのは本当にカネがかかる。マジでカネがかかる。1億ぐらいのカネは1カ月程度で溶ける。しかも、溶かしてもサービスがローンチしてないとリターンしない。そこにまた金策をしてカネをぶっこむ。突っ込んだカネを回収するためにまたカネを突っ込む。
 
 うん、泥沼なんだよな。
 
 これを生みの苦しみと言ってしまうのはあまりにも言葉が軽すぎやしねぇかと。携帯から掛けるアポ電1回の電話代のリターンとか、執務室の電気代のリターンとか、重箱の隅をつつくようなことが気になってくるのよ。

 いつかサービスを立ち上げる、なんてことを掲げる中小企業のIT土木にいるようであれば、冷酷なことを言おう。
 多分、そのサービスはいつまでたっても立ち上がらない。

 IT土木をやってると、どうしても自分の会社のカンバンで仕事したくなってくるんだよな。元請けの会社のカンバンじゃなくて。そうすると自社サービスを立ち上げるなんてハナシはとても眩しくみえる。だから、ついついソコに集まっちまう。
 自社サービスは立上げにマジでカネとコストがかかる。小軽くハジメようなんていってもカネとコストがかかる。
 
 当時のオッサンの上司が社長や役員に言っていた言葉が思い出される。

「準備は時間がかかるのは理解が出来るが、みんなどんどんトシを喰ってく。だから動けるうちにさっさとはじめようぜ。」
 
 後にこの上司に連れられて他の会社に転職することになるがその時にもまだ自社サービスは立ち上がらなかった。あれから十何年も経った今でも自社サービスは立ち上がってないそうだ。  

プライム上場C社時代

 紆余曲折を経てプライム上場企業で管理職を拝命するという「弱小零細IT土木の社畜が成り上がる」的な異世界モノでありがちなサクセスストーリーを達成した。

 ここで書くことは一つもない。
 労務関係はマジでホワイトで、働いているヒトも穏やかでいいヒトしかいなかった。仕事も楽だった。

 給料はクソだったが。
 今の年収の半分以下だからな。

 ある程度、大きい会社で働いているヒトはフリーランスになったらどの程度の報酬になるかを知っておいた方がいいと思う。発注するときの参考になると思うよ。

 今、IT土木発注するのに単価が低すぎて集まらないってコトが起きているんだよな。オッサンのトコにもいくつか人集めの相談が来てるんだけれど、どれも単価が安すぎて誰も請けねぇよって額になってる。
 
 今から5年前ぐらいなら通った金額感なんだろうけれど、今はもう無理。
 リモートなら安くても請けるけれどオンサイトならカネを積まないと集まらないってのもそろそろ理解した方がいい。

 昔はIT村社会でしか案件がなかったけれどDXを推進するトコがシステムを内製しはじめてきたからIT村社会のIT土木案件じゃなくてユーザ側の発注案件もあるんよ。そっちはIT土木元請けで派遣として払う額を予算化していてそれをフリーランスに提示してくるから報酬額は比較にならんのだわ。

 この手の案件は、フリーランス案件斡旋会社に集まりつつあってエンド側が使い分けの取捨選択をはじめてるから、アンテナ張っておかないとまずいなぁと。そりゃそうだよな。SI元請けに発注するわけがない。

 にしても、AWSでのインフラ構築をオンサイトで1ヶ月70万とか。請けるやつはフリーランスにいないんじゃねぇかなぁ。
 この手のハナシばっかりだよ、IT村案件は。この額でオンサイトやるフリーランスは絶滅危惧種のレッドデータブック入りだぞ、都内案件なら。

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