おうちBBQは王道のエバラ?高級な叙々苑?今の焼肉のたれを分析
こんにちは。ベトナム在住ライターの寺内です。
夏から秋にかけてはBBQやキャンプなど、行楽シーズン到来ですね!
BBQと言えば“肉”!のイメージなのですが、みなさんはお気に入りの焼肉のたれはありますか?
定番メーカーから有名店のもの、PB(プライベートブランド)商品など、選択肢がたくさんある焼肉のたれ。
今回はKnowns Bizを用いて、満足度の高い焼肉のたれについて比較分析してみます。
焼肉のたれの満足率×認知率
まず焼肉のたれの満足率x認知率を調べると、認知率に関しては「エバラ黄金の味」と「エバラ焼肉のたれ」のエバラの2商品が80%超えでした。
満足率で見てみると
1位:エバラ黄金の味
2位:エバラ焼肉のたれ
3位:叙々苑焼肉のたれ
という結果が出ました。
満足率でもエバラの2商品が1、2位となっていますが、3位以内は全商品満足率80%越えと、他の商品と比べてかなり高い満足率となっています。
焼肉のたれ全体の購入者のデモグラ構成比をみると30代~40代が多く、アンケート回答者全体(グレーのグラフ)と比較すると40代後半から50代前半が主な購入者となっています。性別では男性の方がやや多く、ファミリー層の割合も高いです。
今回は満足率でトップ3に入っている人気の焼肉のたれについて見ていきたいと思います。
エバラ 黄金の味
1978年発売の桃や梅などのフルーツをぜいたくに使った、コクのあるおいしさが特徴の醤油だれです。内容量の3分の1は、厳選された国産のリンゴで、収穫した旬のリンゴをいったん貯蔵し、糖度・水分量・やわらかさなどがベストになったタイミングで使用しているそうです。
厳選されたりんご・もも・うめなどを秘伝の黄金比率でブレンドし、醤油・にんにく・ごま油などを加えてコクやうま味を調節。フルーツの甘みと自然なとろみが特徴です。
容量ラインナップは210g〜590gとあり、味のラインナップも定番の「甘口」「中辛」「辛口」に加え、3種のレモン原料を使用した「さわやか檸檬」や、にんにくをガツンと効かせた「旨にんにく」、炒め玉ねぎと果実の濃厚な味わいの「濃熟」、国産りんごを45%使用したこだわりの「贅沢林檎」の7種類を展開しています。
好みやシーン、肉の種類に合わせて選べる楽しさを提供しています。
デモグラフィック分析を見てみると現在購入者の構成比は30代~40代が多く、また焼肉のたれ全体(グレーのグラフ)と比べてみると、30代後半~60代前半の割合が高く出ています。
7Journeyを見てみると認知率、ブランド選好率が圧倒的に高いです。ロイヤル層も多く、リピーターが多いようです。
どんな人に選ばれる?
サイコグラフィックを見てみると、個人価値観は“時間にシビア”“健康志向”“物欲少なめ”な方が多いようです。
社会価値観は“自分より家族優先”“現状満足”な方が多く、消費価値観は“良いもの良い価格消費”“リピート消費”“お得感重視消費”が上位にあり、商品を選ぶ際には自分が気に入ったものをよりお得に購入したい傾向がありそうです。
消費者の声でもコスパに関する声が多く、焼肉以外の料理の調味料としても使う方も多いようで、冷蔵庫に常備しているとの声もありました。味や容量のバリエーションも豊かなので様々な用途がありそうですね。
また「ご飯にバウンドして食べるならこれ」「ご飯が何杯も進む」とご飯との相性に関する声も多かったです。
エバラ 焼肉のたれ
高度経済成長期を迎えた1960年代後半に街に焼肉店が次々と開店し、若者で賑わっていた光景を見た創業者で当時の社長であった森村國夫は、「家庭でも食べられる“おいしいたれ”を作れば“家で焼肉”という新しい食習慣が普及する」と発想から、1968年に「エバラ焼肉のたれ(醤油味)」は誕生しました。本醸造醤油の旨味とコクのある甘さでお子様から大人まで楽しめ、お肉のたれだけでなく野菜炒めなどにも使えます。
商品ラインナップは、本醸造醤油の旨味とコクのある甘さをベースに、りんごと蜂蜜でまろやかに仕上げた「甘口」、本醸造醤油の旨味とコクのある甘さをベースに、香味野菜をほんのり効かせた「醤油味」、本醸造醤油の旨味とコクのある甘さをベースに、コチュジャンをピリッと効かせた「辛口」本醸造醤油と3種類の味噌(白味噌・赤味噌・豆味噌)をベースに、「にんにく」「玉ねぎ」「白ごま」を加えた「味噌醤油味」の4つが展開されています。
デモグラを見てみると、現在の購入者の年代では焼肉のたれ全体(グレーのグラフ)と比較すると30代後半~70代以上の割合が高く出ています。「黄金の味」と比べ幅広い年代に選ばれています。
7Journeyを見てみると「黄金の味」より少し下がるものの認知率、ブランド選好率が高いです。
ネガティブな非選好率は低めなので、満足率を「黄金の味」に近づけるにはやや好意的ではありますが最近購入していない巻き戻し層をターゲットに戦略を立てるといいかもしれません。
どんな人に選ばれる?
サイコグラフィックを見ると個人価値観は黄金の味と同様、“時間にシビア”“健康志向”の方が上位に、また“倹約家”な方も多いです。
社会価値観は“自分より家族優先”な方が多いものの、自分の経験や得た情報を元に行動をする“ゴーイングマイウェイ”な方も多く、正反対のクラスターが並んでいるのは、幅広い年齢や職業の方に購入されているからかもしれません。
消費行動も黄金の味と似通っていますが、社会的問題にも目を向けている“エシカル消費”購入者が多いのも特徴です。
1968年の発売から家庭の食卓に焼肉文化を広げたロングセラー商品ということで「子供の頃から焼肉のたれはコレ!」という方も多い一方、「黄金の味」と同様、焼肉以外の料理の味付けに利用する方も多いようです。
そんな消費者の声を受けてか、エバラ食品では「エバラCLUB」という無料会員サイトを運営しており、「黄金の味」「焼肉のたれ」を使った様々な料理のレシピを公開しています。レシピ数はなんと1200件以上あります!
和食から洋食、中華など様々なジャンルのレシピがあり、おかずに悩んだ日など役立ちそうです。
叙々苑 焼肉のたれ
1976年に、東京都・六本木にある旧防衛庁(現在の東京ミッドタウン)前に1号店を出店した高級焼肉店「叙々苑」。
当時煌々と明かりに照らされた“食堂”のような庶民的なお店がほとんどの中、高級感あふれる真っ赤な絨毯に明るさを抑えた落ち着いた雰囲気の店内、従業員のオシャレな服装、片膝を落として注文を聞く接客スタイル、見た目の美しさにまでこだわったお肉の盛り付け、店内の煙対策などオープン当初は“奇抜”と言われるほど革新的な店舗作りでした。
叙々苑創業当時よりお客様の声に常に耳を傾けながら、永年のおもてなしの中で育んできた味、素材本来のおいしさを引き出すという基本の元作られた焼肉のたれのレシピはまさに門外不出、レシピの中身を知っているのは社内でもわずか3人だけ。
普段は、誰も見ることができないよう、鍵のかかる場所で厳重に保管されているそうです。
家庭でも叙々苑の味が楽しめるように、と商品化された3種類 コクと甘みのある味わいが特長の「特製」、焼肉のたれ特製をベースに、唐辛子、コチュジャンを加え、大人の辛さと深みのある甘さ「甘辛」、にんにくとごま油を生かした深みのある味わいに、さらにスパイスとレモン果汁でさっぱりと仕上げ「塩だれ」に、2022年には叙々苑店舗の”辛口つけだれ"の味をベース青唐辛子由来の深みある辛味とほのかに香るにんにく、レモン・りんご果汁を効かせた爽やかな辛さ「旨辛万能味噌だれ」が加わり、現在は4種類発売されています。
デモグラを見てみると、他2商品と比べると男性の比率が最も高いです。
現在の購入者の年代では、全体(グレーのグラフ)と比較すると40代と60代以上の構成比が高く出ています。
7Journeyを見てみると認知率・ブランド選好率は他2商品よりも低いものの、離反は3つの商品の中で一番低く、他の商品よりも一定のファンがついていることがわかります。
他の2商品に近づくには潜在顧客をターゲットに戦略を立てるのもよさそうです。
どんな人に選ばれる?
サイコグラフィックを見ると個人価値観は他2商品と同様、“時間にシビア”“健康志向”の方が上位にありますが、“プロセス重視”な方も多いです。
社会価値観は“おりこうさん”“人情派”“ワーカホリック”な方が多く、真面目で仕事への熱意が強い人物がイメージできます。
消費価値観は"プレミアム消費"“レビュー熟考消費”“ブランド消費”が高いことから、気に入ったものや物の良さやブランド名に対価を払う傾向があるようです。
消費者の声を見ると、家庭で本格的な焼肉店の味を楽しみたい・ちょっと贅沢な家焼肉をしたい方に選ばれているのがわかります。
他の2商品では炒め物や煮物などにも使うという声がありましたが、叙々苑焼肉のたれ「値段が高い」「勿体無いので他の用途では使えない」との声がありました。純粋に焼肉のたれとしてのみ利用している方が多いようです。
本格的な叙々苑の味を家庭で楽しめるよう「焼肉のたれ」以外にも家庭用にアレンジした商品が叙々苑のオンラインショップでは購入することができます。
サラダドレッシングと焼肉のたれの詰め合わせなど、もらったら嬉しい・贈り物に良さそうな商品の他、オンラインショップ限定のライスバーガーも気になりました!
色々な視点からみる違いとは?
上記以外にもそれぞれの購入者の傾向の違いが見られましたので紹介していきたいと思います。
購入者居住地
今回満足率ランキングで「叙々苑焼肉のたれ」のみがレストランの外販商品となるので、購入者の居住地も分析したところ、叙々苑焼肉のたれの現在購入者は関東に集中していました。関東を中心に店舗展開をしているので納得の結果ですが、北海道・東北の割合がとても少なかったです。
逆に「黄金の味」と「エバラ焼肉のたれ」ですと、同じメーカーでありながらそれぞれバランスが取れている結果となっていました。
特に「黄金の味」は西日本での人気が特徴的だったので、以前分析した「カップうどん」のように地域によって味を変えているのかと思ったのですが、なんと「黄金の味」は元から関西の人にも受けるよう開発された商品でした!
先発品のしょうゆベースで塩分が強めの「エバラ焼肉のたれ」は、関西地区ではなかなか売れなかったそう。
1977年に入り、“量から質”の時代となり、付加価値を高め根本的に商品を見直そう・関西エリアで受ける味という目標の元、新製品開発。そして高級感とともに、関西人にも受ける甘みと旨味のある味を追求した結果、フルーツをふんだんに使った「黄金の味」ができたそうです!
ブランドイメージ
ブランドイメージでは「黄金の味」と「エバラ焼肉のたれ」にはあまり差異がなかったのですが、「黄金の味」と「叙々苑焼肉のたれ」ではだいぶ違いが。
「黄金の味」が“家庭的・安堵感”“ベーシック・定番的”“伝統・頑固さ”が上位にきているのに対し、「叙々苑焼肉のたれ」は“上品・優雅”“カリスマ性がある”“インパクト・衝撃的”となっています。
同じジャンルでも違いがここまであるのは面白いですね。
ブランドスイッチ
「黄金の味」と「叙々苑焼肉のたれ」のブランドスイッチ分析を見てみると、現在「黄金の味」購入者が銘柄変更をする際に選ぶのが「エバラ焼肉のたれ」(逆も同様)なのに対し、「叙々苑焼肉のたれ」購入者の場合は他の焼肉レストランが出しているたれが上がるかと思いましたが、「黄金の味」が選ばれています。
実店舗があるブランドというよりは“叙々苑が好き”であり、銘柄変更の際は手に取りやすい商品を求めている方が多いということでしょうか。
まとめ
エバラ黄金の味消費者の特徴
・30代後半~60代前半、西日本を中心に人気
・フルーツの甘みと自然なとろみが好み、焼肉にライスはつけたい派
・現状満足で物欲少なめ、コスパ重視、自分の気に入ったものを買い続ける傾向
エバラ焼肉のたれ消費者の特徴
・30代後半~70代以上、幅広い年代、東北関東エリアに人気
・旨味とコクのある甘さが好み、焼肉以外の料理にも利用
・倹約家、黄金の味と似た買い物傾向
叙々苑焼肉のたれ消費者の特徴
・40代と60代以上、男性、関東で人気
・本格派、“叙々苑”ならではのコクと甘みが好み
・プロセス重視、真面目で仕事熱心、プレミアム消費
エバラの2商品は家庭的な定番として選ばれており、叙々苑の焼肉のたれは高級感、“叙々苑”というブランドやカリスマ性を基準に選んでいる方が多いようです。
「エバラ黄金の味」「エバラ焼肉のたれ」「叙々苑焼肉のたれ」、それぞれ顧客ニーズに合わせて様々な味を展開しているので、同じシリーズでも食べ比べなどしてみても面白そうですね!
また焼肉のたれを使ったレシピも色々と拝見しましたが、牛・豚・鳥の肉類との相性はもちろん、魚類や炊き込みご飯にも使えるとか!余ってしまった焼肉のたれもアレンジレシピで楽しく・おいしく使いきれそうです。
「叙々苑」に限らず、各焼肉店が自社のたれを販売していますが、焼肉のたれ以外にもお店の味を家で簡単に再現できる“◯◯のたれ”を販売している飲食店も多く、驚きました。
コロナ禍の外食自粛の影響もあるのでしょうか?特に丼ものチェーンの「吉野家」では牛焼肉定食を再現できる「吉野家 焼肉のたれ」を始め、人気定食メニュー4種のたれが販売されています。
以前「牛丼チェーン比較分析」の際、人気だった季節限定メニュー「牛すき鍋」のたれも発売されているので鍋御膳ファンの方には嬉しいかもしれません。
「今年は暑過ぎてBBQはちょっと…」という方も、おうち焼肉でスタミナをチャージしてみてはいかがでしょうか?
筆者のひとこと
以前日本に一時帰国した際、家で焼肉をするとなって「叙々苑の焼肉のたれ」を買いにスーパーに行ったのですが、売り切れでした。。他有名店の商品やエバラなど定番のメーカーなど、多くの焼肉のたれがありすぎてどれがいいかわからず、店員さんに相談しておすすめを買いました。
年々脂身が苦手になり、最近は焼肉に行っても専ら牛タンやハラミばかり食べていますが、焼肉にご飯は欠かせないタイプなのでたれの味は重視しています。まだ“絶対コレ!”というお気に入りが見つけられていないので、おすすめがあれば教えてください!笑
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