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「海外とのやり取りがあった時」の税務会計上の注意点とは?

こんにちは。

知識の幅を広げてアドバイス力を高める、

プレミア士業勉強会「Knowledge Cross」事務局の佐藤です。

私たち、Knowledge Cross(通称:ナレクロ)は、

「人脈は広げたい」けれど「交流会が苦手」な方でも参加でき、
士業が安心して集まれる「ヨリドコロ」の場として、

経営的な視点で学び合える勉強会を開催しています。

そんなナレクロの2024年6月の勉強会。

「「海外とのやり取りがあった時」の税務会計上の注意点」

について、

2人の税理士、

渡邊 正樹(わたなべ まさき)さんと、
宮﨑 雅大(みやざき まさひろ)さんにお話いただきました。

渡邊さんと宮﨑さんは、ともに、

とてもフレンドリーな税理士さんです。


■このテーマを選んだ理由

「海外取引きの税務会計」というと、

海外の税法を取り扱う「国際税務」のイメージがありますね。

ですが、、、

コロナ禍を経て、
ぐんと身近になった「オンラインでのやり取り」。

実は、今、

日本にいながら海外の方とやり取りをするケースが増えています。

例えば、

・日本にいながら、海外で自社商品を販売する場合

・外国人オーナーが持つ不動産物件を借りる場合

・オンラインで意気投合した外国人を、
 日本に呼び寄せて雇用する場合

などなど。

こうしたケース。

「日本にいながらの商売」なので、
日本の税法が適用されるものの、

気をつけなければいけない落とし穴がいくつかありそうです。

そこで、今回は、

「日本にいながらも気をつけなければならない、海外との取引き」

について、

税理士のお二人に、

・渡邊さんには、消費税の観点から、
・宮﨑さんには、所得税の観点から、

それぞれの視点お話いただくこととなりました。

■日本にいながら、海外で自社商品を販売する

今や、

オンラインショップの種類は数えきれないほどとなりましたね。

そんなオンラインショップのおかげで、

日本国内だけでなく、海外に向けても、
自社の商品を販売できるように
なりました。

「事業拡大」や「売上げアップ」にはいい機会ですね。

ただ、日本国内と海外では、税金に関する法律が異なります。

特に、「消費税」は注意が必要です。

「日本にいながら海外で商品を販売する」ときは、

どのようなことに気をつければいいのでしょうか?

消費税は、、、

「どこで売った商品か」ということが、重要なポイントのようです。

例えば、

・日本で作ったものを、海外で販売するとき

・海外で作ったものを、海外で販売するとき

といったように、

「商品を売った場所」が、
「海外(=日本国内でない)」の場合は、

販売価格に消費税を載せなくてもよくなるのですね。

ちなみに、

オンラインショップでは、

販売する商品を登録する際に、「日本国内での販売」か「海外向けに販売」かを選択するチェックボタンもあるそうです。

ボーダレスなオンラインショップと言えども、

「どの地域に向けたサービス展開か」は、
考えておく必要がありそうですね。

■「海外で仕事をしたとき」はどうする?

では、

「自分自身が海外出張をして、そこでお仕事をした場合」

の消費税はどうなるのでしょうか?

実は、、、

その場合もやはり、消費税はかかりません。

「海外で商売をした」ということになるのですね。

(こうしたことを、「海外での役務提供」と言うそうです)

私自身も、

5月にモンゴルに出張して、
モンゴルの学校で授業をしてきましたが、

その時の請求書にも、消費税は載せませんでした。

日本にある会社さんに対して請求書を発行するので、

「これでだいじょうぶかな」と心配になりましたが、

消費税についての知識があると、少し安心ですね。

■外国人雇用の落とし穴、「居住要件」

さて、ここまで見てきた消費税。

最後は、所得税です。

「海外と所得税」と言って、思い出すのが、

私自身、会社で働いていた時に、

先輩からよく言われていた

「海外出張では、180日ルールに気をつけろ」

という言葉。

その時は、いまいちよく理解できてこなかった「180日ルール」。

このあたりについても、宮﨑さんにお話いただきましたよ。

宮﨑さんのお話によると、

①メインで住んでいるのが日本の人は、
 「日本人向けの計算式で計算した所得税」を払う必要があり、

②メインで住んでいるのが日本ではない人は、
 「外国人向けの計算式で計算した所得税」を払う必要がある。

とのこと。

180日と言うと、1年の約半分ですね。

半分程度の期間を、日本で過ごすか海外で過ごすか。

それによって、

「メインの活動場所がどこか」を判定して、
どちらの計算式を使うか
が決まる。

その一つのきっかけになるようです。

ただ、この判定。

シンプルに「180日くらい日本にいるかいないか」ということだけでは決まらないのが、やっかいなところ。

税務上でいうところの「居住要件」がキーポイントです。

例えば、

・日本で働く外国人のお子さんが「日本の学校」に通っていたり、

・契約書で定めている「就労期間」が長かったり、

といったことなどがあると、

実態を踏まえたうえで、

「これは、メインで活動しているのは日本だね」

と判断され、

「日本人向けの計算式」を使って所得税を計算する必要が出てくるようです。

(一般的には、「日本人向けの計算式で計算した所得税」の方が、高くなります)

今年はじめの頃、

「サッカーの外国人選手の税金の申告漏れ」

がニュースになりましたね。

これも、「居住要件」が影響する話だそうです。

外国人雇用でも影響しそうなお話ですね。

■士業が「お客さんのビジネスの発展」をサポートするために

日本にいながら海外展開するときも、

海外に支店を作ったうえで海外展開するときも、

どちらにしても、

海外が絡むと、税金の申告や計算に独特なものが出てくるので、

いろんな注意が必要です。

「ちょっとした計算のエラー」や「申告しそびれ」があると、

追徴課税が課されることがあるので、会社としては大きな痛手ですね。

私自身も、過去に、

「税務調査のときに、海外との取引きについて指摘をされた」

会社さんを目にしたことがあります。

一躍身近になった海外との取引き。

お客さんから、このあたりのお話が出てきたら、

ちょっとしたアンテナを立てておく必要がありそうです。

■今後のテーマ

2024年3月以降のナレクロは、

しばらく「海外展開シリーズ」として、

企業が海外展開をするうえで知っておきたいことをいろいろお伝えしています。

そして、海外展開シリーズのあとは、「出口戦略シリーズ」。

さまざまなテーマで、

士業の幅を広げていくナレクロを、お楽しみに。

※会員の方は、過去の動画と資料をすべてご覧になることができますので、会員のみなさんは、そちらもご覧くださいね。


<今回の講師のご紹介>

・渡邊正樹さん(税理士)
会社員時代は営業に従事。
銀座に事務所に持ちながらも「日本一敷居の低い税理士」さんです。

・宮﨑雅大さん(税理士)
理系出身。クラウド会計やITに精通している税理士さん。
興味の引き出しの多い、好奇心旺盛な方です。


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