見出し画像

脊髄損傷当事者のための学会「Walk Again 2022」➁パネルディスカッションから考える”再生医療を受けるために必要な条件とは?”

2022年11月16日に開催された日本せきずい基金さん主催の「Walk Again 2022」後半のパネルディスカッションでは、会場に参加された方、オンラインで参加されている方から多くの質問が寄せられ、専門の先生方がその問いに真摯に向き合って回答してくださっていました。

”気になる質問とその答え”を時系列、箇条書きでまとめさせていただきました。また、まだご覧になっていない方はYouTubeから視聴ただけます。

Q.脊髄損傷の慢性期不全、慢性期完全損傷の人も対象になりますか?

A.今回の治療にて、どこで不完全損傷と完全損傷を分けるかは現在検討中ですが将来的には完全/不完全で対象外ということはありません。
ただし、何もしないで寝て待っている人にチャンスは来ません。自分の身体の状態を最大限維持する努力をされている方が対象です。

「完全損傷」とは、脊髄の機能が完全に壊れた状態であり、脳からの命令は届かず、運動機能が失われます。また、脳へ情報を送ることもできなくなるため、感覚知覚機能も失われます。すなわち、「動かない、感じない」という状態となります(麻痺)。...
 「不完全損傷」とは、脊髄の一部が損傷し一部機能が残った状態であり、感覚知覚機能だけが残った重症なものから、ある程度運動機能が残った軽症なものまであります。

労災疾病等学研普及サイト
脊椎・脊髄損傷より

Q.年齢や受傷時期にとって対象から外れることはありますか?

A.ありません。
受傷の時期やその後の身体の状態、置かれてる状況はそれぞれですが、
●残存する機能を最大限迄高め、
●しっかりとリハビリに対応し、
●合併生涯を最小限にしている方

にはチャンスあります。
最大限がんばっているかはみればすぐわかるし、怠けている人もすぐわかります。

Q.脊髄損傷以外の他の疾患(脊髄腫瘍や脊髄血管疾患など)も対象になりますか?

A.現在の治験では、脊髄損傷の方だけが対象ですが、今後はやっていきます!

Q.現在の治験の対象者は、頚髄損傷者か胸・腰髄損傷者かなど対象は決まっていますか?

A.まだ確定していませんが、将来的には絶対に両方やります。

Q.再生医療で疼痛などの痛みや痺れの改善は期待できますか?

A.痺れや痛みの改善は、投薬治療の方が効果的と考えています。

Q.MyiPS細胞の治療が100万円でできるって本当ですか?

A.現在は1000万円くらいかかっています。2025年の大阪万博パビリオンまでに、ロボットの導入なども取り入れ、保険適応される100万円でより多くの方が受けられるMyiPS細胞を目指しています。

Q.退院後どのようなリハビリをするのがいいですか?

A.「立つ」機会を作ることが大切です。
「立つ」ことで、内臓機能↑↑、起立性低血圧↓↓、関節可動域の維持、褥瘡予防の効果が期待できます。自宅に起立台などを置いてできれば立ってほしい。家族の協力も必要いなるかもしれませんが、関節稼働域がフルで動くよう維持してほしいです。
自宅の近所にHALのロボケアセンターⓇがあればおススメもしています。※現在は施設の数が少なく全ての人に紹介が難しい。

現在の日本では、”脊髄損傷は治らない”という前提で、保険が決まってしまっています。これからは「治す」という方向で国の制度設計から変えていかないといけないと考えています。
リハビリをやいりたいけどできない。一部の人しか受けられないような高額になってしまうリハビリしかないが、自分のできる範囲の自己ベストを尽くしていてほしいです。

Q.脂肪由来間葉系幹細胞の自由診療っていいですか?

A.自分の脂肪由来の細胞を培養し行っているクリニックが多く、手軽にできるよになってきていますが、
●そのクリニックに脊髄脊椎の専門の医師がいるか?
●治療効果がでているエビデンスがない成果はでていないと患者へ説明があるか?
●その後ガンとか安全性に関してサポート体制があるか?

という点をしっかり確認し選ぶ(クリニックを選ぶ、やる/やらないと選ぶ)必要はあります。
そして、
賢い患者・家族になってください。正しい情報をキャッチしてください。

Q.今後のiPS細胞の手術について

A."安全性も認められ"今後も2例目以降の再生医療の治験は続行されています。

やはりリハビリやトレーニング、身体に関する内容がとても気になりQ&Aで多くなっております。
その通りだ!と思う内容やもどかしいお答えなどありますが、脊髄損傷の方がまた立って歩くためには、十分に身体を動かす機会や環境づくりが非常に大切だということが伝わってきました。
私たちも少しでもお役にたてるよう共に努力して参りたいと感じる「Walk Again」となりました。

Q&Aの内容は、なるべく先生方のおっしゃったお言葉をそのまま使おうと思っておりますが、要約しているためニュアンスが変わっている場合があります。どうぞご了承ください。


サポートよろしくお願いいたします。サポートくださったお金はすべてJ-Workoutでトレーニングをしてく脊髄損傷の方々のトレーニング費用として還元させていただきます。