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#本屋大賞
2024年3月に読んだ本
『天才による凡人のための短歌教室』 木下龍也
【雑感】
これは短歌の愛に溢れた、私たちへの挑戦状である。現代短歌の旗手、木下龍也が、惜しみなく創作における手の内を明かしてくれる贅沢さ。内容は端的かつ実践的。非常に分かりやすい。短歌とは、今この瞬間を切り取ることより、過ぎ去りし思い出を書くことに適したツールであるという。文章からは、三十一文字で記憶を結晶化させる営みの奥深さ、歌人としてのプロ
2024年1月に読んだ本
『口訳 古事記』 町田康
【雑感】
古事記にして町田節。軽妙軽妙軽妙。神々のスケールはべらぼうで、その一挙手一投足がまた新たな神を生むという。神は神を気軽に発生させ、気軽に殺す。その思想、行動原理は一様に気狂い。人知の及ばぬとはこのことかと思いきや、一つ一つの伝承の源泉は、結局人間の想像力なのだから面白い。関西弁の神々は不条理ギャグ漫画のようなやり取りを続け、自然体のまま独自の哲学をもって