20230601

 晴れて過ごしやすい気候になった。まだ梅雨入りはしないようだ。古代ギリシャ哲学のエンぺドクレスという偉人が興味深い。木田元の『哲学散歩』(文藝春秋)という本で知った。紀元前四世紀中頃を生きた人物で自らを神と呼び、最後は生まれ変わるために火山に身を投げて、そのサンダルだけが残っていたという。万物が水、火、土、空気から成る四元素説を提唱したとされる。輪廻転生などを説き、同時代に活躍したエレア派の開祖とされるパルミメデスの「あるものはある、ないものはない」という理論に真っ向から対立した。理性的なパルミメデスや、後のヘーゲルによる弁証法やレヴィ・ストロース以後の構造主義など理知的な論が趨勢を極める中でひたすら、実存の問題を突き詰めるという行為はやはり尊い気がする。そういう意味では、サルトルが人気だったことにも頷ける。

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