20240115

 XのTL上で「ホラーが小説に向いていない」というポストが話題になっていた。どうも音、絵など五感に訴える伝達手段がないことと、ネット連載に向いていないという点を不利としていたようだ。確かに、『リング』ではあの貞子がテレビの中から這い出して来るところが一番怖いし、『サイコ』だってあの悲鳴がわたしたちの恐怖感を煽っているのかもしれない。しかし、村上龍の『オーディション』という小説は、山崎麻美が徐々に狂気へと陥っていくところが本当に恐ろしいわけで、あの感覚は後に映画化されたそれでは全く伝わらないものだった。村田沙耶香の小説群のあの言い表しがたい不気味さはとても映像表現で伝えることはできないだろう。とは言え、これらの小説は「純文学」としてカテゴライズされているわけで、殊能将之や小野不由美といったジャンル小説としてのホラーとは違うのかもしれない。この辺りは門外漢なので何とも言えないが、そもそも小説とは何か、と考えたときにポストモダン以降細かくジャンル分けされたこれらを定義付けるにはあまりにもその範囲が多岐であり、それぞれの小説観に従うほかない気もする。
 寒い日が続く。こんな日には鍋にしようと肉団子と鍋野菜を買って、昆布だしとつゆを入れて煮込んだ。これが旨くて五臓六腑に染み渡る。出汁ごと飲み干すという文化に改めて感謝したい。

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