20230228

 快晴で風が強かったが、暖かく春一番といった趣きだった。歩けば汗ばむほど気温も上がって本格的に春の訪れを感じた。公園でもTシャツで走りこむ人やボール遊びなどに興じる人たちが多く見られた。人も虫も動物も植物も春になると活動的になるのは同じだ。二月はあっという間に終わった。年度末で皆忙しそうだ。次回の読書会のためにハン・ガン『すべての、白いものたちの』(河出文庫)を読んだ。タイトル通り、こめ、もち、ゆき……といった「白い」ものについて六五の散文が書かれた小説。ハン・ガンはこの作品を書く前に『少年が来る』という、光州事件を扱った小説を上梓しており、長い休暇が必要だったと自身で語っている。ポーランドのワルシャワに長期滞在し、その期間を経て今作は書かれた。ハン・ガンの生まれる前に生後二時間で亡くなった姉と、幼いうちに亡くなった兄、母から聞いたそのエピソードとワルシャワで感じた大戦の傷跡と復興とを重ね、自分と姉を反転させ、もう一度生き直すことを問う。それらのイメージが白いものたちを描くことで輪郭を帯びてくる。文章の合間にはモノクロの写真が挿入されて、美術的な趣もある。


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