taka

旅好きな1級建築士。写真は自分で撮影したオリジナルのみアップロード。

taka

旅好きな1級建築士。写真は自分で撮影したオリジナルのみアップロード。

最近の記事

日本建築空間史

建築を勉強して以降、ずっと1つの疑問があります。 日本の伝統住宅(いわゆる和風住宅)と現代住宅(いわゆる建築家の設計する住宅)がなぜこれほどまでに分断しているのか? 建築業界の外からはわかりにくいかもしれませんが、これらの両方を手掛けることができる建築家はほぼいません。なぜかというと、考え方の根本から異なることや、各部のディテールも全く異なるため、その両方に経験のある建築家が少ないためです。「分断」という言葉を使ったのも、同じ土俵・文脈で語られることがないことや、関連性が

    • 現代人は8〜9割を建物内で過ごすと言われています。その長い時間、一番触れている部分は、実は「床」です。靴履いているでしょ、触っていないでしょ、と思ったあなた。その通りです。(笑)でも床の硬さは靴の上からでも感じていて、これが後で述べますが、疲労感などにも繋がっています。少し話が飛びますが、例えば僕個人が住宅を建てるとして、こだわるべきと考えているポイントは主に3つ、①床の素材、②プランニング(=依頼する建築家)、③リラックススペース(風呂・趣味)と考えています。今回は最もこだ

      • 『空間 時間 建築』の時間とは?

        「空間 時間 建築」は建築学科で必ず教えられる様な古典となる本の一つですが、ようやく本書を読み終わったので、その主要なところをまとめておきます。「モダニズム」っていう言葉は聞いたことあると思いますが、建築におけるその正当性が語られているのが本書です。 プロローグ 時は19世紀後半から20世紀初期にかけての産業革命直後の世界。その社会情勢の大きな変化を受けて、当時世界で最盛期を迎えていたバロック様式や歴史主義建築はその新しい社会への適合に際して、その見直しを迫られており、建

        • 仮想建築探訪②

          目を覚ますと赤茶の壁が面前に迫っていた。都心部からバスで2時間ほど揺られて到着した場所は、見渡す限りレンガの壁に囲まれていたのだが、しばしの間、寝ぼけた頭では状況が理解できないほど、異世界感に襲われていた。が、声が届いてきた為、ようやく意識が戻ってきた。「よく寝たね〜。おはよ。」バスの行程中ずっと起きていたらしい妻は、見てきた景色の変化をザクッと説明してくれた。その説明によると、どうやらこの赤茶の壁群は唐突に出現したようだ。否が応でも高まるこの壁の向こうへの期待感が寝ぼけた頭

        日本建築空間史

          天井の高さはどう決まる?

          天井が空間の印象を決める。これは言い過ぎではないが、全てでもない。空間の広い意味を全て説明するには紙面が小さすぎるが、その一端を感じてもらえたらと思う。タイトルの疑問に答えるには、天井高を変えることで、どの様な影響があるか、又どの様な機能がそこにあるかを知っておく必要があると考えられるため、天井の役割や影響を浅く、広く提示していくことでその回答になれば良いと考えている。そのため、今回は天井の高さのみに注目し、素材やディテール、機能面などの詳述は省略し、天井の高さにフォーカスす

          天井の高さはどう決まる?

          可能性の幸福

          これは「現代経済学の直感的方法」という本の感想であるが、経済学の本からタイトルのようなキーワードが示されるとは思ってもみなかった。個人的にも一番重要なキーワードであると思ったからタイトルにも掲げたが、僕の中でこのキーワードをどのように応用していくのか明確な道筋は、今のところまだ無い。 それまでは、「経済学」や「資本主義」という言葉は大きすぎて捉え方が難しい上に、僕の半径1mには入ってこないものと考えていたようだ。といっても興味はあった。実のところ、全く関係ないとは思っていな

          可能性の幸福

          仮想建築探訪①

          空港から約2時間のドライブを経て、ようやくたどり着いたのは目当ての建物でなく、前泊のためのモーテルであった。初めてのモーテルに若干、戸惑いながらも受付を探し、チェックインをお願いしたが、受付のお姉さんは慣れた様子で、「これが鍵。チェックアウトは9時ですから。」と素っ気ない様子であった。モーテルは道路から入ってすぐの駐車場を中心にL字型に建物配置されている片廊下型の2階建である。広めの廊下にはベンチや簡易な机が出ており、先に到着している宿泊者たちは、各自が思い思いの時間を過ごし

          仮想建築探訪①

          雨樋(とい)いろいろ

          雨樋は何のために設置されているかご存知でしょうか?雨水を排水するためでしょと言えばその通りですが、玄関や正面の目立つ場所にスーッと入ってくるので、その設置には大変を気を使います。極論、本当に必要なのでしょうか?一旦機能的に分解して考えてみましょう。大きく軒の先端に設置される「軒樋」と、そこから地面の排水溝に繋げるための「竪樋」に分類できます。機能(役割)を抑えた上で意匠を考えるという原則に基づいて順番に見ていきましょう。 結論から入りますが、「軒樋」には、 ①屋根に降った

          雨樋(とい)いろいろ

          初回は「巾木(はばき)」です。

          床と壁の接続部分にあるモノですね。(トップ写真の左側壁下端の茶色の部分です。)みなさんの住宅にもだいたいあると思います。1番の役割として、住宅では掃除機の当たる衝撃から壁を守っています。壁にはクロスやペンキが塗ってあることが多いですが、そこに直接掃除機があたると、そのからクロスやペンキが剥がれてしまうため、日常使いにおいては、その当たる部分を守ってあげたほうがいいんです。クロスやペンキもその特性上、端部から剥がれていくんですよね。 また、壁と床を施行する際にも、実はあったほ

          初回は「巾木(はばき)」です。

          モノのおさまりを考えてみる

          はじめまして。皆さんはモノがなぜそこにおさまっているのか気になることはないですか。建物や町を構成する部品はものすごく数がありますが、それらがなぜそこにあるかがわかると、愛着も湧いてきて、毎日が少し楽しくなるかもしれません。自分のモノの捉え方や楽しみ方を少しだけ書いていきます。個人的な感想にも似たnoteになると思うので、実はこのような意味や想い、役割なんかもあるんだという場合、コメントいただけますと幸いです。

          モノのおさまりを考えてみる