キングを探せ/法月綸太郎
カラオケボックスに集う、奇妙なニックネームの四人の男。 交換殺人を企てる彼らの連帯意識は、それぞれに配られた、トランプの手持ちのカードによって繋がれていた。
ターゲットを入れ替えることで捜査を撹乱する四重もの交換殺人に、法月親子が挑む。
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この本のトリックが明かされた瞬間の心境を申し上げるならば、私は『盲点』の一言に尽きた。
綸太郎本人を使ってまで読者を騙し通そうとする、まさかの捨て身の手腕には、拍手を送りたい。
では、どこから騙されていたのだろうと考えて、はたと気づいた。
それは書店で、この本が私の目に留まった瞬間からだったのだ。
まさしく、『ヤラレタ』である。
ただ、四人の交換殺人という性質上、それぞれのニックネームと、本名、殺意を抱く相手の名前をしっかりと把握しておかなければ、解説されても関係性がピンと来ず、『???』という反応になりかねない。
だから書き手には、この作品に対しての興味を繋ぎとめておく努力が必要なのだが、相変わらず、論理を突き詰める故の淡白さから、盛り上がりに欠けたことが少しだけ惜しい。(そこが良いときも大いにあるのだが)
人物相関図が明瞭な状態をキープしていただくために、読者には、コマ切れではなく、一気に読了することをオススメする。
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