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にんじんまる
2021年10月29日 17:34
昔から水泳は苦手だった。学校のプールの授業も嫌で、何度も仮病で休んだ。授業の中で、泳ぐのが上手な子、まあまあな子、苦手な子でレベル分けされていたが、毎回苦手チームだったっけな。そのぐらい泳ぐのは嫌い。水の中になると、普段は自由に動かせている手足を上手く制御できなくなる。だから中学校の水泳の授業が終わった時、もう一生泳がなくていいんだ、と喜んだものだ。それなのに、なぜか僕
2021年10月27日 21:21
僕が彼女に抱いた好きという感情は、特別なものではなかった。好きな食べ物に抱く"好き"みたいな、そんな感じ。しかしそれは彼女に限ったことではなく、どの女の子に対してもそうだった。だから他の女の子と同じだった。いつもみたいに、好きだな、と思った。長時間の格闘の末、盛大に振られた友人には悪いが、好きになってしまったならしょうがない。そう思って、僕はひとりで再びあの蕎麦屋に行った
2021年10月10日 23:59
僕が彼女と知り合ったのは、1年ほど前だった。友達とふらっと入った蕎麦屋で、バイトをしていたのが彼女だ。混雑する小さな店の中、僕らの注文をとった彼女を見て友達が、あの子と連絡先を交換したいから協力してくれないか、と僕に言ってきた。僕は正直面倒くさかったが、友達が彼女のバイトが終わるまで店の外で待ちたいというので、一緒に待つことにした。どうせすぐ出てくるだろうと思った。しかし、
2021年8月14日 08:59
僕にとって、女の子と遊ぶことはいつの間にか容易いことになっていた。けれどそれと同時に、人に対する愛が少しずつ失われていくのにも、薄々気づいていた。だからいつも通り、彼女にも特別な感情は湧かなかった。他の女の子と同じだった。彼女はそれに気づいていて、あの日の夕方、僕の家でテイクアウトしてきたハンバーグ弁当を向かい合って食べていた時に、ふと言った。「君にとって私は、このグリ