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未来2023年11月号詠草 『魘された夜』

未来2023年11月号詠草 『魘された夜』 風野瑞人

淡々と処方を書いてゆく主治医 野戦病院は遥か彼方

辛くても薬を飲めば目処は立つ 戦地の風邪はどうするのだろう

まちがえた服薬 からだは戦いを拒否するように嘔吐の拒絶

容赦なく戒厳令下も咳は出る 狙い撃たれる38℃

カロナール カロナール カロ…唱えてもなんの弾除けにもならないだろう

あの国に生まれていたら寝汗などでは済まない闘病の夜

眠れずに日付またいだ諍いの寝返り 聞き耳をたてるベッド

気がつけば枕がしっとり濡れていた 魘されていた時間の涙

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