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かまどキッチン公演#03「燦燦SUN讃讃讃讃」初日延期のおしらせ

はじめに

先日、公演関係者に新型コロナウイルス感染症感染者が出たため、かまどキッチンのこまばアゴラ劇場における公演『燦燦SUN讃讃讃讃』は初日を予定していた1/7(土)から休演日明けの1/11(水)に延期することになりました。

変更後の公演期間は1/11(水)から1/15(日)となります。日程の詳細は以下の画像にて確認いただければ幸いです。

また、本ページに作演出担当の児玉健吾と、企画制作・ドラマトゥルク担当の佃直哉の主宰二人のコメントを掲載します。併せてご覧いただけますと幸いです。

児玉よりコメント

お世話になっております。かまどキッチンの児玉です。大変な状況ですが、僕から言いたいのはひとつだけ。

1月11日(水)19:00開演!千秋楽は15日(日)!全7ステージ!かまどキッチン『燦燦SUN讃讃讃讃』こまばアゴラ劇場にて!実はお席まだまだ用意してます。みにきてね!

以上です。なんだかひとつじゃないようにも見えますが一息で書いたので許していただきたいです。

私たちは元気いっぱいです。この情勢下で安心安全な場をつくるのは並大抵なことではありませんが、日々判断を重ね、いま劇場にいます。

演劇というのはまったく不自由な表現です。僕の尊敬する人が「私たちのつくる演劇はリモートワークができない」と言いました。演劇は作り手、並びに劇場にいらっしゃる皆さまと同じ空間を共有してはじめて完成します。時代と逆行しているようにも見えますが、今だからこそ必要に感じている方も多いのではないでしょうか。

劇場には、他で得られない体験が満ちています。この公演が皆様にとってかけがえのない体験となるよう粛々と取り組んで参りますので、引き続き応援いただけますと幸いです。いまこの文章を発表できること、とても嬉しく思います。成功と無事を祈りながらーーありがとうございました!

かまどキッチン 児玉健吾

佃よりコメント

かまどキッチンの佃直哉です。公演が延期になるたび、中止になるたびにnoteでこういった文章を公開していて、今回で4度目になります。

今までのものはこちらでお読みいただけます。


コメントを書き始める前に読み返しましたが暗いことを言っているなー、と思います。

なかなか明るくなりようがない世の中で難しいことがあってコメントを出すのだから、少しネガティブになるのは仕方ないかもしれません。でもコメントももう4回目。感染症のガイドラインに則って活動してきても結果罹ってしまうのなら、もう仕方ないことです。誰が悪いなんてありません。

今の劇場すごろく(死語!)は最悪なマス目であふれていて、しょっちゅうサイコロの出目が事故ってしまうだけです。

誰が悪いということもないのだから、今私たちが言うべきことは頑張るぞ。よろしくね。といったことなのだと思います。

そんなわけで、今回はこんな時だけど推しからの認知で元気出ましたという話です。長いのでお時間あるときにでもお読みいただければ幸いです。

ちなみに、推しからの認知(以下、推し認知)とはアイドルやタレントといった自分が応援していたり、好きだったりする方々から自分が一個人として認知されることを指すそうです。なるほど。

推し認知①:某トークゲストさん
先日、トーク企画のゲストとしてとある演劇人をお呼びし、お話しをさせていただく機会がありました。私がうまれてはじめて観た演劇を作った団体の作・演出家の方です。

大ファンだったというには距離が少しあるけれど、現代演劇について考える上でずっと基準の一つになっていた…そんな方とはじめてお会いして、私みたいな人間も演劇をやっていていいという話をしていただいたのが、すごく嬉しかったです。

前回公演で題材にして以降は折に触れてお話ししていますが、私は現代演劇を始める前は相当きつい美少女ゲームのオタクで、自分の価値観や認知の一部に偏ったものがあり、それによって他者を傷つけてきたことや傷つける可能性があることにずっと怯えて(情けない話ですが、他者への申し訳なさと同じくらい自分への怯えがあります)きました。

そのため、SNSでは公演の報告以外ほとんど何も発信せず、現場でも出来ることなら誰とも繋がりをもたないように努めてきました。

その方針を変えるつもりは今もありませんが、その方は、私の過去を面白がってくれた上で、違う視点を持った存在がいることの大事さを話してくれました。私の正直誇れたものではない過去をオルタナティブな視点の一ケースとして認めていただいたことは、今後ずっと大切に抱えていようと思っています。

そんな方に自分達の作品を見せられることが嬉しいです。こんなところで凹んでいられません。頑張るぞ。

推し認知②:平田オリザさん
本当に今さら、私はもうすぐこまばアゴラ劇場で公演を行うのだなあと思っています。はじめて観た演劇が上述の方の作品だとしたら、もっとも多く観た、その文化に触れ続けた劇場はこまばアゴラ劇場です。

人はたぶん、憧れがないと、ある文化にコミットしようとは思いません。

私たちが落とされても繰り返しこまばアゴラ劇場に企画書類を出し続けたのは、劇場が築いてきた文化や上演している団体に憧れを抱いたからです。この劇場でやりたいし、この劇場に観にくる人に観てもらいたい。そう思っていました。

ただ近づけば近づくほど、時間が経てば経つほど、この文化への懐疑みたいなものも生まれてきました。それは愚痴にも満たない小さなものから、先日のハラスメントの件にも見られた表向きの言動と実態の乖離といった、許せないなと思うものまであります。

ある文化にダメなものがあるとわかったとき、距離を取ることができるかが問われる。
今って本当にアゴラか?と思ってしまうこともある。

冷たい目をした自分がいます。かつてと同じ気持ちで美少女ゲーム文化を見られないように、こまばアゴラ劇場の文化を憧れだけで見られない自分が。

依然としてあるコロナ禍の諸々。作家がギリギリまで上げることのできない台本で周囲にかける多大な迷惑と個人的な心労。私自身もまたいろんな締め切りを超過し、多くの方に迷惑をかけている。それらの積み重なりで、見にきてくださいの一言が言いづらくなっていました。

そんな中、公演初日の延期がこまばアゴラ劇場のツイッターアカウントから投稿され、引用リツイートにこんな投稿があるのを見つけました。

この文章に触れて、こまばアゴラ劇場への文化の憧れと自分達がその劇場で行う公演を目前に控えているのだと思い出しました。

劇場、劇団ともにコロナとの闘いが続くという表現がいいなと思います。私たちを困難に陥れる何かがあることを前提に、それぞれが善きものを目指す闘いを諦めない姿勢は、今の私たちにとってさまざまな箇所で必要とされるものだと思うだからです。

青年団はホームページで発信していたように内規を更新し、対策を行い、自分達の文化にあるダメなものと距離を置きながら善きものを目指す闘いを続けてくれるはず。それはアゴラ劇場も演出部が主宰する団体も同じはずだと一旦は思うことができました。できなければきっと、利用団体の方が離れていくことになると思います。

長くなりました。
オリザさんから認知された感がある発言を受けて、元気をもらったという話でした。

補足:
先日のハラスメントについては事実であれば到底許されるものではないし、こういった言葉で事態を矮小化するつ
もりもありません。自分達の公演に関するコメントとして発表する中で起こったハラスメントを利用しているように映
るかもしれませんが、その意図もありません。
当該の一件と多少なり関わりある劇場を利用する団体の人間としてまとまりきらないまま気持ちを書いているなと
思っていただければ幸いです。

推し認知?:観客の皆さまへ
初日の延期を発表して数日の間に、応援や楽しみにしているとの言葉をSNS上や劇団員に送ってくれた方々がいることを知り、どういった形で進行するかに追われていた私は、私たちもまた推されているんだなあと、今自分達がやっていることはあくまでお客さまに向けた興行でもあることを再認識させていただきました。。

私の大きな仕事は劇場や関係各所に向けた書類を書くことで、理屈を考えているうちに観客の皆さんの顔を忘れてしまいがちな悪癖があるのですが、これが本当に良くないなと思います。現代演劇の閉じコン感の30パーセントくらいこれだと思います。

皆さまから、かまどキッチン宛にいただいた文章、読ませていただいています。
いつも本当にありがとうございます。元気をいただいています。

そんなわけで今ちょっと沈み込んだ状況にあるかまどキッチン『燦燦SUN讃讃讃讃』ですが、ご予約いただいている方や、鑑賞をご検討いただいている方のために、今後は前向きに進行していきたいと考えています。

今現在、まだお席には余裕がありますので、ご予約お待ちしております。皆さまを笑顔で迎えられるよう、皆さまが満足して帰路につけるよう、引き続き努力いたします。今後ともよろしくお願いいたします。

かまどキッチン 佃直哉


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