ハックルベリーフィンの冒けんをめぐる冒けん
『ハックルベリー・フィンの冒けん』をめぐる冒けん (柴田元幸)
アメリカ文学の金字塔と呼ばれる「ハックルベリーフィンの冒けん」の副読本。
なぜ「ハックルベリーフィンの冒けん」が「トム・ソーヤの冒険」よりも文学的評価が高いのかが知りてたくて読み始めたのだが、結局、それは分からずじまいであった。
しかし、「ハックルベリーフィンの冒険」がアメリカの数多くの作家たちに愛され、大きな影響を与えてきた事実は理解した。
あのアーネスト・ヘミングウェイをして「今日のアメリカ文学はすべてマーク・トウェインのハックルベリー・フィンという一冊の本から出ている」と評さしめ、その文体やスタイルはサリンジャー(ライ麦畑でつかまえて)をはじめ、多くのフォロワーたちの作品に組み込まれていたのが見て取れた。
そのフォロワーたちの作品の抜粋もこの副読本では原文にて紹介されており、久しぶりに英文を読み進めていくこととなったのだが、やはり、原書にあたらないと本当の面白さや深さには辿り着けないのだなあ、と改めて実感もした。
「トム・ソーヤの冒険」、「ハックルベリーフィンの冒険」両作品ともに日本語に訳されたものは読んでおり、その面白さは分かっているのだが、原書にあたった場合はまた、ちがう発見があるのだろう。
翻訳者である柴田元幸氏は、エドワード・ゴーリーの訳も行っており、その力量は十分に知っているのだが、原文の魅力にはやはり、敵わない。
本書を読み終え、英語をもう少し勉強したくなった。
ゆく河の流れは深くミシシッピー僕を誘えもっと遠くへ
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