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無事終了しました。東京大学での写真展「われわれは無国籍にされたー国境のロヒンギャー」

東京大学でのロヒンギャ写真展「われわれは無国籍にされたー国境のロヒンギャー」、無事に終了いたしました。写真家として大変意義のあるプロジェクトに参加させて頂いたことを幸せに思います。

今年6月に在日ロヒンギャが多く暮らす群馬県館林市で無国籍ネットワーク(ユース)と在日ビルマ・ロヒンギャ協会(BRAJ)の共催で行った写真展に、NPO法人「人間の安全保障」フォーラム(HSF:Human Security Forum)の原先生がいらして声を掛けてくださったことで今回の企画展が実現しました。

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今回改めて感じたのは、様々な人たちの「想い」が一堂に会した時、大きなうねりになって、さらに多くの人たちの心を動かしていくこと。感動しました。

私の写真に写るミャンマー国内の劣悪なIDPキャンプで2012年から7年間以上も隔離収容されているロヒンギャ、大弾圧からバングラデシュに逃れ命をつなぐロヒンギャの危機的な現状や想いを知ってもらいたいのはもちろんですが、写真に写っていない、例えば「かつてシットウェで一緒に暮らしていたムスリムの友人たちを助けたい、現状を世界に伝えて欲しい」と危険を冒してまで現場に連れて行ってくれた(本来は敵対する関係の)ラカイン族の人や、バングラデシュの土地勘や人づてが全くなかった自分を全面的にサポートしてくださった在日ロヒンギャのアウンティンさん、コックスバザールでアテンドしてくれた彼の親族や友人たち、数えきれない多くの人たちの「状況を良くしたい」という想いや期待が、そこに在ることも知ってもらえたら幸いです。

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2日間の短い会期でしたが、個人的にいくつか想像を超える心打たれる瞬間がありました。

ロヒンギャの問題を大学の論文で書きたいという大学生が熱心に質問をしてくれて、ミャンマー国内に今も多くのロヒンギャが閉じ込められている状況や、ロヒンギャやラカイン族が今も共存できているエリアもある等、ニュースには扱われない事実に心底驚いている様子でした。

トークイベントには多くの外国人も来てくれましたが、おそらくその中にミャンマー人の子も居ました。ミャンマー国内では最もセンシティブな問題であるにも関わらず、話を聞きに来てくれたことに私は密かに感動しました。いつもお世話になっている「ミャンマー写真家」の某氏もお客さんが少ない早い時間帯にふらり見に来てくださいました。

そして2年前に大弾圧が起きた、外国人が通常立ち入れないラカイン州マウンドー等で学校建設やインフラ整備等の支援活動をしている団体の友人も来てくれて、かつて故郷マウンドーから弾圧を逃れ日本で暮らすロヒンギャの人を紹介し、今も親戚や友人が残る故郷の現状を真剣に聞いていた様子が印象的でした。観光レベルであれば日本人は今やノービザで気軽にミャンマーを訪れることができますが、故郷を追われてきた彼らにとってそれは命がけであったり、ほぼ不可能に近い。写真展はこのような奇跡的なご縁がつながる場所でもあります。ミャンマーやバングラデシュと関係が深い日本が状況を良くするためにできることはもっとあるはずです。

私もこれからも自分ができることを自分らしいアプローチで頑張っていけたらと思います。様々なシンポジウムや勉強会で登壇されるような専門家の方も会場で声を掛けてくださり、多くのアドバイス、ネパールやパキスタン等のロヒンギャコミュニティにも行って欲しいといった熱い要望もいただきました。本当にありがたいです。資金を貯めなくては。私の写真だけで世界は変えられないですが、少しでも良い方向へ向かうための手掛かりや歯車の一部になれれば幸せだなと改めて感じました。

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そして12月10日から17日には早稲田大学ワセダギャラリーで無国籍ネットワークユースによる「新しい」ロヒンギャ写真展も行われます。私は直接関りはありませんが、若く情熱的な友人たちの素晴らしい企画展になると思います。12月14日には専門家によるトークイベントもあるそうなので是非予定を空けておいてください!また詳細等わかりましたら紹介させていただきます。

改めまして今回会場に足を運んでくださった方々やお世話になったスタッフ、関係者の皆さんに心から感謝いたします。ありがとうございました。シュクリア(ロヒンギャ語で「ありがとう」)。

新畑克也

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