ガチャをしたら、娘と幸せな時間が過ごせた日の話
先週買い物ついでに、近所のショッピングモールを久しぶりにぶらついてみた。
なじみの店が閉店していたり、逆に新しい店がオープンしていたりで、随分と変わってしまったなと、ちょっと感傷に浸っていた。そんな中に、ガチャ専門店というのだろうか。ガチャの機械をずらりと並べただけの不思議な空間が、店舗としてあるのが目に留まった。
その昔はゲームコーナーの片隅や、ちょっとした出入口付近とか階段の踊り場が定位置だった気がしたけど、今や店舗になるほど市民権を得たらしい。
そこで、懐かしさもあって、店舗にふらりと入ってみた。
すると、そこに突如、私の視界に飛び込んできたのが、BT21のかわいい子たちだった。
そしてその瞬間から、連れて帰りたい…という気持ちが抑えられなくなった。
よし、一回だけ、一人だけ連れて帰ろう。そう決めた。
だが、50過ぎの買い物帰りのおばちゃんがあまりに嬉々とする姿を晒すのは、ちょっと恥ずかしい。周りには若いカップルや親子たちもたくさんいる。
だから、私は全然興味ないんだけど、娘に頼まれたから仕方がないんだよねという体を装い、ガチャを回した。
そして、出てきたのが何なのか、おばちゃん全然わかんないんだよねって顔をして手に取り、でも一瞬で中を確認し、すぐさまバッグへイン。
我ながら完ぺきな演技だったと思う。
という話を、その日の夜遅く、仕事から帰った上の娘にした。
そして、戦利品であるガチャを見せた。そしたら一言。
「また、ロバじゃん」
(詳細は省くが、BT21に関しては、私はMANGちゃん率がとても高い)
いや、これはロバじゃなくて、モチーフは馬で、名前がMANGちゃん、そもそもこの子は覆面ダンサーで…と、その生い立ちを話し始める母。
「ほんとはウサギが欲しかったんでしょ」
私の推したちに興味はない娘だが、大まかに母の好きなものは認識しているらしい。
しかし、母は妥協を許さない。
「ウサギでなくCOOKYちゃんね」
そして、とっくに夕食が終わり、寛ぎたいであろう娘を捕まえ、ガチャに入っていたBT21全員が載ってるパンフ、更に、私のスマホからBTSメンバーの写真を用意し、どのメンバーがどのキャラの父なのかを当てる実力テストを実施。
「いや、メンバーの写真みんなマスクして、問題ハイレベル過ぎない?」
それでも、どのメンバーが作ったキャラなのかは、ほぼ正解。なかなかの成長ぶりである。次は名前をしっかり覚えてもらわなくては。
こんな風にいつも文句を言いながらも、ちゃんと私の相手をしてくれて、オタ活の心得を指南してくれる師匠でもある上の娘。
とてもありがたいことで、感謝しているのだけど、もちろん逆のパターンもあるわけで、そんなときは明け方まで付き合わされることもある。
そして、そんなときはオタク同士の会話になるから、時々親子であることを忘れそうになる。
子育てしてるときは、こんな光景、想像もしなかったから、なんだかとても不思議だ。
最近、親ガチャなんて言葉があちこちで聞かれるようになった。その定義で言えば、お金持ちでなく、高学歴でもないし、美人なわけでもない、そんなシングルマザーの元で育ったのだから、私は「はずれ」な親なのだろう。でも、娘は何かの拍子に、お母さんのこと大好きだもん!なんてことを、いい大人になった今でもさらっと言ってくれる。
どこまでそれが本心なのかわからないけど、そんな言葉は何度聞いても、素直にうれしいし、幸せ気分をしみじみと味わうことができる。
もしかしたら、幸せなんて自分の好きな人たちが、私のことを好きでいてくれるだけで十分な、そんなシンプルなことでいいのかもしれないね。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
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