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由比ヶ浜のアフリカハマユウ

今日は七夕。恒例の北鎌倉・宝庵での七夕茶会を7月5日の日曜日に開催した。
コロナ禍により春の野遊び茶会は中止せざるを得なかったけと、緊急宣言解除後、お茶のお稽古も6月より始まったこともあり、ごく内輪で催すことに。

八畳間での織田流お煎茶、裏千家の薄茶の2席のみ、ミツになる濃茶と点心は省略。
お茶会の報告は別途行うこととして、今日は茶席に欠かせない花について。

今回2席となったので、煎茶を前座として床に軸を荘り、中立ち後の後座は軸を外して花のみとすることを考えた。七夕の短冊荘りもあるので、ごくシンプルなものが良いと思い、夏の茶花の王者、木槿を第一候補に。

しかしベランダで育てている宗旦木槿が早々と前日に咲いてしまい、断念。これが今年の初花。あとのツボミはまだ固く、鎌倉に持参しても間に合わなさそう。

仕方ないので得意の現地調達にすることにした。宝庵に何かあれば良いのだけど、行ってみないとわからない。前回お掃除会に久々に出かけてから既に1カ月経っているので、山の花の様相も変わっているでしょう。

前日に準備のために訪れた宝庵への道々は、紫陽花でいっぱい。宝庵のある浄智寺の向かいには紫陽花寺として有名な明月院があるが、明月院でなくとも紫陽花はここかしこに見られる。
ただ、紫陽花はやはりボリュームがあるので、前座の軸の下に床に飾るのが良い気がして、鎌倉の花屋さんか、前泊の由比ヶ浜で朝に見つけるしかないか、と覚悟を決めた。

結局鎌倉の花屋さんにも明日咲きそうなものは見つけられず、お茶会当日。
心配していた嵐でもなく、薄曇り。先週は大雨で足元に水が溢れるくらい大変だったそうなので、本当に良かった。
由比ヶ浜にも早朝からたくさんのサーファーが出ている。

由比ヶ浜にはハマヒルガオが6月頃咲いているとの検索情報があり、探してみるもやはりもう7月だし、紫陽花があったきり。
とりあえず、鎌倉駅に向かって歩いてみるか、と歩き始めてしばらくして、宿の冷蔵庫に昨日紀ノ国屋で買ったライチを忘れたことを思い出した。しまった。。

もうしばらく行くと若宮大路、というところだったけど、お客様をお迎えした待合のライチ水に使うことにしていたので、仕方なく引き返すことに。8時の集合に間に合わないかもなぁ。。と思いつつ、少しは効率を良くしようと、花を探していた反対側から戻り始めてしばらくして、フットサルの練習で賑わっているグラウンドのはるか向こうの草ボウボウの片隅に何か白い花が!

姿カタチからしてハマユウかもしれないなぁ、無駄足になっちゃうかなぁ、とドキドキしながら近づいてみると、なんとユリの花!

やった!神さまありがとう!
と、普段なら躊躇うところを躊躇なくチョッキン。
広大なグラウンドに一輪だけ、白いチョウも一頭ヒラヒラ来ていて申し訳なかったけど、真っ白なユリの花が薄暗い茶室に一輪、星のように輝く姿しか思い浮かばなかった。

ライチを忘れなければ、出会えなかったなぁ。

元来ポジティブな性格なので、謎のユリモドキをライチが入った紀ノ国屋のレジ袋に大事に入れ(7月から3円)、あとは経路を変えて江ノ電とバス経由で明月院に向かい、浄智寺領域の少しずつ形の違う紫陽花を集めて行った。(これは宝庵のお庭を守る会員の特権なのでお許しを)

実家から持ってきたこんもりした竹籠の花入れに一輪だけ活け、海岸で採取したこれまたナゾのツルをバランスのために入れると、一発で決まった!

天才かもしれないなぁ。
と錯覚するほどの出来映え。

お茶をやってて良かったなぁ、と思うのはこの一瞬のためかもしれない。

切った時にニラみたいな独特の香りがしたので、ユリではないなぁと思いながら、家に帰った後に調べると、アフリカハマユウとのこと。
道理でハマユウにそっくりだったわけだ!
細い花弁のハマユウの亜種というわけで、由比ヶ浜に咲いてたのも納得。歴史を一歩間違えれば、ユリほどのボリュームはない細い花弁のままだった可能性もあり、奇跡にすら思える。

三河植物観察 を参考にさせていただきました。

やはり花は時のもの、天の川の席で星のように輝くユリの花。
偶然、主菓子も鎌倉のkuuさんの白百合。

山の中で出会う海辺の花。
空には満点の星。
短冊から昇っていくみんなの願い。
眼前に広がる小さな宇宙。
もしそれが実現していたら、席主冥利につきます。

この笹にも、物語がありますが、また次の席にて。(といつも続きを書かないので今度こそ。。)

#七夕 #鎌倉 #茶会 #茶道 #由比ガ浜

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