見出し画像

【企画参加】悲しみを大切に抱きしめて生きる

「ここです。私の実家」


目の前にかざされたスマホの画面に
思わず目を見張る。


「え?ここ、多分昔住んでいたところから
徒歩10分くらい。よく遊んだ場所ですよ」


「すごい偶然ですね〜。こんなことって
あるんですね」


※※※


Wさんと出会ったのは
その日が初めて。


仕事のつながりで紹介され
雑談する中、
Wさんが○○県出身であることを知った。


まさかね。

そう思いつつ

「私も父の仕事の転勤で
幼稚園から小学校4年生まで
○○県に住んでいたんですよ。
○○町ってご存知ですか?」



にわかにWさんの気配が変わった。


「え?私も○○町です。
じゃ、ここ、ご存知ですか?」


そう言ってWさんが打ち込んだ場所。



そこは幼い頃、よく遊んだ場所だった。


「すごい偶然ですね。じゃ、もしかしたら
すれ違っているかもしれないですね」



その日は笑って別れた。


でも、偶然じゃないことを私は知っていた


帰宅して、もう一度スマホに
○○町。


懐かしい地名を入れる。


目の前に浮かび上がる
懐かしい場所。


濃厚な記憶がゆっくり立ち上がってくる。


○○幼稚園。


○○小学校。


この校庭でよく遊んだっけ。


○○商店、まだあるんだ。


優しい記憶とともに
胸に温かい感情が、わきあがってくる。


愛しさと悲しみ。



そこに罪悪感はなかった。




※※※


昨年、半年かけて、21歳から22歳にかけて経験した出来事を手記にして出版するという過程を通じて、自分と向き合いました。


21歳の時、幼馴染が自殺で亡くなりました。



ああしておけばよかった。


あの時、なんで手を振り払ってしまったんだろう。


取り返しのつかないことを何度も何度も悔やみ、無意識の奥底にしまいこんで、


「罪悪感を感じ続けること」で忘れないでいられる。


残りの人生を償って生きていこう。


どこかでそんな風に自分を赦さずに、責めて生きてきました。


そして、そんな自分を責める気持ちが、自分ではなく、自分の大切な人を傷つけるという出来事を何度も経験し、とうとう逃げてきた過去と向き合うことを決意しました。


半年かけてたどり着いた自分の中の答え。


それは、自分を赦す


ということでした。


あれから3ヶ月。


日に日に軽やかになる心。


澄んだ青空がゆっくりと広がっていくようです。


自分を赦したら忘れてしまうのではないか。


心の奥底に抱いていたそんな恐れとは裏腹に、幼馴染への愛しさを前より素直に感じられるようになりました。


時々、


会いたいね。


生きていて欲しかったね。


そんな悲しみの感情が心に蘇ってくることがあります。


でも前みたいな苦しみや悔恨はありません。


心の中で声がするからです。


「大丈夫。楽しかった思い出を忘れないで。思い出せば、いつでも一緒だよ」


決して偶然ではない


悲しみを抱きしめて生きて良いということを知りました。


悲しみは愛。


だからずっと抱きしめて生きて良いと知ったのです。


「そうだよ。きよこちゃん。いつでも一緒だよ」


どこからか優しい声が聴こえてきます。


手放したのは罪悪感でした。


私は罪悪感を手放して、悲しみを大切に抱きしめて生きていく。


※※※


本日が最終日の倉田エリさんの企画。


ずっと気になっていたものの、今回は書ける自信がなくて、多分間に合わないだろうなぁと思っていました。


つい先日『偶然の出会い』があり、きっと書いた方が良いということなのかな。


そんな風に思って最終日の今日、参加させていただきました。


倉田エリさん、素敵な企画をありがとうございました✨✨✨参加させていただき、ありがとうございました✨✨✨


締め切りは本日までです。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました✨✨✨








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?