タカヤマ神がかり――令和交雑文体の修辞学
高山宏先生の代表的な訳業として上げるべきは、バーバラ・スタフォード、ロザリー・コリー、マージョリー・ニコルソンなどの観念史の学者さんの著作の翻訳だろう。しかし、筆者が愛してやまないのはタイモン・スクリーチの翻訳だ。たぶん高山先生の翻訳はスクリーチさんの原文より面白い。そのことは題名を見るだけで一目瞭然である。たとえば、『春画』についている副題だ。「片手で読む江戸の絵」という。なぜ春画は片手で読むことになるのか、ちょっと考えてくすっと笑ってしまうが、長く考える必要はないぐらい