一英語編集者の戦中と戦後
書いた人=津田正(北烏山編集室)
[以下の文章は、2002年に中京大学の『八事』という評論誌の求めに応じて寄稿した文章である。特集テーマは「生存」で、それに関するエッセイなら何を書いても良いということだった]
筆者の勤務する研究社という出版社は九十五年の長い歴史を持つ。あの太平洋戦争の時代を生き延びた会社である。当時、紙は配給制になり、印刷に使う紙にも事欠くようになった。英語は敵国語である。その時代の出版目録を見ると、細々とながら英語のテキストなども出しているが、ナチス