映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』感想
2024/3/22(金)
かつて浅野いにおにハマっていた原作ファン（連載の中盤～終盤はかなり落胆しながら読んだいち読者）として、いちおう楽しみに待ってて公開初日に観に行った。
危惧していたほど酷くもないし、想定外なほど良くもなかった。そこそこの出来なのではないでしょうか。
凛ちゃんがいちばん好きなので、凛ちゃんがかわいくてかっこよくてとても良かったです！！！！！
映像の魅力・演出は原作の方が良くて、いかに浅野いにおのマンガ表現が優れているかを再確認した。（脚本はともかく…）
おんたんのダッシュ登校シーンの音響演出とか、「知ってるよッ！！」シーンの演出とか、見ててかなりあちゃ〜とは思いました（とはいえ泣くけど……）
背景美術・構図がキマってるカットはしばしばあったけど、それも漫画の時点ですごかっただけだしな……。
とはいえ、後半の過去編で徐々に（こちらの）チューニングが合ってきて、最終的にはまぁええんちゃう？という感触だった。全編4:3なのは、この物語自体が門出の回想モノローグ形式をとっているからなのかもしれないけど、特に過去編の安っぽくエモい映像のかんじはうまく合っていたと思う。
完結以来ほとんど読み返してないので、2024年3月末のいま、こうして劇場アニメとして改めて目の当たりにしたときに、連載開始した2014年からはや10年が経っていて、そのあいだに世界やこの国であった/今も起こっているさまざまな物事に想いを馳せざるを得なかった。
なんというか、政治的なものを（左右問わず）シニカルに描きつつ、そういう冷笑的な態度にも鉄槌を喰らわし、しかし結局のところはセカイ系→まどマギ百合文脈のエモいドラマに収斂していくこの作品の態度は……難しいよなぁ。そりゃあ一言でいったら悪いんだけど、褒めようと思えばそうとも取れるし……という。。
この作品に出会って衝撃を受けた頃の自分はまだ政治にまったく興味がなくて、デモ活動とかを内心ダサいと思ってたな～と、まだ若く青かった我が身を懐かしく恥ずかしく思い出したりもした。
原作だと後半にある過去編をこの前章に早めに持ってくる采配は、たしかに2章構成なら妥当か、といったところ。いつもの吉田玲子の仕事。
過去編で門出が暴走するくだりは映像で見せられるといっそうキツいですね……何やってるんだ（浅野いにお！）！…と。
・他こまかいところの印象メモ
演出が良かったシーンで覚えているのは、門出たちが母と車で別れたあとの喫茶店でおんたんがいきなり変なバルーン笛帽子？をかぶって鳴らすシーンと、あいちゃんの5兄弟紹介のシーン。どちらも映像向きのギャグシーンなので順当ではある。
「侵略者 」「母艦」の異星語の改変ひらがな文字演出まで映画でそのまんま使ってきたのにはズッコケた。ぜんぶ大葉くんの発話みたいでいいのに。で、逆に『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』クソデカタイトルロゴが上空にドーーン！！！演出を見に行ったまであるのに、なぜしなかったんだ……「○○駐屯地」みたいな場所説明の凝った文字演出は入れるくせに……
後編を期待過ぎもせずにいちばんいい塩梅の心構えで観れそう。おはなしがアレなのはもうわかってるので……
あと、 尺の都合上仕方ないんだけど、キホがおんたん達グループにあとから加入した（そのことに内心引け目を感じていた）という描写が省かれていたのが残念！！ あの悲劇の味わいが薄くなって勿体ないな、と今思いました。
あれが名展開・名シーンなのは、「仲良し5人組がひとり欠けてしまった」という哀しみの奥に「仲良し4人組という”元のかたち”に戻ってしまった」という、よりやるせない次元がある（そしてそれは「代わり映えのしない日常とカタストロフ」という主題にねじれて響いてくる）からなのに・・・・・・映画だけ観た人はそれを味わえなくてもったいない！！ 「昔からずっと一緒にいて仲良かった友達のひとりが突然死んじゃって悲しい……」というだけのシーンだと思われてしまう。
以上、Filmarksへの投稿文のコピペ
学生時代、浅野いにおにハマっていた頃のじぶんが書いたもの
・追記
じぶんのなかで、『デデデデ』といえばこのMAD。きのこ帝国をこれで初めて聴きました。あまりに良過ぎて、いまでもきのこ帝国でいちばん好きな曲は「you outside my window」です。映画を観たひとも、観てないひとも、この動画はぜひみてほしい。
『デデデデ』のアニメーション映像作品として、個人的に映画（前章）はこのMADを越えられなかった。それほどに『デデデデ』を愛読していた当時のじぶんにとってこれはインパクトがありました。映画の主題歌も決して悪くはないけれど、やっぱり自分のなかでは "永遠" にこの曲が『デデデデ』のイメージソングです。（映画ラストシーンの「侵略者」の3DCG風景にけっこうテンション上がったのもおそらくこの動画のおかげ）
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