【2024夏アニメの暫定感想】小市民シリーズ/2.5次元の誘惑/アーリャさん/僕の妻は感情がない/疑似ハーレム/エルフさん…
こないだの『負けヒロインが多すぎる!』感想noteの冒頭でも言及させて頂きました、低志会の毎クールお馴染み「今期何見てる?」スペースが今夜もうすぐ始まるということで、それに間に合わせるために、お品書きに書かれていた作品を出来るだけ頑張って観ました。
といっても6, 7作品程度ですが…………(アニメの好みの偏りが激しいため、観れる/観ようと思えるものが少ない)
1話だけしか観てないものも多いです。
今期は空前の(ヘテロ)ラブコメ豊作クールと巷では言われていますが、果たしてラブコメが苦手なじぶんはどこまで観ることができるのか……!?
・疑似ハーレム
7/26(金)
1話の開始10分で挫折 これはキツい
同じゲッサンの『高木さん』のような、1対1のヘテロのイチャイチャをずーっと見せつけられる系
ヒロインが初めから男側に完全に惚れていて、演技力(?)を活かして数種類の「キャラ」でアプローチしていく。擬似ハーレムってそういうことかよ……
ハーレムものは大嫌いだけど、これには流石に「ハーレムってそういうことじゃないだろ! ハーレムを舐めるな!!」と謎のお怒りを発露したくなる。
『マケイン』の「プロ幼馴染」は「幼馴染」じゃないし、「メタ「負けヒロイン」」は「負けヒロイン」じゃない……の系譜。擬似ハーレムはハーレムじゃない。むしろ1対1のカップルしか世界に存在しないかのように尊く魅力的に見せるための手段に過ぎないので、正反対のもの。
『君は放課後インソムニア』とかでもつくづく感じたが、じぶんはこういうイチャイチャヘテロラブコメを基本観れないんだよな。「は?なにしとんじゃこいつら……」と真顔になってしまう。
とはいえ、『高木さん』『長瀞さん』『阿波連さん』あたりはそこそこ好きだけど…… 本作もこれらの系譜ではあるが、段違いにキツい。「演技」要素も苦手なんだよな。
なによりヒロインの男への好感度がはじめからマックスで、しかも後輩-先輩関係だというのもキツい。長瀞さんも後輩ヒロインだったけど、あれは長瀞さんがそれを逆手に取ってイジりまくる話だったから全然観れた。こちらはヒロインが赤面しまくりながら、その動揺を隠す──というか、うまく表現するためのテイの良い言い訳として「キャラ」演技がある。
こういうミニマルなコンセプトと人間関係のラブコメはショートアニメでやってほしい。20分枠では厳しい。ニコ動のコメント付きなら観れるかな……それでもキツいラインだ。
あと、マケインの映像のリッチさに比して、こちらは安心感のある止め絵の美術スライドショーカットで、そこは逆に好ましかった。セル画のキャラ絵の画風はやや特徴的な線でかなり良いし。
オープニング曲すき
・僕の妻は感情がない
原作漫画はpixivで数年前にちょっと読んだ気がするが、もうほぼ何も覚えていない。
軽いラブコメではなく、かなり豪の深い漫画を描く作家だったような印象だけが残っている。
1話みた
うーん……まぁ……これだけだと、じぶんはまったく興味が持てない。虚無。
こいつらがどうなろうがどうでもいい。嫉妬とかムカつくとか怒りを覚えるとかでもない。無関心
家電アンドロイドのミーナちゃん、徹底して無表情なのは好き。赤面を意識して、つねに頬に赤みが差しているのは苦手なのかむしろ好ましいのか。
・時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん
1話
アーリャさんに「かわいい」って言われてるだけの男側が「こんな羞恥プレイ」と言うのおもろいな。果たしてどちらに対しての「羞恥プレイ」なのだろう。ロシア語を解せているとアーリャさんに教えたら彼女が恥ずかしがるであろうことを想像して男側が先回りして恥ずかしがっている? 「かわいい」とこっそり言われることも恥ずかしいだろうけど、どちらかといえば、「かわいい」と言わされるほうが羞恥プレイっぽくないか。ともかく、ここには羞恥とは何かをめぐる重要な洞察が潜んでいる気がする。
久世くんがロシア語を分かることの「カミングアウト」への葛藤とか、作中虚構と作中現実の「銀髪」属性をめぐるアーリャさんの想いとか、いろいろと注目すべき点は多い。
は? 『高木さん』系のワンヒロインラブコメじゃなくてハーレムものかよ…… 男主人公に幼馴染ヒロインが乱立してる
実は有能なやれやれ系男子主人公はもうたくさん!
マサチカくんをめぐってヒロイン同士でめっちゃ牽制しあってるじゃん
うお〜 ハイソックスを脱ぐシーン気合い入りまくっとる‼︎
にしても、『高木さん』系の、男子主人公を弄ってくるけどたまにデレるヒロインの系譜に並べると、アーリャさんは、そのロシア語でのデレ(本心)を久世くんに最初から知られていて、しかも知られているということを知らないという情報の非対称構図が確立されてしまっているため、男側が一方的に女側をまなざして真実を握っている優越的なポジションにあり、ヒロインが圧倒的に劣位に置かれているのがだいぶ厳しい。長瀞さんや高木さんの頃のようなハードさは削ぎ落とされて、甘っちょろくなっている……。
まぁ、そういう情報の均衡を保つために、幼い頃に近所に住んでいたロシア人の少女の正体に気付いていないという馬鹿馬鹿しすぎる設定が久世くんに付与されているわけだ。
ソックスを履かせてきた久世くんを蹴ったあとのアーリャさんが、仰向けに倒れる久世くんの横をそろりと通って逃げ出すカットの作画がおもしろい。
自分だけが認識できる甘言を聴いて恥ずかしがる……たしかに羞恥プレイといえばそうかもしれないけど、やっぱり違和感があるなぁ。恥ずかしいっていうか、「照れ」ているのでは? 照れと羞恥の相違点とは。他人からされたことに対しての感情か、自分がしたことに対しての感情か、の違い? 「恥ずかしい」のなかに「照れくさい」という意味も含まれるっぽいな。
・2.5次元の誘惑
7/27(土)
1話
これも『擬似ハーレム』と同じく先輩男と後輩女の二者関係ラブコメか。(いやOPを見る限り他のヒロインも出てくるっぽいが)
ファルスを持つ者とファルスである者ってこういうことなのかなぁ。
リリサさんのような、ヘテロ男性から客体消費される「ヒロイン」に憧れる女性って、いやそんなヘテロ男に都合の良い女なんていねぇよと一蹴したくなるが、実際にいるだろうしな…… すべてのコスプレイヤーがそうではないだろうけど、一部はそうだろう。(主体的なセクシュアリティ/性欲をもつ女性キャラを「ファム・ファタール」として強烈に対象化しようとするマッチョな構造批判……的な議論に近い)(あと、コスプレ準備シーンのメイクや着替えの描写などは明らかに女児向けアニメの魔法少女変身バンクっぽさを意識しており、そもそも本来は魔法少女やアイドルものなどは、少女漫画や女児向け作品のように女性が主人公として変身願望充足の主体となるジャンルだったはずだ。)
なので、非現実的なフィクションだと否定してしまうのもそれはそれで「女性」をステレオタイプでしか見ていない差別になるので難しい。しかし逆にこれをヘテロ男性側から素朴に肯定するのもできない。男主人公、すげーミソジニストなので要はインセルでしょ?
というわけで、現実に存在する女性の欲望を無視することになってしまうのだけれど、わたしはこのあまりにヘテロ男性にとって理想的な(メイン)ヒロインのコスプレイヤー女性を「3次元」とも「2.5次元」とも思うことはできない。ふつうに「2次元」だろう。はじめからなにも、2次元と3次元のせめぎ合い・葛藤・侵略・簒奪など起きてはいない。
何より、これをフィクションとして鑑賞する視聴者からすれば、紛れもなく2次元キャラクターである。本作はそのメタフィクショナルな矛盾に自覚的に向き合おうとするのか、それとも素朴に誤魔化そうとするのか。ジャンプのノリだから後者な気がする。
いずれにせよ、今のところ本作も『擬似ハーレム』や『僕の妻は感情がない』と同じく完全にノットフォーミー枠。批判するモチベも湧かない。お色気作品として一定のエロスはあるが、それだけ……(原作漫画にさほど惹かれなかったのも同様)
振り付きダンスアニメーションでTikTokとかでバズろうとしている魂胆が透けて見えるエンディング映像もキツい。
2話
2人目は激重幼馴染ヒロインか……コテコテの「負けヒロイン」…… 全然好きじゃない。虚無の表情で見ている。半目で。
幼少期に近所の悪ガキ男子にいじめられてたところを助けられてから、その人に惚れこんで人生を捧げようとするやつ、最近『ラブライブ!スーパースター!!』1期でも観たな。
リリサとは対照的に、まず男主人公への好きという感情ありきで、仲良くなって振り向いてもらうために彼の好きなマンガ・アニメに出てくる2次元美少女になろうとしている。「3次元女子」にはなりたくない、という台詞が印象的。どうあがいてもあなたは最初から最後まで3次元女子のままだし、それをアニメとして観る私にとっては2次元女子でしかない。
リリサさんは逆に、2次元美少女への憧れありきでコスプレを始めており、男主人公に出会ってここから恋愛関係になっていくのかな。
・小市民シリーズ
原作は『春期』『夏期』『秋期(上下)』を既読。『巴里マカロンの謎』と『冬期』は未読
小説の感想ははてなブログにて書き殴っております
7/27(土)
1話 羊の着ぐるみ
オープニングEveさんかぁ~~
小鳩くんのモノローグ(地の文)をぜんぶ排して、すげぇ静謐というか、シックな雰囲気の映像にしている。シネスコっぽいサイズだし。監督の神戸守さんあんま知らなかったけど、『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』とかの人か~ 完全に名前に引っ張られてるだろうけど、先週観た押井守『スカイ・クロラ』を思い出しちゃった。それこそ「映画」っぽく気取っていて静かー~なかんじが。
終盤の、チャリ2人乗りしながらデカい橋を渡っていくシーンで、別の時系列なのかイメージ映像なのかよく分からん河川敷や川や車道に入るカットを連続で挿入していくくだりが意味わかんなくてちょっと面白かった。どういうつもりなんだろう。
推理パートでの犯人の動向イメージ映像内で小鳩くん自身が出演してるのとかも、真顔でボケてるのかもしれない。チャリ盗まれて小鳩くんが「泥棒!」と追いかけるもすぐ諦めてまた画面にトコトコ戻ってくるのとか吹いた。コントだと思ってみようか。
小説だと苦手なミステリーの内容もあるていど理解しながら読み進めなければならないが、アニメだとボケーっとしてても勝手に事件が解決して話が進んでいくからラクでいいな(すげぇ不真面目な視聴者)
アニメの魅力といえばやはり、舞台となる岐阜県岐阜市の具体的なロケーションが見れることがいちばん楽しみ。そういう学校や街で暮らしていたのね~~ってなる。
小鳩くんも小佐内さんも正直嫌いなので、かっこよく/かわいくデザインされて映像内で描かれていればいるほどにイライラしてくる。あんまり2人を見たくない。岐阜市の風景だけ見せてほしい。(じゃあ見るなよ)
エンディング映像はこれまた実写映像に手描きキャラを乗っけたやつ。同じ岐阜市を舞台にした今年のアニメとしては『変人のサラダボウル』OPがすばらしい実写×アニメーションの映像を見せてくれたので、それと比較してしまうと本作は単にカッコつけてエモくしてるだけだな……となっちゃう。
ところで、原作読んでたときから、1話の「羊の着ぐるみ」って章題の意味がわからなかったんだけど、「羊の皮をかぶった狼」≒小佐内さんのこの時点での様子を喩えているってことか。この回の事件の、ポシェットとかに関係あるのかなとか思ってた。
あと、まだ最終巻『冬期』を読めてないのでわかんないけど、ポシェットを盗まれた生徒吉口さんは小市民シリーズの実質ラスボスだと思っているので、こういうキャラデザなんだ~~って注目しちゃった。
てか1巻(春期)の内容は5, 6話で終わると思うけど、1クールのもう半分は『夏期』をやるのかな。季節感もちょうどいいし。例のところが楽しみだな~~ そうなった場合OPとかは変わるのだろうか。
2話 おいしいココアの作り方
なんかコンテめっちゃ変だなぁと思ったら武内宣之さんかよ!! そりゃあヘンテコなわけだ………… 実写や3DCGとセル画と美術をひとつの画面に意欲的に混在させていく方針はシャフトというか『傷物語』っぽさもある。
1話からそうだけど、暗示的で、示唆に富んだ映像演出をしているので、そういう画面映像分析/考察(推理)が好きな人からすれば捗るだろうな~~と他人事のように思う。
原作でも好きなエピソードだけど、こうして映像で見ると余計に、勝手に「挑戦状」を見出して「推理」してるこいつらの異常さが客観的に際立ってておもろいな。自分も「ズボラ」な側の人間なので、シンクが濡れてないのにどうやっておいしいココアを作ったかなんて本当にどうでもいい。(最後にケーキの透明なピラピラのやつを意地汚く舐め取っている健吾にすげぇ共感した。パウダーのパック裏面に書かれていた作り方を実践してみて自慢しちゃう健吾かわいい。あと、そもそも健吾にぜったい声聞こえるだろ!とツッコみたくなる。マジでコントだ。
台所での推理中にちょくちょくなぜか屋外で3人が話すカットが今回も挿入されて、なるほどこれはイメージ映像なんだと了解した。岐阜の絶妙に田舎で絶妙に都会な風景を美麗な美術によってたっぷり見せてくれる神演出じゃあないか!
健吾の姉ちゃんのCV、安済知佳さんでしたね………… 小佐内さんがマジで嫌いなので、相対的にそれ以外のキャラが魅力的に見える。
3話 ハンプティ・ダンプティ
やっぱり、カット数が多いのとか、人物の顔のアップショットが多いのとかも、シャフトっぽいんだよな。盛り上がってくると突入するイメージ空間も、シャフト作品だと思えばすげぇ理解しやすい。『まどマギ』とか『化物語』とか。(そういや物語シリーズも原作は西尾維新なので青春ミステリに括れないこともないんだった)
自動車学校のくだりでGoogleマップが出てきたけど、地方都市をリアルに描いたアニメとしてはすげぇ出色の出来だ。昼間から基本的に人通りが少ない寂れた感じとか最高。岐阜に行きたくなる~~
物語としても、「自転車を盗まれる」とか「自動車学校」とか、ようするに徒歩/自転車/バス/自動車……といった移動手段による街の捉え方の違いを主題としていると読めるし。〈小市民シリーズ〉は都市交通にかんする作品だったのか…………
このペースだと次話かその次くらいで『春期』は終わりそう。まさか春夏秋冬を1クールでやらないよね?
・エルフさんは痩せられない。
7/26(土)
1話
11分尺のアニメか。
異世界人が現代日本に迷い込んでくる系。
『ダンベル何キロ持てる?』にも少し近い、健康ダイエット推奨アニメと、お色気アニメを掛け合わせた感じか。秋田書店。
といっても1話だけだとそんなにエロくもないな。ほぼ裸になってるのにえる札さんがまったく恥じらってないからかな。
異世界が近所くらい簡単に行き来できる「重量制限付きの自動ドア」みたいな設定でややおもしろい。
早くニコ動で、える札さんが痩せた時に大量に流れてくる「もどして」コメが見たいよ〜〜
え~~ 今のところ、ラブコメが苦手すぎて今期とても好みな作品がひとつも見つかっておりません。。 『小市民シリーズ』が地方都市を描いたアニメとして注目したいくらいでしょうか。上に挙げたもの1つも完走できない可能性も高いです。
とはいえ、今回はとりあえず今夜の低志会スペースに備えて、そこで取り上げられる予定の作品を取り急ぎ観ただけなので、自分の本命は別にあります。P.A.の『菜なれ花なれ』や、原作ゲームをやった『ATRI』など……!
ちなみに、最新アニメに限らなければ、今は『スーパースター!!』1期を観終わって、夏だし季節感のある涼しげなやつをみたいな~ということで、dアニで『Free!』1期を観始めています。結構おもしろいです。プールはいりたい
それでは、また今期が終わる頃に、しっかり継続して観れたやつだけ感想を上げたいと思いま~す!
(アニメ映画を含む)映画の感想を友だちと2人で喋り倒すポッドキャストもやってます!
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