TVアニメ『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』3話までの感想
今期アニメ『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』を3話まで観ていて、けっこう面白いので1話ごとの感想メモを投稿します。
原作の漫画?はまったく読んでいません。存在も知りませんでした。
いつも通りdアニ ニコニコ支店で観ています。(その後で1週間無料公開でも観ています。) ニコ動の中年オタクの皆さんと観る16bitセンセーションがいっちゃんおもしろいです。
・1話「タイムリープしちゃったぁ~!?」
10/5(木)
1話みた
https://www.nicovideo.jp/watch/so42843758
エロゲ(美少女ゲーム)を扱っておきながら、主人公は自分で作った美少女キャラの自己実現・アイドル的啓発を描くことを主目的としているのが引っかかった。要はエロゲのR18要素を脱臭して、現代(2020年代)の一般アニメ文脈に乗せようとしている。30年前にタイムリープした設定とは裏腹に、どこまでも “現代” ウケする話をエロゲのガワだけ都合よく利用してやるつもりなんじゃないか。それは色んな面で仕方のないことかもしれないけど、美少女ゲームの性的で反社会的な部分を隠蔽して売り出すことの危うさ/もどかしさをかんじてしまう。
「ロープラ人妻催眠モノ」がエロゲ市場衰退の象徴として半ばギャグのような形で藁人形にされているのをみてももどかしさは尽きない。これなら『着せ恋』のエロゲ描写のほうがまだ真摯だったのではないか。
とはいえ、『Kanon』も『同級生』も抜きゲー/陵辱モノではなくギャルゲー/和姦モノだし、そもそもkeyなどの泣きゲー/シナリオゲーが隆興した歴史そのものが、上述のような「エロゲではなく美少女ゲームとして “良い話” をやる」ことの是非…みたいな議論を積み重ねてきた文脈があり、それを自覚的にパロディ/再演していると読める可能性もあるので、いずれにせよ第1話だけでは判断できませんね。この先も観れるかはわからないけど。最後に出てきた男主人公っぽい男子キャラとか拒否反応出そうだし……。
最後に流れたOP主題歌(Vo.中川翔子)の古くさいかんじは好きだった。
【追記?】
1話を観終わって↑の感想を書いた後に、てらまっとさんもほとんど同じことを仰っているのを目撃してほんとそれな~~~~~~やっぱてらまっとさん信頼できるわ~~~~~と昇天しました。
ほんとうにそう思います・・・。(ちなみに余計な一言を付け加えると、『16bit』の感想はてらまっとさんと完全合致/同意しましたが、同じく今期の『オーバーテイク!』の所感ツイートはまったく受け入れがたいと思いました。そういうこともあるからアニメオタク/批評オタクは面白い!)
・2話「いっしょに美少女ゲーム作ろ!」
10/12(木)
2話
https://www.nicovideo.jp/watch/so42873646
わりとおもしろかった。
92年当時のデジタルイラスト制作ツールの紹介。過去へのタイムリープで未来人が無双……できない展開いいよね。でも基礎スキルでなんとか慣れるのさすがプロ。
当時のパソコン事情はほぼ分かんないけどフロッピーはギリわかる。そして油断してたところで紐付き電灯(豆球)の懐かしさに一発食らう。さらっとやるのがいいです。
終盤の主人公の語りによれば、1話で2023年の街にソシャゲやアニメの美少女イラストが溢れているのは、エロゲ/美少女ゲーム業界がそれらに敗北して衰退したことを示すというより、今やこんなにも市民権を得た美少女イラストの起源は美少女ゲームにある(から美少女ゲームは偉大だ)!という意図があったらしい。2次元美少女の源流って少女漫画とかじゃないの? しらんけど。しかし、こういう源流としての偉大さの主張こそが斜陽の現状をありありと証拠立てる哀しさもある……
高校生?男子くん歳上の見知らぬ人にタメ口でほんとムカつくんだけど、こういうところも古のエロゲ男子主人公オマージュ?
てか、てっきりオリジナルアニメかと思ってたんだけど、「アナザーレイヤー」というくらいだから原作はあるらしい。そこでの男子主人公なのかこいつは。いらなくね?と思うけど、主人公とのややおねショタな感じはちょっと良いかもと思ってしまった。というか主人公のアニメアニメし過ぎている性格や描写にだんだんと絆されてきた。
そして衝撃のラスト! 過去と現在を行ったり来たりする系だったのかーいww(まだ決まってないけど)
これで92年時空で美少女ゲームを作って終わり、な話ではなくなった。(それはこの第2話でやり終えてしまった。)
1話での巧妙なミスリードだった。
・3話「もう一度みんなに会いたくて!」
10/19(木)
3話みた
https://www.nicovideo.jp/watch/so42904949
どんどん面白くなっていく! TVアニメとして「ちょうどいい」面白さ。テンポがややのんびりめだったのが気になるけど。
1話で2023年から1992年にタイムリープする話だとミスリードして、2話のラストで現代に戻ることで2023年と1992年を行ったり来たりする話だと思わせておいて、3話で2023年から今度は1996年に行くことで、「(徐々に現代に近づいていく)過去」へと行きつ戻りつする話であることを明かした。(またひっくり返される可能性が無くはないが。)
現代で謎のお婆ちゃんの営むゲームショップで貰った古のエロゲ/美少女ゲームを「消費」して、そのゲームの発売年(発売日?)にタイムリープする。そしてその時代での特定のイベントを消化したら強制的に現代に戻る……という仕組みのようだ、どうやら。
そんな物語のタイムリープ構造が概ね開示されたこの第3話では、1話の時点ではめっちゃ嫌いなタイプの男子キャラであった「守くん」の好感度が一気に増した。というのも、そもそもエロゲが衰退した現代から全盛期を「懐古」することで90年代にタイムリープするという志向性が根底にある本作において、その過去に生きる16歳の「若者」が、4年経ってPC98からwindowsへの時代の流れについていけず「老害」化しているという設定がすばらしい。ふつう現代人のタイムリープ者を懐古厨の老害にしそうなところを、もっとヤバい老害の過去人を登場させることで「現代」を相対化している。
つまり主人公のタイムリープ先である「過去」をひとつの時代として固定して懐古対象とするのではなく、時々刻々と変化していく "歴史的現在" として扱っており、それがこの守というキャラクターにおいて見事に表現されている。タイムリープ者のこのはは1週間しか経っておらずほぼ歳を取っていないが、4歳年下の高校生だった守は「同級生」になっているのだ。
高校生だった守にはラノベ主人公感があってムカついたが、19歳になってwindowsの潮流に乗れず過去にしがみついているヤバいコンピュータ/プログラミングオタクの守には好感が持てる。成長するってことは未来を失って老害化するってことだよなぁ!? いま年齢を公表してブイブイ言わせてる才能ある若者たちも、あと数年経てば「こっち側」に来るんだぜざまぁみろ!(前途ある若者に嫉妬する醜悪な老害の図)
過去の名作ゲームの発売年に飛ぶ、という設定は、個々の具体的な作品名を物語に直接結びつけられる点でも、また上述のように「過去」を単一の固着したものとせずに、つねに徐々に「現在」へと接近しつつある流動的な世界=宛先として位置づける点でもすごくいいと思う。
PC知識はなくとも、こだわりのあるオタク気質でこのはは守に共鳴する、という展開も王道に良い。それに守がすぐ絆されずに、タイムリープに絡めてオシャレにあしらうのもかっこいい。
あとこのはの服装が前回も今回もなんかすごい奇抜な肌面積の多いデザインでえっちですね……。
2話までは頑なに「美少女ゲーム」といっていたはずだが、今回このはがサラッと「エロゲ」と何度かふつうに発言してくれたのも嬉しかった。大人の事情なんてなかったの? 相変わらずこのははエロゲ=女の子がキラキラしているゲーム、くらいにしか捉えていないようで、凌辱系などの「いかがわしさ」を一切感じていないようなのは気になる。まさかの「女の子は凌辱されてるときがいちばん輝いてるよねっ☆」パターンだったら手のひらを返すけど。。
4話以降も楽しみです! これまでの経験上、こういう期待のハードルが上がってしまった1クールアニメは後半で失速して観る気が失せがちだが……
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