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TVアニメ『終末トレインどこへいく?』感想メモ




2024/4/29(月)

1話
なんだこれ……水島監督またすげぇヘンテコなアニメ始めたな…… 今のところ出オチ感がすごい。すげー面白そうだけど同時にどんどん収集つかなくなるかダレて残念になるか感もすごい。

発想は、ポストアポカリプス×女子高生×電車 という、(シスヘテロ男性)オタク受けしやすい要素の掛け算で企画されているっぽい。西武鉄道の吾野(あがの)から池袋駅までの電車旅。去年秩父に行っといて良かった~~最初っから見覚えのある景色でテンション上がったから。

荒廃した田舎の背景美術はおそらく写真加工。めちゃくちゃフォトジェニックかつ、それをややリーニュ・クレール風にパキっと加工して安直にエモくしたかんじ。ただ、そのバタ臭さが水島監督の作風によって許せてしまうというか、逆に味になっているから上手い(ズルい)と思う。澁澤龍彦好きのサブカル女子高生とか、そういう設定の「こうすればいいんだろ?」感がめっちゃムカつくんだけど、軽妙を超えた怒涛のクセつよ会話劇とキテレツ設定&展開の応酬によって悪印象すらも押し流されてしまう。

正直この1話だけだったらめっちゃ面白いし期待できるんだけど、これをべた褒めはしたくない、というオタクの皆様方のご意見もめちゃくちゃわかる。完全同意(だって自分もオタクなので)。ただ、最終的に名作になってもクソつまらなくなっても、どっちに転んだとしてもひっくるめて「おもろい」アニメの枠に、既にこの1話の時点で入ってしまっている気がする。『マヨイガ』の1話はこんなもんじゃなかったからね……? 今回はシリーズ構成マリーじゃなくて横手さんだし、さすがにあぁはならないと信じてる。

故郷の21歳以上の「大人」がほぼ全員「動物化」してしまって、まともな人間キャラはメインの女子5人だけでいく(がっこうぐらし的な美少女世界系)のかと思ったら、腰の曲がった白髪のお爺さんが帽子かぶって若いイケメン青年になったので「おっ」となった。彼は電車に乗らず旅を共にしないから結局、実質美少女だけの旅モノなんだろうか。『少女終末旅行』的な。



4/30(火)

2話
おもろいや~ん
1話時点でてっきり仲介役の両おさげの子が主人公かと思ってたけど、運転手の子が主人公か。まぁ4人メインではあろうが。
移動しているとはいえ狭い室内での会話劇だけで大半の間を持たせてるのすごいわ。

一回戻ろうとするのがいい。
線路でモールス信号伝わるんだ。7G回線がレールによって伝わってきてるとか言ってたよな
澁澤龍彦『高丘親王航海記』が言及された。前話で取り寄せてた河出文庫はやっぱりこれだったか。


3話 マタンゴ回
前回がほぼずっと電車で移動してたので、今回は逆にひとつの駅に降りて過ごす「止まった」回。

いいね。パニックホラーとコメディの塩梅がうまい。きのこの皆さんがゴーヤを苦手な理由が体質ではなく「思想」なのおもろい。パッツンサブカルの晶ちゃんがフューチャーされていた。CV木野日菜さんの面目躍如。ひとりだけ制服違うのは中学生ってこと?
各話(各駅)ごとに異なる毛色の話をやるんだろうなあと予想できる。そのなかで、少しずつ旅の目的である黒髪ロングの子(名前まだ覚えてない)との思い出が掘り下げられていく感じか。


4話
1話1駅ペースだと1クールで池袋に着けないので、今回めっちゃ進んだ 想定よりずっと狂気的でがっつりファンタジーをやっている。抜いたキノコが叫んで動き回るのめちゃくちゃキモ怖かった。
あきらのお尻に生えたのは動物の尻尾ではなくキノコだった→それを抜いたら今度は晶が幼児退行?してしまった という二重のブラフ切り返し。
『銀河鉄道の夜』だけでなく『ガリヴァー旅行記』オマージュもがっつり入れてきた。入間基地(『亜人』で読んだ)はリリパットの国。ヘリの3枚の羽に磔にするの天才では。
かつてようか(黒髪ロング)に静留(吾野流柔術の子)が語った「やりたいこと」を、ようかが7Gを押したことで叶えられるように世界が作り替えられた? セカイ系にしては狂気的過ぎる。


5話
監督のやりたいこと詰め込んでるなぁ…… 暴走したれいみのシーンは『キングコング』パロディらしい。
あきらが取り寄せてた河出文庫はサド『美徳の不幸』(澁澤龍彦訳)
サドを食べる美少女キャラ……  でも無理やり食わせて復活させるのめっちゃ良かった。今回であきらのサブカルキャラがようやく昇華されたというか、このアニメではこういう風にそれを扱おうとしているんだな、と納得できた。


6話 そんなにひどいこと言ったかな
しずる別行動ゾンビ回

おもしろかった! 最後のれーみ達のやり取りめちゃくちゃ良い
ガチホラーやシリアスになりそうなシチュエーションまでもっていって、絶妙に間の抜けたコメディで落とすのが巧い。それでそっから最後の会話のような、物語の本筋にレールを戻したうえでグッとくる地点に持っていける技術よ。

Aパートで明かされた、ようかちゃんと静留がケンカ別れした原因の会話はどう考えても静留さんが酷すぎて笑った。そりゃ池袋まで逃げるわ

1話からちょくちょくあったけど撫子さんがみんなを仕切ろうとして自分はさも正しいように冷静に強い言葉で場を支配していくのめっちゃ怖いし、現実でいたらめっちゃ嫌われそう。この辺は流石に脚本にちょっと粗があるようにも思う。敢えてやってるならいいけど、そうじゃないならそのせいで撫子さんが傲慢で嫌な奴になってしまっているのが可哀想。視聴者からのヘイトが集まっているのを感じる(幻視) 撫子さんのそんな面にも焦点が当たる回があったらいいな。

犬かわいい。れーみいっちゃんかわいい。好き。
ゾンビ女王は『SHIROBAKO』で見た。矢野パイセン


5/15(水)

7話 ゾンビお別れ回
今回も面白かった!!
ゾンビの女王との和解と別れ 旅は道連れだけでなく一期一会でもある。こういうの見ると、やっぱりロードムービーっていいなぁと思う。レールムービー?

前話で撫子ちゃんの恐いところを見せた反動・ヘイトケアからか、今回で狂ゲーマーの一面をコミカルに見せるなど、親しみやすさ/ネタキャラ感が一気に高まった。セガネタはいつの時代も人気だなぁ
ススキ野原と鳥居と踏切というやけに良過ぎて笑っちゃうロケーション。傷物語〈熱血篇〉かと……。



5/27(月)
8話 練馬回
こんなにテンポ速くてカオスなアニメ初めて見た。どさくさに紛れて(?)フェチ要素も爆盛りしてるし
しかも劇中で「カオス」だと形容することの陳腐さにもメタ言及しててもうわけわからん
よかったです。疲れたけど。いつもこうだとイヤだけど、1クールアニメに1話くらいはこういう回があってもいい


5/29(水)
9話
わりと行儀よく話をまとめてきそうな予感がしてくる回だった。前回がヤバすぎて相対的にまともに思える。

10話
トキワ荘の漫画家ネタをアニメの記号演出マシマシでやる回 コメディとしてはまぁ面白い


6/29(土)

11話
うーむ……ヨウカちゃん周りのお話が正直どうでもいいので、興味持てないな…… 水島監督には「軽薄な敵キャラ」にこだわりがあるのだろうけれど、7Gのアイツに関してはまじで魅力なさすぎる。可愛げもない。

もともと本作は『SHIROBAKO』の作中アニメっぽい、地に足のついてないフワフワした内容を押し出して始まったが、終盤にきて、その浮世離れしたトーンが悪いほうに作用しているような。ここまで1クール観てきたけど、観ても観なくてもどっちでもいい感、というか。観てきたけど内容がカオスかつそれっぽいカルトアニメ(のパロディ)過ぎて、ものすごい空虚さを覚える。


12話 最終回

Primeビデオでも観れなかったので数年ぶりにdアニメストア本家に登録して視聴

まぁ……無難に大団円でまとまって良かったんじゃないでしょうか。完全に興味関心が薄れて、あんま話入ってこなかったけど。あの謎にヨウカに優しいスキンヘッドの黒服男の正体はカラスだったってこと? 繫がりあったっけ。

終盤になるにつれ微妙になっていったとはいえ、それはこういうタイプのオリジナルアニメの宿命でもあろう。依然、好きなほうのアニメではある。1クールお疲れさまでした~!


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