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資格試験勉強法〜宅地建物取引士編〜

 宅地建物取引士(宅建士)試験を受けようと思ったきっかけは、3級・2級FPの資格を取得したことです。FPには不動産分野の問題が出題されるので、そこからの派生です。
 また、筆者は学生時代に国家公務員総合職試験に法律区分で合格した経験があるので、その時に勉強した法律知識を学び直したいと考え、宅建受験を通して民法の復習をしようという思惑もありました。
 今回は宅建合格までのスケジュールや勉強方法、使用したテキスト・問題集等についてご紹介します。

そもそも宅建士って?

 宅建士は国家資格であり、不動産取引の専門家です。
 例えば、不動産会社とお客さんが不動産の売買をする際に、お客さんが不利な取引をしてしまうことのないよう、売買のあたっての重要事項を説明する役割を担います。これは宅建士だけに許された独占業務です。そして不動産会社などの宅建業者は、従業員の5人に1人の割合で宅建士を置く義務があります。
 試験に合格し、都道府県知事の資格登録を受け、宅地建物取引士証の交付を受けた者が、宅建士として働くことができます。

宅建士試験の内容は?

 宅建士試験は、マークシート方式で行われます。4肢択一問題が計50問(各1点)出題され、合格基準点は例年34〜38点程度です。

 具体的な出題内容は次のとおりです。

  1. 権利関係(14問)〜 民法、借地借家法、不動産登記法、区分所有法等

  2. 法令上の制限(8問)〜 都市計画法、建築基準法、国土利用計画法、農地法、土地区画整理法等

  3. 税・不動産価格(3問)〜 不動産取得税、固定資産税、不動産評価鑑定基準、地価公示法等

  4. 宅建業法等(20問)〜 宅建業法(宅建業者や宅建士にまつわる様々なルール)、住宅瑕疵担保履行法

  5. その他(免除科目)(5問)〜 住宅金融支援機構法、景表法、不動産に関する統計、土地・建物

 メインとなるのは、出題数からも明らかなように「民法」と「宅建業法」です。全体の6割(30問ほど)がこの2つから出題されますので、ここを得点源にすることが重要になります。特に「宅建業法」はコスパ◎です。
 なお、免除科目とは、国土交通大臣指定講習を受けると回答が免除され、その分合格基準点も5点引き下げられるという試験制度の対象科目です。
 筆者は免除科目も含め、フルで受験しました。

勉強スケジュール・方法

 筆者は2022年10月16日に宅建士試験を受け、合格しました。
 勉強開始は3月の簿記3級受検後でしたが、3月後半から5月前半にかけては仕事が忙しく、ほぼ勉強ができなかったので、勉強期間として確保できたのは実質5カ月程度でした。
 このときに関しては、想定外に勉強時間が取れなかったので、昼休みは必ず食後に勉強し、外食の際は料理を待つ間にアプリで過去問を解くなど、スキマ時間の確保に注力しました。

 勉強方法は、
  ①「民法」は最初から問題を解く
 →②「宅建業法」テキスト通読→問題を解く
 →③「法令上の制限」テキスト通読→問題を解く
 →④「税・不動産価格、免除科目」テキスト通読→問題を解く
 →⑤問題集を繰り返す(3周まで)
 →⑥4周目は3周目までに間違えた問題のみ解く
 →⑦スマホアプリで過去問を解きまくる
 →⑧過去問12年分を解く(10月に入ってから1日1年分)
 →⑨問題集に付いている模試を解く
 といったところでしょうか。

 また、①〜⑤と並行して、間違えた問題の分からなかった部分を「間違いノート」に書き込んで、その後なるべく毎日か2日に1回ぐらいはそのノートにざっと目を通すようにしていました。直前期にも良い復習材料になりましたね。

「間違いノート」の一部

 問題集に着手したのが3月20日だったのですが、4〜5月は手が止まり、7月中旬ごろからようやく波に乗り始め、1周目を終えたのは8月21日でした。あまりにも時間がかかりすぎですね。
 さすがにまずいと感じ、そこから2周目(8月22日〜9月16日)、3周目(9月17日〜9月25日)と大幅にペースアップしたことで、何とか見通しが立ってきました。
 9月26日からは⑥⑦で知識の穴を埋め、10月に入ってからは⑧⑨とその復習、さらに⑦と「間違いノート読み」を繰り返すことで、頭の中を試験仕様に仕上げていきました。

テキスト・問題集

 テキストと問題集は、次のものを使用しました。
【テキスト】
 「国家試験受験のためのよくわかる民法[第9版]」(自由国民社)
 「2022年度版 わかって合格る宅建士 基本テキスト」(TAC出版)
【問題集】
 「2022年度版 わかって合格る宅建士 分野別過去問題集」(TAC出版)
【過去問演習】
 「2022年度版 わかって合格る宅建士 過去問12年PLUS」(TAC出版)
 「宅建試験 過去問道場」(宅建試験ドットコム)

 「よくわかる民法」は、実は2021年の行政書士試験に向けて勉強していた時に通読しました(結局仕事の都合(出張)で行政書士試験は受けられなかったのですが…)。といった経緯もあり、宅建士試験のレベルは大きく超えるのですが、問題集を解く中で分からない箇所があれば、本書を参照しました。いずれ行政書士試験にはリベンジするつもりなので、その際はまたこのテキストを使おうと思っています。
 「わかって合格る」シリーズは、分野ごとに分冊になっており、持ち運びやすい作りです。基本テキストと分野別問題集ともに「民法等」「宅建業法」「法令上の制限」「その他関連知識」の4分冊になっています。
 過去問演習については、過去問道場でスキマ時間に解いていたほか、直前期には12年分の過去問を1日1年分解きました。

受験結果

 筆者の受験結果は次のとおりです。
 なお、この年の合格点は36点、合格率は17.0%でした。

【総合】40/50点(80.0%)
 権利関係(9/14)
 法令上の制限(5/8)
 税・不動産価格(2/3)
 宅建業法等(19/20)
 免除科目(5/5)

 36点を超え、無事に合格しました。
 過去12年を見ても、合格点は最高でも38点だったので、筆者としては確実に合格圏に入る40点を目標にしていました。この目標は無事に達成できたので、満足のいく結果だったと考えています。
 欲を言えば、民法であと2点は取れたかなと思います。

郵送で届いた合格証書

受験してみた感想

【権利関係】
 民法は一度国家公務員総合職試験レベルまで勉強した経験があったので、勉強自体はそれほど苦になりませんでした。本試験では奇問にやられた感はありますが(まさかの失踪宣告…宅建でそれ出しちゃう?)。
 一般的に権利関係は、7〜9問得点しておきたいと言われています。

【法令上の制限】
 この分野は、知事や市町村長への届出で済むのか、あるいは許可が必要なのかという線引きを判断することが多いのですが、筆者は地方公務員ですので、比較的馴染みのある内容で学習しやすかったです。
 ただ、用途制限等の細かい知識を覚えるのは少々大変でした。

【税・不動産価格】
 2級FPで勉強した内容と被りもあり、アドバンテージにはなっていたと思います。基本的な数字(面積要件や免税点等)を押さえておくことが大切です。

【宅建業法等】
 初見の内容でしたが、理解はしやすかったと思います。ただ、重要事項説明と37条書面の説明(記載)事項の違いなど、細かい部分はしっかり覚えておかないと引っ掛けられるので、注意が必要でした。
 本試験で19/20点取れたのは純粋に嬉しかったです。間違えた1問は予備校の解答速報が割れるほどの難問でしたし(試験直後の自己採点では満点だと思ってぬか喜びしました)。

【免除科目】
 ここは比重は軽いです。5問しかありませんし、過去問と最新の統計の数値の傾向を押さえておけば、3〜4問は取れる印象です。稀に未出の問題が出たりしますが、気にする必要はありません。
 本試験で5点満点取れたのはラッキーでした。

【総括】
 正直なところ、春先に全く勉強ができない期間があったので、今までの資格試験で一番焦りを感じました。9月に入ってもまだ合格の自信はなかったのですが、とにかく繰り返し問題を解き、間違いやすい問題を潰していく方針で進めた結果、10月に入って過去問12年分を解く段階でようやく、ほぼほぼ大丈夫かなという感覚になりました。
 社会人の場合はどうしても仕事の繁忙期や突発業務がやってきますので、スケジュールには余裕をもって勉強を進めていかなければならないということが身に染みて分かりました。


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