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なんで「眼鏡をかけたプリンセス」がおらへんねんという話

我が家の3歳の長女は、弱視のため眼鏡をかけています。

その娘が、最近急に眼鏡をかけることを拒否するようになってしまいました。

理由は、『プリンセスじゃないから』です。


3歳の娘の眼鏡拒否

娘の通う保育園の3歳児クラスは、女子多めの人数構成のせいかプリンセスが大ブームです。

娘も例に漏れずすっかりプリンセスが好きになってしまいました。
しかし、娘の大好きなプリンセスは一人も眼鏡をかけていません。

確かに誰も眼鏡をかけていない

食事時にこのコップをみるたびに、眼鏡いや!プリンセスじゃない!と言いながら眼鏡を外すようになってしまいました。

眼鏡をキッカケに紐解くディズニープリンセスの歴史

母の私は、小さい頃セーラームーン一択だったためディズニーの教養はほとんどありません。
もしかするとこのコップに載っていないだけで一人くらい眼鏡をかけたプリンセスおるんちゃうん?という淡い期待を込めてプリンセスの歴史を辿ると、ディズニープリンセスがめっちゃ世相を反映していることに気づきました。

全ての作品を網羅している自信はありませんが、以下のようにディズニープリンセスの変遷をまとめてみました。

突然の手書きで失礼。縦軸はプリンセスの人種(出身地から判断)、横軸は物語のゴール。プリンセスの名前の下の数字は世に出た年次です。

物語の主軸は結婚→自己実現になってきているし(結婚は王子を待つスタンスから自ら王子を選んで攻めていくスタンスへ。そして更に結婚だけが人生のゴールじゃない!という流れに!)、人種も白色人種→アジア系が増えてきています(ダイバーシティ!)。
さすがは世界のディズニー!

と、感心したのもつかの間。やはり眼鏡をかけたプリンセスはいないのでした…

出会った本:ローズ姫と黄金のめがね

そんなときに出会ったのがこちらの本です。

この本は、我が家の娘と同じ疑問を抱いたイギリスの9歳の女の子がディズニー宛に書いた手紙をきっかけに生まれた本です。

わたしは美しいプリンセスたちが大好きです。
でも、めがねをかけたプリンセスはひとりもいません。
めがねをかけたわたしは美しくないのかと思ってしまいます。
わたしと同じように悲しむ子のためにも、
どうかめがねをかけたプリンセスを作ってください。

「Hayakawa Books & Magazines(β)」noteより

娘の3歳の誕生日にこの本をプレゼントしたところ、とてもお気に入りになって3日に一度は夜の寝かしつけ前の絵本に選んできます。

 結構字が細かくてフルで読み聞かせると10分以上かかるけどね

眼鏡は「克服すべきコンプレックス」なのか?

娘は気に入っているのですが、私は少しだけ不満があります。
この本は、「眼鏡をかけている私」が嫌で自分を醜いと思っているローズが旅を通じて自信を取り戻していくというお話です。
つまりローズにとって、眼鏡はコンプレックスなのです。

ハッピーエンドなのですが、そこにたどり着く前提条件として一度「眼鏡をかけていて自信を無くしたローズ」について話さなければいけない。
その瞬間、娘にとって「眼鏡=特別なもの、かわいそうなもの」がインプットされてしまう気がするのです。
本来であれば言葉を話す前の赤ちゃん時代から身につけている眼鏡は娘にとってはもはや身体の一部で、ごく自然なもののはずなのに…。

近い未来のプリンセスの姿(理想)

例えば、こんなプリンセスがいて欲しいのです。

物語の最初から、特に何も説明されることなく当たり前にプリンセスが眼鏡をかけている(しかもオシャレでかわいい)。そして周囲の人も眼鏡の事は特に触れずにストーリーが進んでいく。

克服すべきものとしてではなく、本人にとっても周囲の人にとっても"当たり前のもの"として眼鏡をかけたプリンセスが描かれていて欲しい。

眼鏡に限らず、障害を持つ子の話、LGBTQの子の話など、様々なテーマの物語が昨今増えています。
しかしまだ、それらの多くがコンプレックスや周囲の誤解→克服(ハッピーエンド)のストーリーになっている気がします。
これは、過去には物語に出てくることさえなかった人達が注目されてはきているものの、その人達がまだまだ社会で息苦しさを感じている今の世相を表しているのかもしれません。

色んな人たちが、当たり前になんの説明もなく、挫折もなく、自然の物語の中に生きている。そんな時代が早くきてほしいなあと願うばかりです。

まとめ

いまのところディズニーに眼鏡をかけたプリンセスはいないということで、応急措置をしておきました。

母が何をしたか、分かるかな?

今日は機嫌よく、娘が眼鏡をかけてご飯を食べてくれるといいな。









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